麻生泰麻生泰氏 Instagramより

「整形は芸術」「金は美学」と豪語してきた美容外科医・麻生泰(とおる)氏(53)。
東京・赤坂の豪邸、自家用ジェット、数億円のバイオリン――。SNSで金満ぶりを惜しげもなく晒してきたこの男に、ついに“鬼の手”が伸びた。大阪国税局などによる税務調査の結果、グループ全体で計約62億円の申告漏れが発覚したのだ。
「下品」と言われようが見せびらかすのがこの男の流儀。だが、国税にだけは“美学”が通じなかった。

 

赤坂の宮殿で見せる金と肉体のカーニバル

麻生泰――美容外科界では知らぬ者のない、いわば“整形界のカリスマ”。
東京・赤坂にそびえる10億円超の豪邸での生活をYouTubeやSNSで惜しげもなく披露する。映り込むのは大理石の階段、シャンデリア、愛用のフェラーリ、そして自ら手掛けた“完璧な顔面”。

整形手術の過程を自分の体で実演し、植毛の様子まで動画で公開。ついでに出自も宗教も包み隠さず語る――韓国籍を持ち奈良で生まれ、創価学会の信者になった経緯まで“暴露”してきた。
まるで己の人生そのものを整形して見せるかのような露悪のスタイルは、多くのフォロワーを惹きつけ、そして敵も作った。

 

「200億円企業」も税務署には勝てず

そんな麻生氏が率いる「麻生美容クリニックグループ」は、全国100院以上を展開し、年間売上は200億円超。業界ではトップクラスの帝国だ。
しかし、24年9月に実施された税務調査で、その足元が大きく揺らぐ。

調査を受けたのは大阪に本社を置く基幹法人「IDEA」を含む7法人。
医療機器の取引価格を約47億円も過大に計上し、患者からの前受金約10億円を“なかったこと”にしていた。さらに、売上記録の偽造で約3億円、個人的な流用で約2億円。総額62億円の申告漏れが発覚した。

追徴税額は重加算税を含め12億円。派手な金ピカ生活のツケが、一気に回ってきた形だ。

 

「鬼より怖い」国税の嗅覚

麻生氏のSNSが、皮肉にも“証拠映像集”になっていた。
国税庁OBの税理士によると、「税務当局は派手な生活をSNSで見せる人を重点的に調べる。自家用ジェット、億単位のバイオリン、ガーシーのBTS詐欺騒動に4000万円援助など、目立ちすぎていた」と語る。

今回は大阪、東京、札幌など七つの国税局と事務所が動いた異例の大調査。背景には「不透明な資金の使途」があったと見られる。
そして、その“使途不明金”を浮かび上がらせたのは、なんと息子のSNSだった。

 

息子・拓海の“爆買いTikTok”が火をつけた

麻生氏の長男・拓海氏(22)は、父親のDNAをこれ以上なく濃く受け継いでいた。
TikTokで「お金持ちの息子」と名乗り、フォロワーを煽るように高級品を並べ立てる姿は、もはや若者版・麻生泰。だが、問題はその“誇示の度合い”が度を越していたことだった。

19歳の歯学部生にして、3000万円のフェラーリを所有。
「歯学部の登校は面倒だから」と、大学近くに2000万円のマンションを“パパに買わせた”と笑う動画が拡散された。
腕にはロレックス、全身ルイ・ヴィトン。背景には、父が「20億円かけて建てた」と語る赤坂の豪邸が鎮座している。
そのリビングで開かれる“シャンパン祭り”では、「20万円以下のシャンパン開けるやつ、マジでダサい」と吐き捨てる。
動画のコメント欄は、「こういう奴が一番国税に狙われる」「バカ息子のせいで親が泣くぞ」と炎上状態だった。

しかし、拓海氏に反省の色はなかった。
テレビ番組が“令和のセレブ息子”として取り上げると、さらに調子に乗ったようにSNS投稿を連発。
自家用ジェットやクルーザーでの豪遊、シャンパン片手の深夜パーティー、1泊数十万円のリゾート滞在……。
彼のアカウントは、まるで「脱税の証拠集」と揶揄されるほどの散財カタログと化していった。

「父の金は俺の金」――そんな無邪気な感覚が、税務署のアンテナを直撃した。
国税庁関係者によれば、こうした“過剰な金持ちアピール”はデータ分析で可視化される時代になっており、SNSの情報から資金の流れを逆算できるという。
麻生グループへの調査も、息子の動画がトリガーの一つになったとみられる。

その後、拓海氏は更新をストップ。アカウントは放置状態となった。
だが、父・泰氏のYouTubeでは、息子が顔面整形を受ける様子が公開されている。
まるで“家族の遺伝子”を整形で証明するかのように――。
金と虚栄をSNSで受け継いだ親子の姿は、現代の“バカ息子伝説”そのものだ。

 

「美しく稼ぐ」はずが、「信頼」を失った代償

麻生氏の代名詞は「美を売る」。
だが、今回明らかになったのは「美」の裏に潜む「醜い金の流れ」だった。
「整形も人生も、自分でデザインする」――そんな決め台詞が、今は“申告書の修正”という現実で塗り替えられた。

本人は「指摘に基づき修正申告を行い、すでに対応を完了した」とコメントしている。
とはいえ、SNSで磨かれたブランドイメージは大きく傷ついた。
“美しく稼ぐ”を掲げた男が、最終的に支払ったのは「金」ではなく「信頼」だった。

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