「人生の選択をしていくなかで、“好き”を基準に選ぶのもいいことだと思います」(八木)豆原演じる拓磨を優しく見守る恋人、大石紗季を演じた八木莉可子撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア) ヘア/EMORI MIHO(ende) メイク/NAO YOSHIDA スタイリング/Shohei Kashima
――就活を通して、将来に悩むキャラクターを演じたお2人。実年齢にも近く、共感する部分もあったりしたのでしょうか。
豆原「この業界に入る前は、僕自身も自分の将来に悩んでいたので、気持ち的にわかる部分も多かったです。アーティストになりたいなんて言ったら、『そんなのは無理!』というのが普通の反応という環境でしたから。僕が悩んだのはもう少し若いころだったので拓磨とは世代に違いはあるけれど、自分が悩んでいた頃の心境を拓磨にリンクさせていたところはあると思います。将来のことを考えるのって本当に難しいですよね。悩んで、決断して、この世界に飛び込んだいまでも、将来には不安がありますから」
八木「コーヒーにこだわりがある拓磨のように、紗季にも好きなものがあって。“好き”という気持ちに正直に生きているからこその悩みもあると思いました。私は24歳で、まだまだ未熟で、これから先のことを考えたら不安もあるので、拓磨や紗季の気持ちはよくわかります。だからこそ、自分の“好き”という気持ちの原動力の強さを実感し、そういう純粋さがいいなとも思っています。私は『好きこそ物の上手なれ』という言葉がすごく好きです。人生でいろいろな選択をしていくなかで、合理的なものを選ぶのも1つの選択ですが、私自身は“好き”を基準に選ぶのもすごくいいことだと思っています。好きなものが持てるだけでも、素敵なことですよね」
八木莉可子演じる大石紗季は、拓磨とバイト先が一緒で、拓磨を優しく見守る彼女[c]2025「富士山と、コーヒーと、しあわせの数式」
――恋人役を演じるにあたり、お2人で話し合ったことなどはありますか?
八木「あれ、覚えてますか?お茶会!」
豆原「やりましたね!謎の雰囲気の(笑)」
八木「撮影の初日にラストシーンを撮影するというスケジュールだったのですが、私たち2人は本読みで一度会っただけ。恋人役だし、親睦を深めるために少しコミュニケーションを取っておいたほうがいいと考えて、豆原さんと私、それぞれのマネージャーさんの4人でお茶をする時間を設けたのですが、両家顔合わせみたいな雰囲気でした(笑)」
豆原「すごくいい雰囲気のレストランで、なんか気まずさが増したのを覚えています(笑)」
八木「大きなテーブルだったから割と距離もあって」
豆原「マネージャーさんから『どうぞ(お話しください)』みたいに勧められたけど、逆にしゃべりにくくて(笑)」
八木「おもしろい空気のなか、『なんだか、気まずいね』みたいな話から始まって」
豆原「気まずさから始まったけれど、コミュニケーションがとれました』
亡き夫からのサプライズで拓磨と同じ大学へ通うことになる文子[c]2025「富士山と、コーヒーと、しあわせの数式」
――お茶会からのクランクイン。お芝居を通して感じたお互いの印象を教えてください。
豆原「八木さんは大人っぽく見えるのに、たまに訳のわからないことを言う方です(笑)」
八木「え?なにか変なこと言ったかな?」
豆原「天然とはちょっと違う感じで、自分の世界観がすごくあるという印象です。一緒にいるとすごくおもしろいです」
八木「豆原さんと拓磨には似ているところもあり、2人ともすごく素直で、過度に飾ったりしないところが素敵だと思いました。私は仕事の時は特に緊張して、人見知りしがちなのですが、豆原さんの持つ柔らかい雰囲気のおかげで、今回はあまり人見知りすることなく接することができました」
豆原「実は、僕も結構人見知りなんです」
八木「え?全然気づかなかったです。豆原さんの柔らかい雰囲気のおかげで、現場も温かくなる印象がありました」
豆原「ありがとうございます!」
■衣装協力
ニット ¥27,500(LITTLEBIG)、ネックレス ¥74,800(LION HEART/Sian PR)、リング ¥4,950(LHME/Sian PR)、その他/スタイリスト私物(以上、豆原一成) Patchwork embroidered dress ¥143,000(MURRAL)(以上、八木莉可子)