ステラ マッカートニー(Stella McCartney)が、2026年サマーコレクションをパリの ポンピドゥーセンター で発表しました。今季のテーマはブランド独自開発の未来素材 「Fevvers(フェヴァーズ)」 によって象徴されています。それは“羽”の見た目を模倣するのではなく、「羽が持つ軽さの概念そのもの」を素材として抽出しようとする試みです。ステラは今、サステナブルという言葉を超え、「感情としてのエシカル」をデザインに転写し始めました。

Courtesy of Stella McCartney

Fevvers──模倣ではなく、羽の概念を再構築する
「Fevvers」はリアルフェザーの代替素材として開発されましたが、その目的は模造ではありません。光を反射するとわずかに波打つその素材は、羽の視覚的特徴ではなく、“空気を纏う感覚”を再現しています。ステラはこの素材を「羽の未来形」と位置付け、“Feathers Without Feathers(フェザーのないフェザー)”という言葉で語っています。

Courtesy of Stella McCartney

構築とエア──布が身体の上で“浮く”シルエット
コレクションでは、ドレープドレス、透過するレイヤリング、そしてカットワークの入ったデニムなどが登場。共通しているのは、布が身体の直線に沿うのではなく、一瞬“浮いて”から着地するような構造です。それは、構築と軽さのあいだで布を躍動させるステラ特有のフェミニティであり、Fevversという素材の浮遊感と響き合っています。

Courtesy of Stella McCartney

ポンピドゥーセンターという“骨格と透明性の舞台”
ショー会場に選ばれた ポンピドゥーセンター は、内部構造をあえて露出させた建築として知られます。その骨格の明確さと透過する光の軽さは、今季の“構造と空気”というテーマに重なります。未来素材をまとったドレスが、近代建築の躯体の中を滑らかに通過していく──その光景は、ファッションが“素材の未来”を再び語り始めた瞬間のように見えました。

Courtesy of Stella McCartney

エシカルを“機能”から“感覚”へ
ステラ マッカートニーは、長年サステナビリティの旗手として語られてきました。しかし今季は、「正しいから選ぶ」ではなく、「美しいから惹かれる」という領域へと踏み出しています。倫理と sensual(官能)の両立。それこそが、Fevversという素材に込められたもっともステラ的な挑戦です。

Courtesy of Stella McCartney
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ステラ マッカートニー カスタマーサービス
03-4540-1906
stellamccartney.com

編集部

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