「推しの殺人」でトリプル主演している(左から)横田真悠、林芽亜里、田辺桃子
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2日にスタートした日本テレビ系ドラマ「推しの殺人」(木曜後11・59)が注目を集めている。第1話で、3人組地下アイドルが殺人を犯し隠蔽(いんぺい)するという衝撃の幕開けとなったサスペンスで、視聴者を引き込んでいる。また、“女優トリプル主演”も大きな特徴だ。田辺桃子、横田真悠、林芽亜里がアイドルを演じている。
近年、女優トリプル主演の作品が増えている。テレビ東京ドラマの「ブラックガールズトーク」(2024年)、「夫よ、死んでくれないか」(25年)や4月に公開された映画「片思い世界」などが記憶に新しい。また、「彼女たちの犯罪」(日テレ系、23年)、「ギークス~警察署の変人たち~」(フジテレビ、24年)など、単独主演であっても女優3人を軸に据えるケースもある。
「推しの殺人」プロデューサーの読売テレビ・中山喬詞氏に女優トリプル主演の物語を描く上でのこだわりを聞いてみた。
中山氏は、正反対な2人による凸凹感を演出することが多いダブル主演に比べると「1人多いことで選択肢が増えて別のものになる」と指摘。3人の関係を三角形になぞらえて「形が歪(いびつ)かきれいか、どちらが良いのかを常に考えている」と述べた。その形は可変的で「状況によって2対1にも1対1対1にも、全員のベクトルが一致することもある」と表現した。
そして「実は“3プラス1”なのかもしれない」とも。“プラス1”とは中心にいる3人とは別のもう1人の登場人物だ。「推しの殺人」では、3人が殺人を犯した秘密を知って干渉してくるグループの元メンバー(なえなの)が該当し、「3人の周りを自由に動いて、三角形を動かしていく」と説明。23年に手がけた「彼女たちの犯罪」でも、“プラス1”のキャラクターが物語の鍵を握っていた。この経験も踏まえ「“プラス1”があることで三角形を大きく動かしやすくなる」と一種の法則を見いだしている様子だ。
その三角形が動く瞬間を「本音を隠して良かれと思っての言動が悪い方向へ行って転がっていく」と説明。本音と建前によるボタンの掛け違いと女性同士ならではの会話劇の相性が良く、女性トリプル主演作が生まれやすいようだ。
一方で繊細な会話劇が描かれることが少ない男性同士によるトリプル主演作品は「イタイケに恋して」(日テレ系、21年)などがあるものの、多くはない。だが、中山氏は最近のトレンドで細かい心情なども描写されるBL作品に触れて「ダブル主演のものはありますが、そのうちトリプル主演になる日が来るかもしれない」との考えも示した。
今後、女優トリプル主演作がさらに増えていくのか、また、男性俳優トリプル主演作も生まれてくるのか。もしくは、これまでにない新たなトレンドができるのか。その動向に注目していきたい。
○…「推しの殺人」の3人の主人公はそれぞれに個性と若さ故の短所もハッキリと描かれている。高宮ルイ(田辺)は「年長者でほかの2人に心配させないように自分1人で背負ってしまう」、早川テルマ(横田)は「見えっ張りだけど、一番の小心者」、沢北イズミ(林)は「物事をハッキリ言えない。同性から嫌われるタイプ」だ。中山氏は「それぞれが1人の女性として、しっかりと変化していくところも見どころ」とアピールした
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