公開日時 2025年10月17日 05:00
アリカ・テンガン監督(提供)
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琉球新報朝刊
沖縄にルーツを持つネーティブ・ハワイアンのアリカ・テンガン監督による映画「モロカイ・バウンド」が、17日の東京公開を皮切りに順次、全国各地で公開される。公開を前にテンガン監督がオンラインインタビューに応じ、作品に込めた思いや、沖縄とのつながりなどを語った。
物語は、優しさ故に不器用で、道を踏み外してしまったネーティブ・ハワイアンの主人公・カイノアが極端な手段と困難な状況を通じて、自らの文化、家族、そしてルーツとのつながりを取り戻そうとする物語。
作品についてテンガン監督は「主人公が置かれている状況は、ハワイのリアルを描いている」と語る。「実際に服役した人が、社会に戻ってきた時に社会復帰に困難が生じているのを目の当たりにしてきた。社会が急速に発展する中で、実生活に戻って(周囲に)受け入れてもらうという点に困難があってもがいている、ということを描きたかった」と振り返った。
テンガン監督は、2月から3月にかけて県内で開催された「第2回沖縄環太平洋国際映画祭」に参加した際に、沖縄を初訪問。その時の沖縄の人々との出会いなどが「すごく特別な体験になった」という。植民地の歴史や軍隊の存在、文化や言語の面など、あらゆる面でハワイと沖縄の類似性を感じたと語った。
同作は県内では11月29日から、那覇市の桜坂劇場で公開される。沖縄ハワイ移民125周年の節目となる今年、沖縄で作品が公開されることについて「私自身もそうだが、映画に関わる全ての人々が誇りに思っている」と喜んだ。
沖縄などをテーマにした作品の制作について「もちろん検討していることではある」と語る。沖縄とハワイだけでなく、ドイツや中国のルーツも持つテンガン監督。「それぞれの国のつながりを感じるような映画を撮りたいというのは私の夢。ウチナーンチュに関する映画も撮れたら良いなと思っている」と意気込んだ。(與那原采恵)