By

AFP

掲載日

2025年10月13日

ケニア最大の青空市場の中心にある埃っぽい路地では、ファッションモデルたちが、ごみ捨て場や市場で回収された廃棄物から作られた大胆なアップサイクル衣装に身を包み、即席のランウェイを闊歩している――ごみでさえ輝きを放ち得ることの証しだ。

廃棄された衣類から作られたアップサイクル作品を着たモデルたち廃棄された衣類から作られたアップサイクル作品を着たモデルたち – AFP

毎年、ヨーロッパや米国などから何千トンもの古着がケニアに流れ込む。米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)の調査によれば、2023年、ケニアはナイジェリアを抜き、アフリカ最大の古着輸入国となった。

ナイロビ中心部近くのギコンバ市場には、こうしたベールが何千と運び込まれる。トタン屋根の露店が5エーカーにわたって迷路のように連なり、市の主要な経済拠点のひとつを形成している。先週の晴れた午後には、大勢の観客が集まり、かつては着られない・売れないとして見捨てられていたベールから生まれた作品をまとったモデルたちが、軽やかに歩を進め身を翻す様子に見入った。

「なんだ、うちの服がアップグレードされてるじゃないか」と、ショーを眺めながら商人の一人が嬉しそうに声を上げた。

Gikomba Runway Edition には、25歳の“アップサイクリング”のスペシャリスト、モーガン・アゼディを含む、アンダーグラウンドで活動するケニアの若手デザイナーやスタイリストが初めて集結した。

「身の回りの環境がいつも汚れていて……汚染を抑えたいと思ったんだ」と、ショーの前にワンルームの自宅で前衛的な衣装を準備しながら、AFPに語ったアゼディ。

彼の「Kenyan Raw」コレクションは、ストリート感のあるデニムにゴシックの趣を効かせ、素材はすべて、ごみ集積場やファッションの廃品から調達したリサイクルレザーで仕立てられているのが特徴だ。

MITの調査によると、ケニアは2023年に約19万7,000トン、2億9,800万ドル相当の古着を輸入した。

世界的な研究ネットワーク「Environment for Development」の推定では、その約3分の1は使用不能で最終的に埋立地行きとなり、その多くはナイロンやポリエステルといった生分解しないプラスチック由来の素材だという。

ファッションショーでアップサイクルした着物を披露したデザイナーのオルワンデ・アコトは、かつて中古衣料のベールを取引していたが、その品質の低さに落胆させられることが多かったという。

「ただのごみです……。着ることもできない、物乞いにさえ渡せないような服ばかり」とアコトは語った。

古着の流入は、港湾作業員から商人に至るまで東アフリカ全域で何十万人もの雇用を生み、手頃な価格の衣類も大量に提供してきた。一方で、国内の繊維企業が育つのを難しくしている。

地域8カ国で構成される東アフリカ共同体は2016年、地元の繊維産業の振興を狙い、輸入禁止措置を導入しようとした。

しかし、米国内のリサイクル業界のロビイストが反対し、ワシントンは、米国に関税なしで製品を販売できる有利な貿易協定「アフリカ成長機会法(AGOA)」から東アフリカ諸国を締め出すと警告した。

ケニア、タンザニア、ウガンダなどは方針を撤回。唯一、ルワンダだけが方針を貫き、AGOAの特恵税率の適用を受けた衣料品の対米販売(輸出)が停止される処分を受けた。ドナルド・トランプ米大統領(当時)の政権は先月、アフリカ全土を対象とするAGOAの失効を容認したが、復活に向けた協議は進行中だ。

アゼディにとって、こうした貿易取引の負の側面――ごみ集積場に積み上がる廃棄衣料の山――は、創作の宝の山でもある。新しい生地を買うのは「高すぎる」と彼は語った。

ランウェイでは、かつてオーバーサイズのデニムパンツだった一着が、フレアパンツとプラットフォームシューズに合わせた、段々に重ねたジャケットへと生まれ変わった。再利用したピースで「唯一無二」を追求する姿勢が評価され、彼は昨年のベルリン・ファッションウィークへの出展機会を得た。

自身のコレクションで地域のミュージシャン数人のスタイリングも手がけてきたアゼディは、今や他人がごみだと見なすものをニューヨークやパリの大舞台へと持ち込むことを夢見ている。

無断複製・無断転載禁止
© 2025 Agence France-Presse
この記事(もしくはこのページ全体)にある情報は、フランス通信社の権利下にあります。 フランス通信社の許可なくこれらの情報を複製・編集・転載・翻訳・商業利用・その他再利用することは硬く禁じられています。フランス通信社は、遅延・誤り・ 遺漏、あるいはこのページの情報を元に行われた行為やその結果に対して、一切の責任を負いかねます。

Leave A Reply
Exit mobile version