通り沿いの書店のウィンドウや入口にポスターが貼られ、ディスプレイにさまざまな本が並べられている。ウィンドウ越しに店内の書棚も見える。店の外にも低い棚が置かれ、本が並べられている

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画像説明, デンマークの首都コペンハーゲンの書店(2023年撮影)

2025年8月21日

デンマーク政府は20 日、「読書危機」への対策として、書籍に課されている25%の売上税を廃止する方針を明らかにした。

この税率は、世界でも最も高い水準とされている。ヤコブ・エンゲル=シュミット文化相は同日、税の撤廃によって、より多くの書籍が書店の棚から手に取られることを期待していると述べた。

この措置により、年間で約3億3000万クローネ(約76億円)の税収減が見込まれている。

経済協力開発機構(OECD)のデータでは、デンマークの15歳の若者の4人に1人が、簡単な文章を理解できないことが示されている。

エンゲル=シュミット文化相は、「読書危機は残念ながら近年広がっている」と述べた。また、書籍税の撤廃について「非常に誇りに思っている」と語った。

同相は、「国民の消費と文化への投資には莫大な資金を投じるべきだ」とも述べた。

デンマークと同様、付加価値税(VAT)の標準税率が25%であるフィンランド、スウェーデン、ノルウェーでは、書籍に対するVATはそれぞれ14%、6%、ゼロとなっている。イギリスでも、書籍はVATの対象外となっている。

書籍を「より手に取りやすく」

デンマーク政府の文学作業部会のマッツ・ローゼンダール・トムセン副議長は、デンマークの10代の若者の間で、読む力と理解力が低下していることが調査で示されていると述べた。

トムセン氏はBBCに対し、幼い子どもたちは比較的容易に読解力を伸ばせるが、「15歳になると文章を理解する力が非常に重要になる」と語った。

同氏は、OECDの調査結果について「かなり衝撃的だ」と述べた。

若者が読書に苦労する理由については、「選択肢が多すぎる」ことや「気が散りやすい」ことが背景にあると指摘した。

また、書籍のVATを撤廃することは完全な解決策ではないとしながらも、書籍を「より手に取りやすくする」効果があると述べた。

文学作業部会では、デンマーク文学の輸出促進、書籍市場のデジタル化、作家の報酬への影響についても検討が行われたという。

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