ここ数年、日本でもヒール離れが進み、スニーカーやバレエシューズが街のトレンドをリードしてきた。けれど今シーズン、そのムードに変化の兆しが。オフランウェイで注目を集める新たな主役は、鋭く尖ったポインテッドトゥと低めのヒールを備えた一足だ。
ミラノでひときわ存在感を放った、プラダのパンプス。
Mattia Arioli
ミウッチャ・プラダに倣って、ソックスとのコーディネートも◎。
Francesca Babbi
このシューズは、ある意味でバレエシューズの後継といえる存在だ。どんな装いにもすっと馴染むシンプルさ、ポリッシュされた上品な仕上がり、大人の感性をまとった佇まい──それらは共通している。けれど、ローヒールならではのきちんと感が加わるのが大きな違い。ほとんど高さを感じさせないキトゥンヒールがわずかなリフトを生み、ポインテッドトゥがシャープなシルエットを描くことで、スリッポンのようなフラットほど“快適さ重視”には寄りすぎない。いわゆる「車移動専用」の靴ではなく、現実的でモードな一足なのだ。
ミラノの街で主役級。プラダが導くポインテッドの新潮流
ミラノ・ファッションウィークでキャッチしたストリートスタイル。
Valentina Valdinoci
チャンキーヒールのスリングバックは、安定感も抜群。
Francesca Babbi
ポインテッドトゥのスリングバック、ローヒールのコートシューズ、バックレスのミュール──どれをとっても、まさにミラノの街を優雅にすべるように歩く人の足もとを想起させる一足。そのムードを体現するかのように、今季のミラノのオフランウェイではプラダ(PRADA)のポインテッドパンプスを目にする機会が多かった。
ロンドン・ファッションウィークでキャッチしたストリートスタイル。
Valentina Valdinoci
レーシートップと好バランス。ポインテッドシューズがモード感を引き寄せる。
Francesca Babbi
とはいえ、ポインテッドのマイクロヒールは、ニューヨークやロンドンでも広く目撃された。スニーカー文化が根づくロンドンでは、多くのゲストがプーマ(PUMA)の「スピードキャット」を脱ぎ捨て、洗練されたヒールへとシフト。なかでもアイボリーのポインテッドコートシューズは、ストリートフォトグラファーのシャッターを最も集めた足もとのひとつだった。
一方、まだ気温の高かったニューヨークでは、テーラードショーツやミニのスリップスカートと合わせたルックが目立ち、このシューズがあらゆる丈感にマッチすることを証明していた。もしも、このシューズをもっとモードに昇華したいなら、ミウッチャ・プラダにならってニーハイソックスを合わせるのがおすすめだ。
Text: Emma Spedding Adaptation: Saori Yoshida
From:VOGUE.UK