2025年10月12日
Androidアプリから投稿
「REC/レック」の監督最新作、加えてコズミック・ホラーの帝王、H.P.ラブクラフト原案、ヒロインは美人と言う強力な武器を揃えた最新作は、ひっそりと日本でも公開された。
主人公が働くクラブから何かを盗み出し、追っ手の大男(髪型が特徴的)をボコボコにして逃げ出し、逃げ込んだ先は関係の悪い姉のマンション。まだ幼い娘が居るのだが、何とか招き入れて看病してくれる。だが娘を連れて丁度夜逃げの如く逃げようとしていた様子だった。色々な事になりそれどころではない主人公だったが、翌朝姉は娘を残し消えてしまう。その日から残された娘との共同生活が始まるのだが、家に不穏な影が忍び寄ってくるという意外にも王道なホラー展開を見せる。
H.P.ラブクラフト感はそこまで濃くないように思えるが、未曾有の日食が迫る直前の物語となっている。日食と怪異が段々と絡んでくるのだが、主人公がクラブから奪った物は違法薬物の山であり、これで一攫千金を!となっている。それを追うマフィアの存在と、まさかの人間との繋がり…そして母が居ないにも関わらずどこか冷めた様子の娘…と、人物パートが濃すぎて作品自体は割とあっさりめで終わってしまう、何とも微妙な作品だった。
何故姉が逃げ出そうとしていたのかの理由を探る上で、そのマンションでの怪異も明らかになり、ある程度展開が読める物語だが、どこかアメリカンホラーとは違う世界観である。娘にしか見えない”ともだち”から色々と贈り物が突然届けられるというよくあるパターンが本作でも登場するのだが、2つだけ主人公宛に届けられた物があり、医療用に使えるホチキスと、万能パイオランテープ(配管とかに巻き付ければ一時的な水漏れとかを防げるやつ)という何とも実用的な物が渡される。これにもきちんと伏線があり、回収方法には笑ってしまった。
後半の暴れ具合は好きだが、丁寧だった人物描写とは裏腹に唐突にやって来るのと、浴室に居た恐らく召喚されたであろう巨漢でSMっぽい衣装の怪力モンスターをもっと活躍させて欲しかった。彼?彼女?はクズ男の頭を握り潰して終わりだったため、せめてマフィアを全員八つ裂きにして欲しかった。リアリティだとかそういうものは無視したエンタメホラーとして観ればそれなりに楽しめる作品ではあるものの、宗教的に無縁な文化の地域や国にはあまりピンとこない作品かも知れない。
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