マリーゴールドの青野未来(あおの・みく)は10月26日の両国国技館大会で林下詩美の持つワールド王座に挑戦する。

 青野は昨年4月にアクトレスガールズからロッシー小川が旗揚げしたマリーゴールドに加わった。同年7月にはボジラを下し、新設されたユナイテッド・ナショナル(UN)初代王者となった。

 今年になって、1月に桜井麻衣にベルトを奪われたが、5月に引退した高橋奈七永の最後の相手を務めた。さらにこの夏に行われた『DREAM STAR GP』では9月14日、ビクトリア弓月を決勝戦で下して優勝トロフィーを手にし、真紅のベルトへの挑戦の名乗りをあげた。

青野未来の「心が折れそうになった」瞬間

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 同日の決勝進出がかかったリーグ最終戦では桜井をSTFに捕らえたが、時間切れの引き分け。決勝に進むことはできたが「桜井に勝ちたかった」という思いが強い。

「去年は桜井に対してはリーグ戦での印象はないですね。むしろ、Sareeeや奈七永さんとの戦いの方が印象に残っている」

 青野が桜井を意識するようになったのはUN戦をやってからだ。

「桜井はドンドン強くなっていく。チャンピオンになったからなのか。背負うものが大きくなったのか。執念深さが増した。私はUNの初代を獲れたのに、半年も経たずに桜井に負けた。ベルトを失ってから、挫折ではないですけれど、不安というか悔しい気持ちになりました。両国でベルトを巻いた時に自分の中でいろいろ変わった。ベルトが私を輝かせてくれた。あれからはベルトなしで輝かなきゃいけない。マリーゴールドに来て、初めて心が折れそうになりました。試合中の桜井コールに『私は必要とされていない?』と感じて。桜井とはこの間もドローだった。1月3日は負けたので、どこかでじっくりやりたい。STFでのギブアップ負けって悔しいので。あの時の桜井コールはすごかった。ただ、あの桜井コールで私は『求められてない』って気持ちになりましたけど、今は『相手を応援してあげてください』という気持ちになれます」

 GP決勝戦で弓月に勝った青野は笑顔を浮かべた。いい笑顔だった。そこから純粋な嬉しさが感じ取れた。

 筆者は青野の試合をマリーゴールドに来てから1年半見てきた。それ以前の青野は何度か見ているはずだが、ほとんど印象に残っていなかった。話したことも一度もなかった。試合しか見ていないから、「きつい性格なのかな」と勝手に想像していた。しかし「青野未来はやさしいですよ」という声が耳に入ってきた。

 そんなことを伝えると、青野は「プロレスラーですからね」と笑った。

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