フィンランド発のキャラクター・ムーミンの新作長編アニメーション映画がハリウッドでの制作中であると発表された。

2025年で80周年を迎える「ムーミン」シリーズ。新作映画は、アメリカで制作される初のムーミン映画となる。公開時期は未発表。

映画化は、フィンランドに本社を置くムーミン・キャラクターズ社(Moomin Characters Oy Ltd)が現地時間10月6日、公式サイトで明らかにした。

ムーミン新作アニメ映画、監督は『スティーブン・ユニバース』のレベッカ・シュガー

ムーミンの新作アニメ映画で監督/脚本をつとめるのは、アメリカ出身のクリエイターであるレベッカ・シュガーさん。

カートゥーン・ネットワークで2010年から放送されていた『アドベンチャー・タイム』のストーリーボードとして商業アニメデビュー。ストーリーだけではなく、アニメーションやデザイン、音楽も手がける人物だ。

『アドベンチャー・タイム』では、バイセクシャルの吸血鬼・マーセリンのキャラクター設定をはじめ、シリーズのLGBTQ+表現に大きく貢献した。

その後、同じくカートゥーン・ネットワークで放送されていた『スティーブン・ユニバース』の監督に抜擢。

直接的には同性婚を描くことはなかったカートゥーン・ネットワークの中で、はじめて明確に同性婚を描いたことが大きな話題に。後に続くカートゥーン・ネットワーク作品の表現に大きな影響を与える出来事となった。

なお、ムーミンの新作映画の制作は、アンナプルナ・ピクチャーズのアニメーション部門が担当。プロデューサーは「スポンジ・ボブ」シリーズ、「ラグラッツ」シリーズなどの長編映画を手がけたジュリア・ピスターさんがつとめる。

2025年で80周年を迎える「ムーミン」

フィンランド人作家であるトーベ・ヤンソンさんの最初のムーミン小説『小さなトロールと大きな洪水』が出版された1945年から80年経った今でも、世界中で愛される「ムーミン」シリーズ。

その後7冊の小説が刊行されており、これまでに60以上の言語に翻訳され、テレビシリーズは120か国以上で放送されている息の長いキャラクターコンテンツの一つだ。

新作映画は、トーベ・ヤンソンさんによる一連の小説をもとに制作。ムーミン・キャラクターズ社のCEO、ロレフ・クラックストロムさんは、新作映画について以下のようにコメントしている。

「レベッカ・シュガーさん、そしてアナプルナとこの歴史的な新作で協力できることを大変うれしく思います。この素晴らしいチームがどのようにムーミンの物語を再解釈するのか、そして古くからのファンにも新しい世代にも発見されるのか、とても楽しみです」

1950年代にまでさかのぼるムーミンアニメの歴史

ムーミンはこれまでに、TVアニメ、児童書、ビデオゲーム、映画など、様々な形で映像化されてきた。

新作映画が発表されたアニメに関しても、その歴史は1950年代にまでさかのぼる。最初のアニメ化作品である西ドイツの人形劇『Die Muminfamilie』以降、ほぼ10年ごとに新しいムーミンアニメが制作されてきた。

有名なものとしては、ポーランドの人形劇『The Moomins(Opowiadania Muminków)』、日本とフィンランドの共同制作による1990年代の名作『楽しいムーミン一家』、そして2019年に放送された3Dアニメ『ムーミン谷のなかまたち(Moominvalley)』だ。

アニメ映画としては、1990年代のアニメシリーズをもとにした『劇場版 ムーミン谷の彗星』をはじめ、これまでに複数の作品が制作。2014年にはトーベ・ヤンソンさんの1955年のコミックを原作とした長編アニメ映画『ムーミン谷の南の島で(Moomins on the Riviera)』が約40か国で公開された。

日本では80周年を記念して、2010年に公開されたパペットアニメーション『劇場版 ムーミン谷の彗星』の再上映が10月24日(金)よりスタートする。

『劇場版 ムーミン谷の彗星』予告編

執筆時点ではムーミン新作映画の日本公開については未発表。続報を待ちたい。

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タナカハルカ

武蔵野美術大学中退後、フリーのゲームライターとして執筆業を開始し、自身でもインディーゲームを開発。アイドルグループの運営スタッフやオーガナイザーとしても活動。2025年8月からKAI-YOUで編集/ライターとして従事。得意ジャンルは地下アイドル、インディーゲーム、モダンカートゥーンなど。著書に『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』(DU BOOKS)、『楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考』(双葉社)がある。

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