2030年で達成目標年を迎えるSDGsの“次”なるキーワードとされているのが、「SWGs」=サステナブル・ウェルビーイング・ゴールズだ。これは、SDGsの先を見据えた、人の幸福や福祉を重視する概念で、一人ひとりがより質の高い生活を送ることで、持続可能な社会を実現しようというもの。しかし、そもそも「ウェルビーイング」とは、いったい何だろう?

一般的には、「幸福な状態」「心身の健康」「質のいい生活が送れていること」などといわれてるけれど。その答えを探るため、まずは、それぞれの道で輝いている10人にインタビュー。さらに、ウェルビーイングを構成する5つの要素「P・E・R・M・A」を満たせる行動、食、場所などを紹介します。今回は、俳優の夏帆さんが登場。自身が一番心地よくいられる時間について教えてもらいました。

ウェルビーイングを高める5つの要素

【A】Accomplishment
達成

【M】Meaning
生きる意味

【R】Relationship
他者とのつながり

【E】Engagement
何かへの没頭

【P】Positive emotion
ポジティブな感動

ポジティブ心理学の創始者マーティン・セリグマン氏が提唱した、人が幸福な状態であるために重要だとする5つの要素。P(Positive Emotion)は、うれしい、おもしろい、楽しい、感激、感謝など、ポジティブな感情を持つこと。E(Engagement)は“何かへの没頭”で、瞬間を生き、目の前のことに集中すること。スポーツなどでゾーンに入った状態がこれに近いとされる。R(Relationship)は他者との関係性を表し、人とつながりを持ち孤独を感じない状態を表す。M(Meaning)は社会や地球に対して、自分ができることや生きる目的を自覚すること。A(Accomplishment)は達成感を得ることで、達成のために努力をしている姿勢も含まれる。この5つを満たしている人は幸福度が高いとされている。

参照:『ウェルビーイング』前野隆司・前野マドカ著(日本経済新聞出版)

私の心を満たす、読書時間。好奇心の赴くままに、本の世界に浸る幸せ訪れたのは、東京都江東区に古くからある古書店〈たなべ書店 本店〉。「小規模なお店や個人経営のお店は、品ぞろえに店主さんの色が感じられておもしろいですよね」(夏帆さん)

自身が一番心地よくいられるのは、知識欲と好奇心が満たされている状態という夏帆さん。それらをもっとも充足させるのが、読書と旅行なのだそう。彼女にとって、その本質はどちらも同じ。

「私は常に、新しいことを吸収したい!という欲があって。読書と旅行は、日常から離れて新しい知識を得たり、知らなかった文化や景色に触れられる大切な時間。とくに読書は、いつでもどこへでも“行ける”のがいいですね。現実の旅に出られる時間は限られていますが、物語の世界へなら、本を開けばいつでも行けるし、過去や未来、実在しない場所にだって行ける。私にとって本を読むことは、頭のなかで旅をしているような感覚なんです」

一度本を開いたら、時間を忘れて読みふける。本の世界に没入し、最後のページを読み終えたときこそ、心が満たされたことを実感する瞬間だという。

「小説や評伝、ノンフィクションなど、読むジャンルはそのときどきで違いますね。読み始めたらノンストップで読みきりたいので、何も予定のない日は、朝から晩まで読書をすることもあります。読書は特別なことではなく、日常のひとコマなので、アロマを焚いて、環境を整えて……といったことはとくにしていません。ごろごろしながら気ままに読みはじめて、気がついたら数時間経っていたり。そんな没入感も含めて、読書から得られる充足感は何ものにも代え難いですね」

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