掲載日

2025年10月6日

シャネルでのデビューを控えたパリで、3人の才気あふれるデザイナーが大きな注目を集めた。ミウミュウでエプロンを主役に据えたミウッチャ・プラダ、リジェネラティブ・シックを掲げたコペルニ、そしてカール・ラガーフェルドの旧邸で“エイリアン”の瞬間を演出したトム・ブラウンだ。

ミュウミュウ:エプロンで描く階級闘争

ミュウミュウで場内を驚かせるのは、やはりミウッチャ・プラダだ。絢爛のデモンストレーションが主流の今季にあって、彼女は女性とその仕事を讃えた。

コレクションを見るミュウミュウ - 2026年春夏 - ウィメンズ - フランス - パリミュウミュウ – 2026年春夏 – ウィメンズ – フランス – パリ – ©Launchmetrics/spotlight

ショーのキーアイテムであるエプロンは、数え切れないほどのバリエーションで登場。ティータオルのブラや極小タンクを合わせて背中の開いたドレスに仕立てたり、スタッズやミニミラーで覆ったり。工業用のカマーバンドのように、大工のエプロンへとミニマルにそぎ落としたり。

そして、炭鉱夫のドンキージャケットや、ミュウミュウの定番マストアイテムでもある擦れたレザージャケットの上に、粗いコットンのエプロンを重ね、太めのパンツとごついブーツを合わせて幕開け。まさに工場現場のファッション。

ムードは主婦から家政婦へと行き来し、花柄のラップ式ダスティングコートや、可憐なプレーリー調の花柄で仕立てたハウスドレスも登場。

男女混合のショーでは、俳優リチャード・E・グラントがワークパンツにケーブルニットのセーター、レザーのエプロンを合わせ、自動車工場のダンディな現場監督さながらに行進。ほかの男性陣も、古いフォード・ゼファーの後部座席から剥がしてきたかのようなディストレスドレザーのフリル付きエプロンで登場した。

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キャストのヘアは総じてフリジーで、ブリロたわしのよう。どこか追い立てられた気配すら漂い、小花柄のエプロンをつけた1950年代の主婦の写真からの引用だ。

「エプロンは私たちの歴史に深く根ざしています。エプロンは働いているというサインで、それ自体が良いこと。エプロンは私にとっていちばん好きな衣服です。工場から家庭に至るまで、歴史の中の女性たちの困難な生活と痛みがそこには宿っている。ファッションでは、華やかさや富裕層の話ばかりになりがちです。でも大多数の人々にとって暮らしはまったく違っていて、厳しい。今こそ、そのことに向き合うべきだと思いました」と、スマートフォンを手にした編集者たちに取り囲まれながらミウッチャは語った。

終始、階級闘争の気配が漂う。ゲストは工場の食堂のように、テーブルに腰掛けて鑑賞。とはいえ色気もたっぷり——ランジェリーをのぞかせる半透けのエプロンの“主婦”たちも。最後はシースルーのレースで作ったオールブラックのシリーズへ。ルイス・ブニュエルの『ある女中の日記』を踏まえ、ジャンヌ・モローが地方の殺人者に復讐する反ブルジョワ的風刺の古典映画に遊んだ。

「このショーに情熱のすべてを注いだの。とても怖かったけれど、うまくいったみたい!」と彼女は微笑んだ。大胆不敵さと、綱渡りのようなリスクを伴うランウェイ演出を難なくやってのける独自の力量に、満足の表情を浮かべて。

そして、見事だった直近のプラダのショーに続き、ミウッチャ・プラダが今日もなお、ファッションでもっとも影響力のある唯一無二のデザイナーであることを改めて思い出させた。

コペルニ:再生ファッションのルール、OK?

コペルニは月曜のランチタイム、パリでまたもやファッションの“初”を打ち立て、肌に栄養を与える衣服を基盤にしたコレクションを披露した。

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リジェネラティブ・ファッションの概念に基づき、プレバイオティクスとプロバイオティクスを配合したストレッチ素材を用い、肌を実際に修復・支援する100%バイオ由来のマトリクスで仕上げた3ルックのカプセルを制作。

HeiQスキンケアとともに開発されたこのカプセルのレギンス、トップス、タンクは「Coperni C+」と名付けられ、ポンピドゥー・センターの館内でお披露目されたクールで精緻なコレクションの核となった。

コペルニのデザイナー、セバスチャン・メイヤーとアルノー・ヴァイヤンは、ベラ・ハディッドへのライブ・スプレーペインティングからロボット犬の登場まで、シアトリカルな演出で知られる。今季は「ファッションは女性にも栄養を与えるべきだ」というアイデアに集中した、と、明らかに胸を熱くした様子のメイヤーがバックステージで語った。

リジェネラティブなピースに加えて、司祭のような襟を備えたスリムなテクニカル・トラックジャケット、ウィンドチーターを反転させたミニのコクーンスカート、ホットパンツに合わせたカッティングの冴えたマニッシュなブレザーも披露。モデルたちは、実はマッシュルームレザーで作られた見事なラフアウトのバイカージャケットのトリオを着用。脚を大胆に見せるフロントジップを二重に配したドラマチックなロングスカートも登場した。

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キャストは円形のセットを駆け巡り、足元には「スティッキーソックス」を装着。まるで足に有機的に生えたように見える新しいサンダルがその上に重なっていた。

アクセサリーもウェルネスの発想で遊び、お守り、イヤリング、ペンダント、さらには翡翠やラピスラズリで作られたバッグまで。多くはエルゴノミックなベルトやモバイルフォンホルダーを身につけ、ジムや仕事に向かう忙しいキャリア女性のムードを強調。サウンドトラックでは、ケイト・ブッシュが力強く歌う「This Woman’s Work」がそれを後押しした。

髪をジェルで撫で付けて小さなスパイクにねじり上げたキャストは、明らかに服を愛している様子。というのも、その装いは端正でシック、スポーティで、ときに実に美しかったからだ。

見事なコレクションであり、自己編集とファッションの規律がもたらす効用を教えてくれる好例でもあった。

トム・ブラウン:カールの旧邸宅に現れたエイリアン

宇宙人がやってくる、宇宙人がやってくる——彼らはカール・ラガーフェルドの邸宅に降り立ち、トム・ブラウンの素晴らしい装いをかき集めた。

トム・ブラウン 2026年春夏コレクション パリトム・ブラウン 2026年春夏コレクション パリ – FashionNetwork.com

このショーは『未知との遭遇』のテーマ曲で幕を開け、『ドクター・フー』のテーマで幕を閉じた。最初のモデルは異星人のようなグリーンのヘッドで登場。彼女が着ていたのはトムのクラシックなグレーのフランネルスーツ——ただし袖が6本、脚も同数に増えていた。

ブラウンの美意識の土台は、レトロなグレーの企業スーツ。とはいえ、彼はそこから驚くほど多くを引き出す。今季は、本人が愛情を込めて自ら開発したことが明らかな多彩な素材で、美しいミニジャケットを多数仕立てた。デグラデのサファイアツイード、ミントグリーンのコットンストライプ、淡いグレーのシアサッカーなど。

トム・ブラウン 2026年春夏コレクション パリトム・ブラウン 2026年春夏コレクション パリ – FashionNetwork.com

おなじみの幅広4本線ロゴでも遊び、ニーソックスやボクシングブーツのように見える要素を、見事な新作のスエードブーツへと昇華。そしてクリケット愛も健在——上質なカウンティ・クリケットのブレザーや、美しいインターシャのセーターも。

各モデルがLEDでルック番号を表示する小さなパネルを携えて歩き、ブラウンは一気にオーバードライブへ。白シャツにクラブタイ、小さなジャケット、その上にコートやヴァーシティジャケットまで——ひとつのルックの中で惜しみなくレイヤリングした。

トム・ブラウンの世界では、やり過ぎは決してやり過ぎではない。フィナーレでは大きな拍手が湧き、ゲストが外に出ると、17世紀の中庭に設けられたポディウムの上に『トワイライト・ゾーン』風のスーツを着た2人のモデルが、3体のエイリアンに守られて座っていた。

カールも、その光景をきっと気に入ったに違いない。

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