Xで「暴露した医」のアカウント名で美容医療業界の内情を啓発している匿名の医師がいる。代々医者家系に生まれ学生・研修医時代に美容外科を志すも美容医療業界の闇に触れ、現在は保険診療に従事し、勤務医として救急診療まで関わる現役医師だ。病院の跡取りという恵まれた環境にありながら、あえて美容医療の闇を告発し続ける理由は何か。今回、完全匿名を条件に「現代ビジネス」の取材に応じた。

「暴露した医」になったワケ

「私自身は美容が大好きで自分が受けるのも人と美容について話すのも大好きでした。正しい美容医療は人を幸せにしますから。しかし美容医療について詳しくなればなるほど『医療』としての正しさに疑念を覚えることが増えてきました。研修医終了後大手美容外科に就職することも視野に入れましたが自分は患者さんを実験的に扱って腕を磨くことは信条に反しましたので一旦医学をちゃんと勉強する時間を深めて外から美容業界をいい方向に進む手助けをしようと活動を始めました。」

“暴露した医”という過激なアカウント名にしたのにも医師の想いがあった。

「マーケティングの問題で『暴露した医』という名前にすると目が留まります。自分が伝えたいことは正しい医療の延長にある美容医療の素晴らしさですがそのためには影響力が必要です。当アカウントをどんなきっかけでもいいので目に留めてもらって綺麗になりたいみなさんに失敗や後悔をしてほしくないと思っています」

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 医師は日々、DMや質問箱で寄せられる相談に応じている。

「相談に対して、相談者の顔の特徴を踏まえ、こういう施術があり、こういう先生が僕の知っている限りではいいと思いますとコツコツアップデートを重ねながら美容医療の外にいる自分だからできる忖度や偏見のない意見を伝えています」

医師はそもそも保険診療よりも自由診療を支持している。

「保険診療よりも自由診療の方が、社会の資本主義システムとして普通なことだと思っています。例えば飲食店であれば、参入障壁が低いからこそ、いいお店から悪いお店まで存在し、その中で評価され、どんなお店が生き残っていくか競争原理が働きます。その方がいい業界になっていくのが普通であって保険診療はそこにジレンマを抱えています」

しかし皮肉なことに、その自由診療である美容医療こそが、多くの問題を抱えている。

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