PROFILE: (右)内田佳佑/「アンサー(ANSWER)」代表
(左)方森玲奈/「アンサー」スタイリスト(右)内田佳佑/「アンサー(ANSWER)」代表<br />
(左)方森玲奈/「アンサー」スタイリスト

PROFILE: (右)(うちだ・けいすけ)前サロンでは社歴2年目にして売り上げ歴代1位を記録し、翌年から店長に就任。2年半もの間、月間売り上げ1位をキープし、最高の月間売り上げは1200万円超。2025年5月に退社し、6月に東京・渋谷に「アンサー」をオープン。ミディアムパーマスタイルがSNSで話題。@keisuke__hair
(左)(かたもり・れな)得意なイメージはナチュラル&女性目線の韓国アイドル再現ヘア。一人ひとりに合った女性目線のおしゃれなメンズヘアを提供。8月に「アンサー」に加入。@answer__rena PHOTOS:KOUHEI KANNO

メンズヘアシーンをけん引するNEWジェネレーションヘアサロン「アンサー(ANSER)」。代表の内田佳佑氏は、前サロンで数々の金字塔を打ち立て、満を持して独立。その新天地に、業界が注目する一人の女性ヘアスタイリストが電撃加入した。方森玲奈氏だ。彼女はなぜ、有名サロンで築き上げた安定したキャリアを捨て、新たな挑戦の道を選んだのか。圧倒的な実力と華やかさを兼ね備えた二人がタッグを組むことで、一体どんな化学反応が起きるのだろうか。

「わくわくを求めた」。スーパースターが“挑戦”を選んだ理由

WWD:玲奈さんは、以前のサロンでもトップクラスの売り上げがあった。なぜ、その安定した環境を離れて、内田さんと一緒にやろうと決意した?

方森玲奈スタイリスト(以下、玲奈):内田さんから新しいサロンを立ち上げて挑戦するという話を聞いたのが、去年の夏頃だったと思います。その時の私も、いろいろ悩んでいる時期で。美容師として5年目で、周りからも「そのくらいの時期はめっちゃ悩むよ」と言われていました。

WWD:どのような悩み?

玲奈:すごく恵まれた環境にいることは分かっているのに、私は「もっと新しいことをしたい」「上に行きたい」という気持ちが強いので。そんな時に、内田さんの話を聞いたんです。既にすごいサロンにいて、売り上げもあってナンバーワンで、そのままいれば安泰なのに、自分のお店を出して挑戦すると。その話を聞いて「めちゃくちゃかっこいいな」と思い、「一緒に働かせてください」と私から言いました。

WWD:内田さんも5年目くらいの時は悩んだ?

内田佳佑代表(以下、内田):僕の5年目は、彼女ほどすごくなかったので、悩むベクトルが違いましたね。もう、上に行くことしか考えてなかったです。同世代の美容師には誰にも負けたくない、というくらい思考も行動もすごく尖っていた時期でした。成長を感じたのが25〜26歳くらいかな。お正月休み以外、長期休みは取っていなかったですし、旅行も全然行かなかったです。「俺はこれだけやってるから負けない」ということを見せつけたかった。本当に尖り散らかしてましたね。でも嬉しいことに、それを「かっこいい」と思ってくれるスタッフもいました。

WWD:サロンを立ち上げて2カ月ほど経ったが、初速は?

内田:順調です。仲間も増え、もう次の店舗も探しています。

内田代表と玲奈スタイリスト

「女性目線の“かっこいい”を提案したい!」。メンズヘアに懸ける思い

WWD:新しい環境への不安はなかった?

玲奈:楽しみでしたね。もちろん「お客さま、来てくれるかな」とか「うまくやっていけるかな」という不安はありましたけど、なんか「行ける気がする」と感じていました。他のスタッフさんも皆さんすごく優しくていい人たちばかりなので。楽しみの方が大きかったです。

WWD:そもそも、どうしてメンズスタイルをやろうと思った?

玲奈:私が最初に入社したお店が、男性客が6〜7割くらいのサロンだったんです。最初は女性もやった方がいいかなと思っていたんですけど、メンズのスタイリングがすごく楽しく感じてきて。それに、4〜5年前は女の子でメンズヘアをやっている美容師が、SNSですごく少なかったんです。有名な方が数人いるくらいだったので、「これ面白そうだな」と。女の子は、男の子にかわいくしてもらった方がかわいくなると、個人的には思うんです。だったら逆に、男の子も女の子がかっこよくした方がいいかなと。

内田代表と玲奈スタイリスト

「大事な指標は“客数”」。売り上げよりもファンを重視する哲学

内田:彼女を見ていて一番すごいと思うのは、売り上げももちろんですが、客数です。「アンサー」入社前に予約を開放したら、パンパンに埋まりました。

玲奈:予約の受け付けを開始して、本当に数時間で1カ月の枠が全部埋まりました。自分でもびっくりして。

内田:僕が一番大事にしているのは、売り上げではないんです。ずっと客数とリピート率を追ってきました。売り上げは単価を上げれば上がる。でも客数とリピート率は、その人にファンがいないと絶対に増えない。ごまかしが効かないんです。

WWD:野球でいうと、打率は操作できてもヒット数はごまかせない、というのに近いですね。

内田:まさにそれです。客数とリピート率の高い美容師が一番強い。だから彼女はすごい。可能性の塊ですよ。業界のメンズ美容というカテゴリーの中でも、女性スタイリストとしては圧倒的なリーダーに、これからなっていくと思います。

内田代表と玲奈スタイリスト

「自分のことが好きになれる」。二人が共有する感覚と未来

WWD:将来の目標は?

玲奈:すごく聞かれるんですけど、まだ明確なものはありません。ただ、美容師として有名になりたくて関西から上京してきたので、「自分の名前が残るような仕事がしたい」という思いでやってきました。大事な選択は、いつもその時の感覚で、悩まずに決めてきました。

WWD:感性タイプ。

玲奈:悩んで決めることって、結局どこかで悩んでいるんですよね。だから自分が「これだ」と思ったことをやってきました。内田さんと一緒にいると、なんだか自分がすごい人間に感じるんです。自分のことをもっと好きになれるというか、強くなれる感じがします。

内田:僕も彼女と似ていて、プレイヤー時代は給料明細を見たことがなかったんです。いくら稼いでいるかより、何を成し遂げたいかが強かった。その感覚がすごく似ていて、初めてこんなに意思疎通ができた。

WWD:同じマインドを共有できる仲間がいるのは心強い。

内田:感覚が伝わるって、すごく大事なことだと思います。だからこそ、僕が責任を持ってプロデュースしていきます。これはもう、ドラフト1位の選手が入ってきたようなものなので。業界を驚かせる準備はできています。

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