鹿児島市出身の監督が県内で撮影した映画が、2026年1月に全国公開されます。すでに世界各国の映画祭で受賞している注目の作品です。「生きること」をテーマにしたセリフの少ない映画。鹿児島の美しい風景が数多く描かれています。
3日、県庁を訪れたのは、鹿児島市出身の映画監督・伊地知拓郎さんと、プロデューサーの小川夏果さんです。
伊地知監督は、27歳。映画を学べるアジア最大の名門大学、中国の北京電影学院・監督学科に約400倍の倍率を突破し合格。日本に戻り、初めて制作したのが、来年公開される映画「郷」です。
(映画「郷」・伊地知拓郎監督)
「ここまで時間をかけて、もしかしたら誰にもみられずに最後は終わるんじゃないか、という不安の中で作っていた。全国公開がきまって、ホッとした気持ち」
地元・鹿児島で2020年から1年半かけて撮影。編集に3年費やし、構想から10年でようやく完成しました。
鹿児島で生まれ育ったプロ野球選手を夢見る一人の少年。人間社会の厳しさや大きな挫折を味わいますが、幼馴染との再会で、子供のころの記憶がよみがえります。夏の田園風景や噴煙をあげる桜島。自然に囲まれ、夢中で走り回った子供のころを思い出し、生きるとは何かを自分自身に問いかける物語です。
セリフを最小限に留め、四季折々の鹿児島の美しい景色がいたるところに描かれています。
(映画「郷」・伊地知拓郎監督)
「鹿児島は人類の宝だと思う。その美しさを再確認できるんじゃないか。鹿児島は大事だな大切。尊いと思ってもらえたらうれしい」
映画「郷」は2024年、上海国際映画祭のアジア新人部門で作品賞と監督賞にノミネート。伊地知監督は、日本人歴代最年少でノミネートされました。
さらに中国・重慶市で開かれた映画祭では、最高賞を受賞。ドイツやオランダの映画祭でも入選しています。また、文部科学省の選定映画になっていて県内の20校以上の中学・高校で上映されています。
(映画「郷」・伊地知拓郎監督)
「人生に行き詰っている方が、生きているって尊いことなんだ、今、生きている瞬間に感謝する、そして生きていこうと思えるような作品、それを感じてもらえたら嬉しい」
映画「郷」は、2026年1月2日にアミュプラザ鹿児島のミッテ10で先行公開。9日に全国公開されます。