公開日時 2025年10月03日 05:00
笑顔でインタビューに応じる西銘碧生さん=9月、石垣市内
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琉球新報朝刊
【石垣】石垣市出身の西銘碧生さんが脚本・監督を務めた自主制作映画「マイラストサマー~あなたと過ごす最後の夏~」(40分)が8月30、31日、石垣市内のライブハウスで上映された。上映のため帰省していた西銘さんに制作への思いなどを聞いた。
―1年かけて仲間たちと制作した。
「最初から映画制作を考えていたのではなく、出来上がっていた脚本を仲間たちに見せると『石垣島で撮影し映画にしよう』と背中を押された。俳優やスタッフは同じ大学(日本大学芸術学部映画学科)で学ぶ学生、高校生役の4人は地元で募集した。撮影機材は(市内の映像制作会社の)『映像工場』から借り、昨年8月中の7日間、島でロケをして、約1年かけて映画が完成した」
―資金はクラウドファンディングで集めた。
「目標の30万円を超え74万円集まった。大人千円、高校生以下は無料で上映し、延べ150人が見てくれた。スタッフ20人の旅費や滞在費など合わせ制作費用は100万円くらいかかった。印象的だったのは、東京出身が多くて石垣島は初めてというスタッフの反応。島の自然や美しい景観に感動する姿や島の人とは違う見方に、私も新鮮な気持ちになれた」
―共感したとの声があったと聞く。
「物語は、島に暮らす少女と東京から自分探しの旅に来た同学年の少女が出会い、心の揺らぎや成長を描いた青春ドラマ。悩みや葛藤を抱え、揺れ動く18歳の頃の私だ。上映後「痛いほど共感した」という女性や『見慣れた街が違っていた』とうれしそうな高校生もいた」
―防波堤は好きな場所。
「ロケ地に選んだ舟蔵公園は、私が中学生の頃、毎日のように通った場所。防波堤の目の前には海が広がり、後ろを見れば、公園広場で憩う家族連れ、はしゃぎ回る子どもたち、平穏な時間と風景に、いつも癒やされていた」
―いろいろな所に行きたいし、知りたい。
「書くことが好きなので、監督は封印し脚本に注力したい。小さい頃から好きだった旧盆を題材に構想を練っている。記憶のなかの18歳の私は『島の空気感』が嫌で、早く島から出たいと思っていた。しかし今では帰省のたびに東京に戻りたくない自分がいて、都会に住むことで島の良さや課題も見えてくるようになった。自分を殻に閉じ込めず、いろいろな所に行きたいし、知りたいと思っている」(聞き手・島尻修通信員)
にしめ・あおい 2004年生まれ。石垣市出身。八重山高校から大阪の通信制の高校に転校。卒業後、日本大学芸術学部映画学科に入学。同大学を中退し、25年4月、慶応大学文学部に再入学。