これまで、芸人、俳優、ラッパー、声優、ラジオパーソナリティなど多方面で活躍してきたゆりやんレトリィバァが映画監督を務める『禍禍女』(2026年2月6日公開)。昨日10月1日に、「Beyond Fest 2025」 の公式上映にて本作のワールドプレミアが開催。そのレポートをお届けする。

【写真を見る】集まった約500人の観客を沸かせたゆりやんレトリィバァ監督【写真を見る】集まった約500人の観客を沸かせたゆりやんレトリィバァ監督

「女芸人No.1決定戦 THE W」、「R-1グランプリ」の王者となり、芸人としてその名を轟かせるだけでなく、アメリカのオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」で海外進出。2024年にはNetflixシリーズ「極悪女王」の主演を務め、芸人として世界に挑戦するため、活動の拠点をアメリカ、ロサンゼルスに移したゆりやん。さらに今年7月16日にはYURIYAN RETRIEVER名義でソロアーティストとしてメジャーデビューするなど、その勢いは止まることを知らない。

2021年、あるテレビ番組で次に挑戦したいこととして「映画監督」と発言したゆりやんを観た本作のプロデューサーがコンタクトを取り始動した本企画。2024年のカンヌ国際映画祭の開催期間中に、カンヌの地で映画監督デビューが発表されて話題となった。

現地時間の9月23日から10月6日(月)まで、アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されている、ホラー、SF、ファンタジー、ブラックコメディなど、ジャンル映画の上映を中心に行う映画祭「Beyond Fest 2025」への正式出品が決まっている本作。観客動員としてもアメリカ最大級の映画祭で、昨年はキアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、サム・ライミ監督、そして本年度はアル・パチーノ、『ANORA アノーラ』(24)でカンヌ国際映画祭でパルムドール賞、アカデミー賞の作品賞などを受賞したショーン・ベイカー監督、ルカ・グァダニーノ監督などハリウッドで名だたる俳優や監督たちを迎えている。

「通訳は大丈夫」としつつ、「すみません、やっぱり通訳を…」と返し会場を笑いに包むゆりやん「通訳は大丈夫」としつつ、「すみません、やっぱり通訳を…」と返し会場を笑いに包むゆりやん

そして10月1日に、100年以上の歴史を誇る映画の殿堂Egyptian Theatre(エジプシャンシアター)で行われた公式上映とQ&Aに、ゆりやん監督が登壇。会場に詰め掛けた現地の観客やメディアの前で、ユーモアたっぷりに本作への思いを語った。

公式上映には約500人の観客たちが詰めかけ、彼らの前で『禍禍女』が初お披露目に。上映前にゆりやん監督が登場すると、観客からは大きな拍手と大歓声で迎えられ、「まず、来てくれてありがとうございます!とてもうれしく思いますし、感謝の気持ちでいっぱいです。そしてこのすばらしい歴史あるエジプシャンシアターで上映できて最高です。ありがとうございます!」と感謝の意を伝えたのち、「楽しむ準備はできてる!?」と、観客へのコールアンドレスポンスで会場を盛り上げ、スクリーンの幕が上がった。

公式上映後のQ&Aに登場したゆりやんは、MCから紹介を受けると、「(通訳に対して)地元民なので通訳は大丈夫です。ベストを尽くします!」と言い放ち、会場を沸かせる。しかし「このたくさんの人を見てどんなお気持ちですか?」という問いを聞いたゆりやんは、「すみません、やっぱり通訳を…」と切り返し、会場を大きな笑いに包む。ワールドプレミアを迎えたことについてゆりやんは、「まずはとても幸せですし、とてもありがたいです。観てくださって本当ありがとうござます。みなさんがとてもサポーティブでとても感動しました。笑ってくれたり驚いてくれたりのリアクションを見てすごくうれしかったです。ありがとうございます」と、この日足を運んだ観客へと感謝を語る。

この作品の制作のきっかけについて質問が飛ぶと、「私は芸人ですが、映画監督になるというのは子どものころからの大きな夢でした。4年前に日本のお笑いの大会で優勝した時に、『ゆりやんさんにとっての次のステップはなんでしょう?』と聞かれました。そこで私は『映画の監督をやりたいです!』と答えたんです。その取材を偶然、本作の高橋プロデューサーが見ていたんです。そしてすぐに彼は私のマネージャーに連絡してきて『ゆりやんと映画を作りたい』と言ってくれて、それがきっかけで今日を迎えました」と、作品が誕生したきっかけについても語った。

ゆりやん自身が観客を指名し感想を聞く時間も!ゆりやん自身が観客を指名し感想を聞く時間も!

Q&Aも後半になると、ゆりやん自身が観客を指名し感想を聞くというまさかの時間がスタート。観客の席まで乱入し客席まで監督が感想を聞きに行き、客席全体が爆笑と熱狂と興奮の渦となり前代未聞のQ&Aが繰り広げられた。鑑賞した観客からは、「彼女はマジで天才だ!こんな映画はいままで観たことがない。日本の映画が好きなんだけど今回のは特によかった」と絶賛するコメントや、「愛を捉える視点がとてもおもしろいと思ったしクラシックムービーからのインスピレーションを取り入れているのもとてもスマートだと思った。愛が映画にうまくアダプトされている。ゆりやんが愛されキャラなのがとてもよかった」と、作品に対する称賛の声が上がった。

エジプシャンシアターでのワールドプレミアを皮切りに、カナダで開催される第54回モントリオール・ニュー・シネマ国際映画祭や、スペインで開催される第58回シッチェス映画祭など、早くも20の海外映画祭への正式出品が決定している『禍禍女』。なかでも第45回ハワイ映画祭では、世界の映画界で新たな道を切り開く俳優や監督に贈られる「Halekulani Vanguard Award」(新進映画芸術家賞)をゆりやんレトリィバァが映画監督として受賞。この賞は、同映画祭の新進映画芸術家賞で、文化に新たな革新をもたらした者に贈られる賞で、毎年贈られる賞ではなく、該当者がいる時のみ渡される特別な賞だという。

過去には、2023年に『怪物』(23)、『BAD LANDS バッド・ランズ』(23)などで国際的評価を得た安藤サクラが受賞しており、10月17日(金)で行われる授賞式にゆりやん監督本人が出席して受賞する予定となる。わずか2か月間で、15か国、20の海外映画祭への正式出品が決定。そのうち、11の映画祭で、コンペティションや賞にノミネート選出されており、映画『禍禍女』の海外でのさらなる評価が期待される。

プロデューサーが、撮影にいたるまでの約1年間、ゆりやんから恋バナを聞き続けて生まれたという禍禍女』。ゆりやんのいままでの恋愛のすべてが詰め込まれた(!?)『禍禍女』の今後の続報にも期待が高まる!

文/サンクレイオ翼

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