“なんで私が「共演者いじめ」って書かれたかというと、たまたまそのとき共演していた若手の俳優さんが、勉強とお芝居の両立がうまくいかなくて、現場の進行が滞ったことが多かったんです。それで、あるとき私が、「私たちはあなたに精一杯協力しているんだから、セリフぐらいちゃんと覚えてきなさい」と注意したんです。本当は番組のプロデューサーが言うべきことを、私が代わりに言ってあげたの。私自身、先輩から注意されて、たくさん怒られて、それで今があると思ったからなんです。”
自身のエッセイ『終活やーめた。元祖バッシングの女王の「ピンチを福に転じる」思考法』で「共演者いじめ」とバッシングされた背景をこのように綴っている泉ピン子さん。
2025年9月には78歳の誕生日をむかえたが、現在放送中のドラマ『『寺西一浩ミステリー・SPELL・死因』(BSフジ 日曜24時30分~25時)に霊能者役で出演中で、10月28日には東京・三越劇場での講演会も控えている。さらにこの日には佐藤隆太さん、星野真理さん、あめくみちこさんと公開記者会見が予定されていて、新たな発表もあるのだという。
本書より、パワフルに活躍し続ける秘訣をお伝えする第6回は、「共演者いじめ」といわれた背景をお伝えしている。前編では冒頭のように「はっきりものを言った」ゆえにいじめと言われてしまったことや、叩かれやすかった状況をお伝えした。
後編では「助けてもらった」という大先輩についてお届けする。
撮影/大坪尚人
百人の敵より大切なのは一人の理解者
バッシングされたときは、「ああ、さみしいな。どうしてわかってくれないのかな」と思って、私だって落ち込みましたよ。独身の頃なんかとくにね。でも、結婚したら夫は、私なんかよりずっと能天気で、だからこそ良き理解者でいてくれることがわかったし、事務所を独立して多額の借金を背負ったときは、芸能界の先輩が、手を差し伸べてくれた。私なんかよりもっと百戦錬磨の先輩たちには、ずいぶん助けられました。
「ママ」と呼んでいた橋田寿賀子さんとピン子さん。橋田さんはピン子さんを心から信用しているひとりだった 写真/『終活やーめた。』より
周りに敵が多い人、バッシングされやすい人は、そんなことでいちいち傷ついてい たら時間の無駄です。百人の敵よりも、大切なのは一人の理解者。みんなに好かれようなんて思わなくていいから、夫でも恋人でも友人でも、自分のことを本当にわかってくれて、対等の立場で気持ちをぶつけられる人を見つけて、その人のことを大事にすればいい。
私も橋田先生の散骨のことを「噓だ!」と決めつけた報道に腹は立ったけど、朗読劇をやって最後にお客さんから拍手をいただいたとき、バッシング報道で 受けたダメージなんていっぺんに消えちゃった。とくに今は、舞台の上にこそ、生きる真実があると思える。だから、私は強くいられるのです。