マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)の2026年春夏コレクションが、2025年9月30日(火)、フランス・パリにて発表された。テーマは「Reflection(内省)」。
幼少期の朧げな記憶と和ガラスの習合
マメ クロゴウチの2026年春夏コレクションは、デザイナー黒河内真衣子の幼少期の日常を彩った長野の風景にインスパイア。祖母の家の窓ガラス越しに霞む山並み、雫を落とす氷柱、氷の下を流れる春の清流。朧げな記憶の情景を再訪すると、そこには透明な儚さと優しい気配が漂っていたという。
昭和の磨ガラス窓が招き入れる、光のゆらぎに包まれた記憶は、やがて江戸時代から明治大正時代に隆盛した日本独自の和ガラスの世界と習合。これらに共通する透明性やゆらぎ、幽かさ、静寂が衣服へと落とし込まれ、コレクションを満たしてゆく。
氷やガラスを思わせるシアーピース
散見されたのは、氷やガラスの“透け”をイメージしたシアーピースだ。スクエアネックのトップスやロングスカートには、昭和期の磨ガラスを思わせる、星々や草木などのモチーフを配したシアーなジャカードジャージー素材を採用。クラシックなテーラリングもまた、光のヴェールのように軽やかな素材でノスタルジックに仕立てられている。
儚げな煌めきを纏って
抒情的なムードをより加速させるのが、儚げな煌めきである。雪を抱く長野の山々と樹氷の美しさは、そのまま氷のように透明な輝きの糸を無数に纏ったテーラードのセットアップへと昇華。光に反射してキラキラと煌めく蔦柄のジャカードニットドレスは、薄氷のようにひんやりとした艶めきのPVCバッグとともに提案されている。
優美なカッティングと心地よいシルエット
コレクション全体に通底する優美なカッティングとリラクシングなシルエットは、和ガラス特有の柔らかな膨らみをイメージしたもの。ノーカラージャケットは襟のラインを曲線的に流し、ニットはふんわりと丸みを帯びたバルーンスリーブに、マーブル模様のドレスは豊かなドレーピングとスリット使いによりふんわりと身体を包み込むフォルムに仕上げている。
長野の朝焼けを思わせるマーブルカラー
和ガラスが湛える独特の儚い色香は、薄青、紫、黄、乳白といったカラーで表現。その中に、黒河内が祖母と過ごした時間への哀愁を込めた、長野の朝焼けの色を織り交ぜている。ピンクやパープルがオーロラのように揺らめくショートジャケットやスカートは、京都の工房で手作業で染め上げられたもの。三層織により、淡い記憶をそのまま可視化したような、ぼんやりと霞んだ表情を引き出している。
凍った花弁がモチーフのシューズやアクセサリー
コレクションを彩るアクセサリーやシューズは、“凍った花弁”がモチーフ。氷柱のように繋がった花々のピアスをはじめ、花の立体モチーフを配したチョーカーやベルト、フローラルモチーフが咲き誇るサンダルなどが登場し、イノセントなムードを添えた。