掲載日

2025年10月1日

クレージュのニコラ・ディ・フェリーチェとドリス・ヴァン・ノッテンのジュリアン・クラウスナーという、若手ながら経験豊富な2人のデザイナーは、革命的なクリエイターが創設したメゾンで、独自性のあるファッションをどう生み出すかを改めて思い出させてくれた。2人の母校は、どちらもブリュッセルのラ・カンブルだ。

クレージュ:太陽に眩まされて

少なくとも取捨選択の巧さという点では、いま最も優れたデザイナーはニコラ・ディ・フェリーチェ。彼がクレージュで披露した最新ショーは、精度、キレ、そして磨き上げの見本だった。

クレージュ2026年春夏コレクションクレージュ2026年春夏コレクション

今回もディ・フェリーチェは、19世紀の錬鉄製マーケットの中に、円形ベンチを環状に配した、真っ白な完璧な円形セットを設えた。続いて、頭上の超高輝度照明を全開にし、「イカゲーム」の試練にふさわしいほどの明るさに。あまりの明るさに、クレージュは各招待状に小粋なオールブラックのサングラスを添えて配った。

「“太陽に目をくらまされる”という感覚、つまり何が真実で何がフェイクか。情報が多すぎて、少し圧倒される。そこから始めたんです」とニコラは語った。数秒後、クレージュを傘下に持つケリングのフランソワ=アンリ・ピノー会長が、満面の笑みで彼を短く抱きしめた。

オープニングのルックはアイシーなブルーで冷ややか、シルエットはタイト。モデルの顔は日差しを遮るベールで覆われていた。そこから徐々に緩め、コレクションの大半を天然素材で仕立て、シャープなレザーも合わせた。ラインは端正で厳格でも、服は着心地がよさそうだ。

アンドレ・クレージュのDNA、特に60年代のアイデアを、大胆に掘り下げている。たとえば、アンドレのシグネチャーである極小ベルトを用い、無数の小さなベルトで巧みにいくつものカクテルドレスを仕立てるなど。

フラットシューズ、足に手袋のように吸い付くスリングバック、透明なブーツはいずれも冴えがあり、サウンドトラックも同様だ。ニコラとエルワン・セーヌの共同作曲による、うねるギャラクティック・ファンクが流れ、フランス語の声がその時刻の気温を告げる。セクシーに響くのは、フランス人女性のアクセントならではだ。

クレージュ2026年春夏コレクション(パリ)クレージュ2026年春夏コレクション(パリ)

自動車用のサンシェード(サンバイザー)から着想した長方形のモチーフを、未来的なドレスに落とし込んだルックの数々で締めくくり。アンドレ・クレージュがファッション界にもたらした未来主義は、今日では陳腐に見えることもしばしば。しかし、ディ・フェリーチェは常に、そこに本来体現されるべき未来への楽観と信念を与えることに成功している。

2020年にルイ・ヴィトンからクレージュに移ってからの約5年で、ディ・フェリーチェはそのショーを、ファッション界で最もホットな六本のひとつに押し上げた。何千人ものファンが、ショーのたびに来場するゲストに悲鳴を上げ、歓声とコールを送る。

クレージュは巨大メゾンではないかもしれないが、ケリング/アルテミスのラグジュアリー帝国の中で今最もホットなメゾンだ。その最大の立役者はディ・フェリーチェ、そして彼に自由を与える賢明な経営陣である。

ドリス・ヴァン・ノッテン:定評の手腕

ドリス・ヴァン・ノッテンの最新ショーは、スカンジナビアにいるかのような錯覚さえ覚えるほど。プリントは1970年代のヴァーナー・パントンのデザインに酷似し、あるいは過去10年間のマリメッコのカラーにも通じる。

コレクションを見るドリス ヴァン ノッテン - 2026年春夏 - ウィメンズ - フランス - パリドリス ヴァン ノッテン – 2026年春夏 – ウィメンズ – フランス – パリ – ©Launchmetrics/spotlight

見た目はたしかに目に心地よいが、どこか既視感がある。とはいえ、デザイナーのジュリアン・クラウスナーによるパフォーマンスは洗練されていた。ハウスの最新ウィメンズコレクションは、ストリートスタイルとリッチなファブリック、そしてレディライクなひねりが融合した、いわば実にドリス・ヴァン・ノッテンらしい内容だった。

会場はパレ・ド・トーキョーの全く飾り気のないアートスペース。置かれたのはルイ16世様式の椅子400脚とゲストのみ。視線はすべて服に向かい、ショーは数多くのショートジャケットで幕を開けた。サーファーのシルエットやウェットスーツの形にインスパイアされつつ、小さなプリーツやフリル、色使いを添えている。ライム、ライケン、ペールグレー、カナリアイエローなど、軽やかでエアリーな色使いのジャケットはどれも魅力的だ。

「陽気で、楽観的で……60年代がそうだったように」と、元メゾン・マルジェラのスタッフであるクラウスナーは、ショー後のグループチャットで語った。靴、袖、襟、Tシャツをストラスやクリスタルで仕上げ、海のきらめく光を想起させる。

コレクションを見るDries Van Noten - 2026年春夏 - ウィメンズ - フランス - パリDries Van Noten – 2026年春夏 – ウィメンズ – フランス – パリ – ©Launchmetrics/spotlight

ドリスのテーラーとしての豊かな歴史に敬意を表し、ジュリアンは高くそびえる襟、角度のついたポケット、堂々たるプロポーションを備えた、気品ある貴族風のコートを見事に仕立てた。ブロークン・ディスク柄やトロピカル・リーフ柄で仕上げ、まさに上品なパントン風。そして今回もまた、どこか馴染みすぎている。

6月の圧巻のメンズウェア・コレクションに続き、今回は少し後退した印象だ。

それでも完成度は高い。要するに、ドリスは極めて確かな手腕に委ねられている。

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