『恋ノチカラ』とは、2002年1月からフジテレビで放送されたラブコメディドラマである。脚本は相沢友子。主演は深津絵里と堤真一で、矢田亜希子や坂口憲二などが出演する。広告代理店の庶務課に勤める30代独身OLの本宮藤子は、憧れの広告デザイナーである貫井功太郎から引き抜きの誘いを受ける。悩んで誘いを引き受けた藤子だったが、人違いであったことが判明する。30代で仕事や恋に夢を見ることを諦めていた藤子が、転職を機に再び夢に向かって奮闘する姿を描く。本作は最高視聴率20.6%の高視聴率を記録した。
『恋ノチカラ』の概要
『恋ノチカラ』とは、2002年1月10日から2002年3月21日までフジテレビの木曜劇場枠で22時から放送されたラブコメディドラマである。脚本は『ミステリという勿れ』や『鍵のかかった部屋』などを手掛けた相沢友子。主演は深津絵里と堤真一で、矢田亜希子や坂口憲二などが出演する。
大手広告会社のユニバーサル広告社に勤める30代独身OLの本宮藤子(もとみやとうこ)は、3年前までクリエイティブに所属していたが、ミスをして庶務課に左遷されてしまった。そんな自分に焦りを感じていた藤子の元に、ユニバーサル広告社に勤めていた人気クリエイターの貫井功太郎(ぬくいこうたろう)から独立するにあたって引き抜きの誘いがかかる。憧れの貫井からの誘いだったため、悩みぬいた末に会社を辞めて誘いを受けることにした藤子だったが、それは人違いであったと判明する。貫井から帰ってくれと言われた藤子は会社を辞めて来たんだから責任を取れと激怒し、彼の言うことを聞かずに彼の職場に通い始めた。これをきっかけに藤子は諦めかけていた夢に向かって、恋と仕事に奮闘することになる。
恋や仕事に夢を見ることを諦めた独身の30代女性が、再び夢を追いかけていく姿が見どころとなっている。本作は平均視聴率16.9%を獲得し、最高視聴率20.6%を記録。第32回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞を深津絵里が受賞した。2005年には韓国でリメイクされた。
『恋ノチカラ』のあらすじ・ストーリー
貫井からの誘いで引き抜かれる藤子
ユニバーサル広告社に勤める30代独身OLの本宮藤子(もとみやとうこ)は、3年前までクリエイティブに所属していたが、ミスをして庶務課に左遷されてしまった。そんな自分に焦りを感じていた藤子の元に、ユニバーサルに勤めていた人気クリエイターの貫井功太郎(ぬくいこうたろう)から独立するにあたって引き抜きの誘いがかかる。憧れの貫井からの誘いだったため、悩みぬいた末に誘いを受けることにした藤子だったが、それは人違いであったと判明する。貫井から帰ってくれと言われた藤子は会社を辞めて来たんだから責任を取れと激怒し、彼の職場に通い始めた。
貫井は独立して「貫井企画」を立ち上げるもユニバーサルに妨害され、崖っぷちに立たされる。若手実力派のクリエイターで貫井企画に引き抜かれた木村壮吾(きむらそうご)に、貫井は仕事に対する熱い思いを語る。そんな貫井の話を聞いていた藤子がユニバーサルに戻ることになったと報告すると、彼は巻き添えにして悪かったと謝罪した。
翌日、藤子はユニバーサルに復職するため、営業部の吉武宜夫(よしたけのぶお)の元を訪れる。藤子はそこへかかってきた電話で、貫井と仕事をする予定だった企業が吉武に指示されてその仕事をキャンセルしたと知る。その瞬間、藤子は貫井が語っていたことを思い出し、ユニバーサルに戻ることを止めて再び貫井の元で働くことを決めた。
崖っぷちの貫井企画
信頼していた吉武に裏切られたことを知った貫井は大きなショックを受ける。そんな中、壮吾が大雪で金沢から戻れなくなり、広小路製薬の宣伝部長の娘との食事会に行けなくなって貫井に助けを求めてきた。女性が苦手な貫井は女をたらしこんで仕事をもらうなんて嫌だと拒否するも、藤子は嫌なことを拒否して今までのコネだけでやって行けるほど甘くないと彼を叱る。貫井は今回だけだと割り切り、食事に参加することを決める。その食事会に来たのは、藤子と同居している倉持春菜(くらもちはるな)だった。春菜は食事会を楽しみ、貫井に好意を持つ。
しかし後日、春菜は貫井たちが仕事のために自分に近づいたことを知り、ショックを受ける。それでも春菜は彼らが経営難であることを知っているため、父の倉持堅(くらもちけん)に自ら交渉すると決意。貫井たちが考えた企画案を持って堅の元へと向かう。しかし堅は娘を利用する貫井たちのやり方に反発し、企画を開いてもくれなかった。昔春菜の兄である倉持勇祐(くらもちゆうすけ)と付き合っていた藤子は堅とも面識があったため、春菜の話を聞いて彼の家に行き、企画に目を通すだけでいいと説得した。その後、堅は貫井の企画案に目を通し、彼の企画を採用することに決めた。これを知った一同は大喜びし、貫井は春菜に会いに行ってお礼を言った。その時春菜は藤子が堅を説得したことを伝えることはできなかったものの、その後も貫井が勘違いしていたため、結局真実を伝えた。
営業担当が必要だと感じた藤子は、無謀にも貫井企画に圧力をかけている吉武を説得する。案の定、吉武に断わられたものの、後に貫井から思いを伝えられた吉武は貫井企画で働くことを決意した。それから吉武は早速これまでの人脈を駆使し、新たな仕事を取って来て実力を見せつける。
一方、春菜は貫井とデートに行ったものの、その後は仕事で忙しい彼から連絡を無視されて拗ねてしまう。藤子と壮吾は女心が分からない貫井にキスのやり方を練習させる。その際に貫井は藤子に酔っぱらってキスしてしまい、2人は気まずい空気になる。それから春菜とデートに行った貫井は彼女に気持ちを伝えられてキスをした。
貫井企画は初の給料日を迎えるも一同は現実の厳しさを痛感し、ショックを受ける。そんな中、吉武は大手旅行会社のJPNリゾートの仕事を取って来ることに成功して貫井は広告デザインを担当することになるが、JPNリゾートの社長にデザインを指定される。貫井は嫌悪感を抱きながらも吉武に説得され、仕方なく指示通りにデザインした。貫井らしさが欠けるデザインに藤子は不満を抱き、吉武に意見するが、吉武は彼女の意見を突っぱねる。しかしその後、吉武は社長から貫井を軽んじる発言をされたことに激怒し、契約を解消することになった。吉武はこれからは貫井の好きなようにデザインさせたいと考えを改め、藤子に大切なことに気づかされたのだった。
元カレにプロポーズされる藤子
藤子の元カレである勇祐がミラノから戻って来て、突然彼女にプロポーズする。しかし勇祐はミラノで暮らしているため、結婚すると仕事を辞めなければならず、藤子は悩んでしまう。貫井を始めとした周囲の人物は結婚の後押しをする。だが藤子は貫井企画にいたいという理由で、勇祐のプロポーズを断った。
一方、貫井企画にカモノハシビールの広告の仕事が舞い込んでくる。貫井はやる気になっていたが、吉武の提案でそれは壮吾が担当することになる。しかしその後、ひょんなことから貫井はカモノハシビールが貫井をNGにして壮吾に仕事を依頼してきたことを知ってしまい、落ち込んで自信を失ってしまう。そんな貫井を見かねた壮吾は自分が受け持っていた別の仕事を貫井に与えようとするが、情けをかけられて腹を立てた彼は壮吾と喧嘩になってしまった。貫井はそのまま事務所を抜けようとするが、藤子は貫井に憧れてついて行こうと思ったことを語り、今の貫井にはがっかりだと本音をぶつけた。翌日、頭を冷やした貫井はいつも通りに事務所に現れ、藤子に謝罪した。
貫井企画を辞める藤子
藤子との一件以来、自分を見つめ直した貫井は今までの実績に頼らず、新しいヒット商品を生み出し実力を試したいと考える。そこで貫井は藤子が担当していた楠木文具からの文房具を売れるようにしたいという依頼を受け、新たな商品を考えることを決意した。それから藤子と貫井は新商品としてエンピツネズミを考えて売り出す。
そんな中、貫井のことが好きだと気づいた藤子は春菜と彼を見ることが辛くなり、貫井企画を辞めて引っ越しをすることを決める。そして藤子は貫井や壮吾に何も言わず、吉武だけに辞職を伝えて、ひっそりと事務所を去った。
一方、エンピツネズミは思ったように売れず、貫井は閉店することになった楠木文具に謝罪に行く。そこで楠木文具に挨拶に行っていた藤子も貫井と鉢合わせする。楠木文具の社長は自分が強引に商品開発を進めたせいだと謝罪する貫井に対し、どの道ここは潰れていた、あなたたちには最後に良い夢を見せてもらったと感謝した。
その後、藤子は見合い相手にドタキャンされたことから1人でレストランなどに行こうとするが、貫井から付き合ってやると言われ2人でデートすることになる。そして改めて藤子は貫井のことが好きなことを認識するが、何も言わずに彼と別れた。
そんな中、貫井はついに経営難から事務所を畳むことを決意し、春菜にも別れを告げた。
だがある日、突然エンピツネズミが爆発的に売れ始め、楠木文具は店じまいを撤回。貫井企画にも莫大な報酬が舞い込み、事務所を続けることになる。壮吾にその祝いの飲み会に誘われた藤子は、彼の計らいで貫井と2人きりになる。そこで貫井から戻ってこないかと誘われた藤子だが、事務所を辞めた理由は貫井が好きだからだと伝える。すると貫井は藤子がいなくなってから彼女の存在の大きさに気づいたと告白し、2人はキスを交わした。そして藤子は貫井企画に戻り、貫井と交際することとなったのだった。
『恋ノチカラ』の登場人物・キャラクター
主要人物
本宮藤子(もとみやとうこ/演:深津絵里)
本作の主人公で、大手広告会社のユニバーサル広告社に勤める30代の独身OLである。明るく素直で真っすぐだが、不器用な面がある。酒好きで楽して痩せる通販グッズを買いあさっており、大学時代に付き合っていた倉持勇祐(くらもちゆうすけ)の妹である倉持春菜(くらもちはるな)と同居している。3年前まではユニバーサルのクリエイティブに所属していたが、会社のロゴを間違えるミスを犯し、庶務課に左遷される。やりたいことができなくなり、焦りを感じながらもどうすればいいか分からず、夜な夜な酒を煽っていた。そんな時、人気クリエイターの貫井功太郎(ぬくいこうたろう)から引き抜きの誘いを受ける。安泰な大企業の仕事を辞めることに悩むも、かつてミスをした際に憧れの貫井に励ましてもらったことから彼に好感を持っており、引き抜きの誘いを受ける決意をする。しかし貫井の人違いであったことが判明し、帰れと言われるが、仕事も辞めて来たため激怒して貫井の元で働くことを選ぶ。憧れていた貫井の姿とは真逆の偉そうで口の悪い彼に幻滅し、時に言いたいことを言い合ってぶつかり合うことも多かったが、春菜と彼が交際したことで自分の気持ちに気づく。そして貫井と一緒にいることが辛くなり、事務所を辞めて引っ越しをする。その後、貫井と再会して好意があったことを伝えたところ彼からも思いを伝えられて交際することとなり、事務所に戻ることになった。
貫井功太郎(ぬくいこうたろう/演:堤真一)
画像左側が貫井功太郎
本作の主人公である。ユニバーサル広告社に勤める人気クリエイターで、仕事一筋で才能があり、女性に興味がなく女心が分からない。上司と意見が対立したことから退社して独立し、若手クリエイターの木村壮吾(きむらそうご)を引き抜いて貫井企画を立ち上げる。壮吾が女性が1人欲しいと言ったため秘書を雇おうとしていたが、人違いで藤子を引き抜いてしまう。人付き合いが得意ではなく、口が悪くわがままで藤子に対して悪態をついていた。しかし藤子に叱られて苦手なパーティーや接待に参加したり、彼女に悪いことをした時は謝罪するなど素直な面もある。壮吾の代わりに仕事のために行った春菜との食事会で彼女に好意を持たれ、デートを重ねるようになる。藤子に対しては恋愛感情はなく男友達のように扱っていたが、彼女が事務所を辞めたことで存在の大きさに気づき、春菜に別れを告げて藤子に思いを伝えた。貫井企画は経営に苦しみ、事務所を畳む寸前だったものの、楠木文具の新商品が爆売れしたことで経営を続けることとなった。
倉持春菜(くらもちはるな/演:矢田亜希子)
広小路製薬の宣伝部長の娘で、藤子が昔付き合っていた勇祐の妹である。1人暮らしをすることを親に許してもらえず、藤子に相談したところ、彼女にルームシェアを提案されたことから同居することになった。世間離れしたお嬢様育ちで、昼は銀行で働いており、夜は図書館司書の講座に通う努力家。藤子にとても懐いており、勇祐が彼女と別れた際は自分のことのようにショックを受けて号泣し、勇祐を責めていた。貫井と食事をしたことをきっかけに彼に好意を持ち、恋愛関係となる。貫井からは紳士で大人な対応をされていたが、藤子には楽しそうに気兼ねなく接している彼を見て嫉妬心を抱く。後に貫井に別れ話をされた際、初めから好きではなかったと言われたことにショックを受けて彼を平手打ちした。その後は司書の試験に合格し、夢であった図書館司書として働くこととなった。
木村壮吾(きむらそうご/演:坂口憲二)
画像左側が木村壮吾