1982年に世界で初めて長編映画としてCGを本格導入し、革新的な技術とビジュアルで世界を席巻した伝説のSF映画『トロン』(82)の15年ぶりの最新作となる『トロン:アレス』(10月10日公開)。本作の東京侵食ナイトが9月29日にTOKYO NODE HALLで行われ、お笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザーと、お笑い芸人のスギちゃんが出席した。
『トロン:アレス』東京侵食ナイトが開催された
本作はジェームズ・キャメロン、ジョージ・ルーカス、ピーター・ジャクソン、ティム・バートン、ウォシャウスキー姉妹など名だたる映画監督に影響を与えた伝説的SF映画『トロン』から始まったシリーズの最新作。主人公となるのは、AIプログラムを実体化する画期的な発明によって開発された、AI兵士のアレス(ジャレッド・レト)。彼は圧倒的な力と優れた知能を備えた史上最強の兵士だが、現実世界で人間を知ったアレスにある異変が起きる。やがて制御不能となったAIたちは暴走を始め、デジタル世界が現実世界を侵食していく…。
真っ赤に染まった世界に降臨!
この日は「人間はもうすぐ仮想世界に到達する。だが、我々が行くのではない、彼らがやってくるのだ」という予告編のセリフを合図に、ナイン・インチ・ネイルズによるデジタル・ビートに乗せてダンサーたちのパフォーマンスがスタート。パフォーマンスの最後に本作と同じ“赤”がトレードマークのカズレーザーが登場し、スギちゃんはいつもの青いGジャン姿から一転、赤色の衣装に身を包んで姿を現した。赤く染まった世界に立ち、カズレーザーは「しっくり来ましたね。ここで一泊したいくらい」と笑顔。スギちゃんは「赤くなってしまったぜぇ。用意してもらって。ありがてえぜ。赤、ほしかったからよ」とスギちゃん節で感謝を伝えた。
カズレーザーは「しっくり来ました」と笑顔
戦場で倒れてもすぐに作り出せてしまうAI兵士が出現し、現実の世界を侵食していく本作について、スギちゃんは「恐ろしい。倒されてもすぐ再生されちゃう。どうやって倒したらいいのか、考えただけでもゾッとするぜ」と恐怖を口にし、カズレーザーは「AIが身近になって久しい。そのなかで未来を想像するのは難しい。新しいけれど、遠すぎない未来をこういう形で描くんだなと思った。人間よりもすべてが優れている存在で、どうやって話を作るのか気になる」とコメント。
スギちゃんも赤に変身!
また本シリーズは世界中のポップカルチャーにも影響を与えているといわれているが、スギちゃんが「音と光が、映画のなかにバーッと出てくる。ライブでも盛り上がる音楽と光(の演出)は、『トロン』から来ているんじゃないかと思う。『トロン』はいろいろなところに影響を与えていて、『トロン』が原点」と想いを巡らせると、カズレーザーも「『トロン』が結構な人の未来のイメージを作っちゃった気がする。その影響下から抜け出すのはかなり難しい。ガジェットのエッジを光らせると『トロン』ぽく見える。そのイメージを『トロン』が広げている」としみじみと語る。
「トロン」シリーズは、「あらゆるポップカルチャーに影響を与えている」と語ったカズレーザー
そして映画の内容にちなみ「デジタル世界のなにを現実世界に実体化させたいか?」という質問が投げかけられるひと幕も。スギちゃんは「熱烈なスギちゃんファン、100人を実体化させたい」と希望。「いまの世界のなかで実際に確認できるのは、5、6人」だとぶっちゃけると、カズレーザーが「絶滅危惧種ですね!イリオモテヤマネコより少ない!どこを探したらいるんですか!」とツッコんで、会場も大笑い。カズレーザーは「AIによって作られたスギさんファンを狩るヤツ」を実体化させたいと続き、「お前らは偽物だ!と摘発します」と野望を吐露。
『トロン:アレス』東京侵食ナイトの様子
また「自分にとってAIの存在はどのようなものか?」と聞かれたスギちゃんは、「ネタを書いたりすることもできるAIがある。しかしAIに携わる方に聞くと、まだスギちゃんのレベルには達していない。だから安心しているぜぇ。スギちゃんのほうがまだおもしろい」とニヤリ。カズレーザーが「AIにはワイルドさがないですもんね!」と同調すると、スギちゃんは「私は相当ワイルドですからね。まだ私のほうが先を歩いているなという感じはするぜ」と自画自賛した。「特にエンタメ界は、AIとどう付き合うか(が大事)。あらゆるものが作れちゃうから」と切り出したカズレーザーは、「利用しないと作れないものもあるだろうし、どう使っていくかというルール作りもめちゃくちゃ密接になってくる。ネタぐらいだったら、AIに作ってもらうのが一番楽になるとは思います。最悪、すべったら『これはAIのネタでした』という逃げ道もある。そうやって付き合っていくしかない」とアイデアを繰り出し会場の笑いを誘いながら、「どう付き合うかというヒントや答えが、もしかしたらこのなかで描かれるかもしれない」と本作の展開に期待していた。
ダンサーがイベントを盛り上げた
最後にスギちゃんは、「とんでもない映像。大画面で光と音楽を肌で感じながら、観ていただきたい」とメッセージ。カズレーザーも「大画面で観たい。これこそ、その世界に入らないともったいない」と力を込め、「気になるところがいっぱいあると思うので、4、5回。いや、7、8回観たほうがいいんでしょうね。最新作に行って、過去作に行って、もう1回観るとかなりいいと思う」とリピート鑑賞をオススメしていた。
取材・文/成田おり枝