人気絶頂時に芸能界では当時異例の男性育休を取得、「イクメン」代表として取り上げられ、ベストファーザー賞を受賞したつるの剛士さん。奥さんとは結婚20年を超えても仲良しで、5人のお子さんたちは、勉強好きや海外留学など、それぞれが好きな道を突き進む、「生きる力」が強い子に。まさに、令和家庭の理想像!
そんな「つるの家」の、子育ての秘密が詰まった書籍『つるのの恩返し』。今回は本書から、つるのさんが経験した“二度の育休”にフォーカス。育休を通して、つるのさんが気づいたこととは――。
50歳の節目に、子育てと家族への思いを全て伝えたい
僕、つるの剛士は1975年5月26日生まれ、この本が発売される頃には50歳を迎えています。4人兄妹の長男として育ち、22年前に妻(美紀ちゃん)と結婚。今では21歳から9歳まで、二男三女、5人の子の父親です。第4子と第5子の誕生時に育児休業を取り、2022年に幼稚園教諭二種免許と保育士の資格を取得。その後、「もっと子どもについて学びたい」と4年制大学に編入して心理学を専攻。2025年3月、卒業と共に認定心理士の資格に必要な単位を得ました。
そのような経歴もあって、今まで子育てや家族に関わるお仕事に数多く携わらせていただき、育児についてのご相談をいただくこともありました。そしてこの度50歳という節目に、「つるのさんの子育てと家族についての思いを一冊の本にまとめてみませんか?」とwith class編集部から声をかけていただきました。とはいえ、ここに書かれたことはあくまで僕の経験に基づくもの。「こんな適当でいいの!?」と驚かれるかもしれませんが、子育て中のママパパ、結婚や家族、人生に悩む方の参考になれば、そして「こんなんでいいんだ!」と皆さんの心を軽くできればと願っています。
このままじゃ妻に振られる! 危機感に駆られて育休を取得
唐突ですが、わがつるの家は最高です(笑)。妻と5人の子どもに囲まれて、幸福をかみしめています。家庭は「社会の最小単位」、そして「基地」。仕事や人生の基盤になるのが家庭で、良好な家族関係を築くことが一番大切だと僕は思っています。
現在のつるの家の家族関係を作る上で非常に重要だったのは、やはり僕の二度に渡る育児休業の経験です。2008年当時、僕は、『クイズ!ヘキサゴンⅡ』への出演をきっかけに結成した「羞恥心」の活動を中心に、仕事が多忙を極め、大変恥ずかしながら家のことは全て妻任せでした。妻は4人目の出産を前に、3人の子育ては完全なワンオペ状態。どうしても家の中はぐちゃぐちゃで、夫婦仲もギクシャクし、家庭内に不穏な空気が漂っていました。カーテンかブラインドかでけんかになった時は、ファブリーズのボトルが飛んできたくらい。
「このままじゃ家庭が崩壊する。僕は妻に振られてしまう」。危機感に駆られた僕は、2010年、第4子の誕生に合わせて2ヵ月間の育休を取得しました。当時はまだ男性の育休はまれで、まして芸能界では異例中の異例。「ベスト・ファーザー賞」の授賞式の壇上で、事務所に相談もせずゲリラ的に育休宣言してしまったわけですが(大変大人げなかったと反省しています……)、最も忙しい時期に休みたいという僕を理解し、受け入れてくれた事務所スタッフには、とても感謝しています。
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育休2週目にはつらさと虚しさを感じ……