『そして父になる』(13)でカンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞、『万引き家族』(18)ではカンヌ最高賞であるパルムドールを受賞、『ベイビー・ブローカー』(22)ではエキュメニカル審査員賞を受賞し、前作『怪物』(23)では、クィア・パルム賞を受賞した是枝裕和監督最新作『箱の中の羊』が2026年に公開されることが決定。綾瀬はるかと千鳥の大悟が夫婦役で出演することが発表となった。
【写真を見る】前作『怪物』ではカンヌ国際映画祭でクィア・パルム賞を受賞した是枝裕和[c]2026「箱の中の羊」製作委員会
現代社会やそこに生きる人々を鋭い視点とあたたかい眼差しで描き、作品を作り上げてきた是枝監督が今回選んだ舞台は、遠くない未来。ある夫婦が、ヒューマノイドを息子として自宅に迎え入れるところから物語は始まる。これまでも、映画をはじめテレビドラマや配信ドラマでオリジナル作品や原作作品の制作、国境を越えたコラボレーションなど、常にチャレンジを続けてきた是枝監督が、“少し先の未来”を舞台に新たな家族の物語を描く。
今回、物語を紡ぐ重要な夫婦を演じる主演2名の情報も解禁。ヒューマノイドを息子として迎え入れることになった建築士の甲本音々役を綾瀬が、音々の夫で工務店の二代目社長、甲本健介役を千鳥の大悟が演じる。大悟は本作が初の主演作となる。
是枝監督は本作の企画の始まりは「最新のテクノロジーで“死者を蘇らせる”という発想から」だったとし、「テクノロジーの進化と人間の内面的なものが衝突することに対する賛否についても題材として興味を持ちました」と語る。また、「“死者の蘇り”のビジネス」が中国で人気を博していることにも触れ、「今後日本でも起きる可能性があり、想像以上のスピードでテクノロジーが進化しているので、思ったよりも早くそういう事態が到来するなと感じました」とコメントしている。
クランクインを迎え、『海街diary』(15)以来久々の映画タッグとなる綾瀬はるかについて監督は、「久しぶりの綾瀬さんは、相変わらずチャーミングでとてもすてきです。今回は感情の変化が難しい役なので、現場でも言葉の一つ一つをどのように届けていくか、人物像含めて一緒に話し合ってやっていこうと思っています」とコメント。さらに監督が「存在感があり、歩き方が独特で、人間味があってすごくいい顔をされています」と語るのは、綾瀬と夫婦役を演じる大悟だ。「芸人さんやミュージシャンには勘がよく、間合いの取り方がうまく、掛け合いのお芝居が上手な方が時々いらっしゃいますが、大悟さんはまさにそうでした」と言い、「勘が当たりました」と喜びを隠せない様子。また、綾瀬と大悟演じる夫婦には「期待しかないです!」と言い、「この夫婦と人間ではないヒューマノイドの子どもが一緒になった時に、あまり見たことない家族劇になるのではないかと思います」と期待を寄せる。
綾瀬は「久しぶりの是枝監督作品ですが、変わらずとても和やかな空気が漂う現場でした。初日は1カット1カット丁寧に撮影していき、その中で、音々の気持ちにイメージが膨らみました」とコメント。また、「今回一番楽しみにしているのは、大悟さんと夫婦役ができることです。はじめはわだかまりがある2人が、ヒューマノイドの子どもを迎え、様々なことが起き、また心が通い合っていくというお芝居を大悟さんとしていくなかで、音々自身がどう成長していくのかとてもワクワクしています」と語り、そんな初共演の大悟の印象について「テレビの中と印象そのままで、お会いした際『ごめんな、俺が夫で』と言われ、『えーそんな!』って。とてもシャイな感じがしましたし、とてもすてきな方だと思いました」と述べる。
一方、是枝監督作品“初”参加、“初”主演作にして、綾瀬とも“初”共演となる大悟は、クランクインにあたり開口一番「ビビってます」と一言。撮影に入るにあたり監督からは「あんまりみんなに(そう演出)してるかわからないですけど、『そんなにきっちりセリフおぼえなくても。僕が現場で耳打ちする感じで、それをそのまま、自分なりにやっちゃってください』と言っていただき、なんか それは監督がこれまで子役に使ってた手法らしくて」と、演出について話されたといい「そう仰っていただいて非常に気持ちが楽になりました。自由にやっていいんだなっていう、いまのところは」と感想を述べた。
綾瀬については、「本当にあのままというか、非常に明るい楽しい人でとてもよかったと思っています。一番最初にお会いしたときに『ごめんね、ワシがダンナ役で』と言ったら優しい顔で笑ってくださいました」と出会いの印象を振り返る。
本作について綾瀬は、「“少し先の未来”の物語ですが、夫婦の形や子どものこと、人と人の愛というのはずっと変わらない大事な部分だと感じながら演じています。きっと観終わったあとに心があたたかくなる作品になると思いますので、ぜひ、楽しみにしていてください」と、そして大悟は「日ごろは笑ってもらうお仕事をしていますが、大悟が出た、大悟がしゃべった、大悟が現れたで笑われないように頑張りたいです。あとは、監督にお任せします。どういうのが出るかなって、自分でも楽しみです」と、期待と抱負を寄せた。
妻を綾瀬はるか、夫を大悟、そして息子ヒューマノイドという意外性に富んだ新たな家族を是枝監督がどう描くのか?「星の王子さま」からインスパイアされたという作品タイトル『箱の中の羊』とはなんなのか?続報にも期待が膨らむ。