ケイト・ブランシェットとマイケル・ファスベンダーというハリウッドの大物俳優が“スパイ夫婦”に扮した『ブラックバッグ』(公開中)。相手を欺くことが仕事であるスパイの特性を活かした、嘘か本当かわからないミステリアスでスリリングな夫婦関係はスパイ映画の定番の一つで、これまで多くのビッグスターが演じてきた。ここでは豪華な顔ぶれが出演したスパイ夫婦作品を紹介したい。

【写真を見る】ハリウッドスターが演じた映画のスパイ夫婦たち(『ブラックバッグ』)【写真を見る】ハリウッドスターが演じた映画のスパイ夫婦たち(『ブラックバッグ』)[c] 2025 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.

アンジェリーナ・ジョリー&ブラッド・ピット

スパイ夫婦映画で真っ先に思い浮かぶのが、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットが共演した『Mr.&Mrs.スミス』(05)だろう。結婚して6年が経ち、倦怠期に入った夫婦のジョン(ピット)とジェーン(ジョリー)が、カウンセリングを通じて、素性を隠しての出会いから結婚、相手の正体を知ってからの殺し合い…と、スパイ同士ならではの激しい結婚生活を振り返っていくという内容だ。

運命的な出会いからの情熱的な一夜といった甘い時間もさることながら、互いの素性を確かめようとする食事での気まずい会話、そしてトップギアで殺し合う壮絶な夫婦喧嘩、仲直りからの共闘と、スパイ夫婦という設定を生かした物語が展開。ピットとジョリーは軽妙な会話からハードなアクションまで相性抜群の演技を見せており、本作をきっかけに結婚するのは、その後を含めて周知の通りだ。

ドラマ版も作られた「Mr.&Mrs. スミス」ドラマ版も作られた「Mr.&Mrs. スミス」[c]Amazon/MGM Studios / Courtesy Everett Collection

また本作は2024年にドラマ版としてリメイクもされ、ドナルド・グローヴァーと日系女優のマヤ・アースキンがスミス夫婦を演じた。

マリオン・コティヤール&ブラッド・ピット偽装関係から本物の夫婦になった2人だが…(『マリアンヌ』)偽装関係から本物の夫婦になった2人だが…(『マリアンヌ』)[c]Paramount Pictures/courtesy Everett Collection

ピットは巨匠ロバート・ゼメキス監督作『マリアンヌ』(16)で、マリオン・コティヤールともスパイ夫婦を演じている。第二次世界大戦下のモロッコを舞台に、偽装夫婦として任務に挑んだ工作員のマックスとマリアンヌは、短い準備期間で互いに惹かれ合い結婚。しかし、愛する妻マリアンヌが実はナチスのスパイかもしれないことが判明し、マックスはその真偽を確かめることに…。

正体不明の妻、そして彼女との結婚生活すらも偽りなのかと葛藤を抱えつつも、そのことを悟られないようにする複雑な感情をピットが表現。一方、コティヤールは妖艶かつチャーミングな女性になりきっており、持ち味の余裕に満ちた振る舞いが本作では怪しく映るからおもしろい。ピットはドンパチの『Mr.&Mrs. スミス』とはうって変わって、スパイの探り合い、そして夫婦の愛をリアルに体現した。

ガル・ガドット&ジョン・ハムジョン・ハムとガル・ガドットという美男美女が完璧すぎて怪しい夫婦に扮する(『Mr.&Mrs. スパイ』)ジョン・ハムとガル・ガドットという美男美女が完璧すぎて怪しい夫婦に扮する(『Mr.&Mrs. スパイ』)TM and [c] Copyright Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. /Courtesy Everett Collection

ズバリな邦題がもはや潔い『Mr.&Mrs. スパイ』(16)は、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(07)などのグレッグ・モットーラ監督によるコメディ。平凡な日々を送る主人公夫婦の隣宅に引っ越してきたすてきな夫婦がスパイであり、彼らを訝しみ、嗅ぎ回っていた主人公たちも国家を股にかけた大規模な活動に巻き込まれてしまう。

スパイとしてのシリアスな一面も(『Mr.&Mrs. スパイ』)スパイとしてのシリアスな一面も(『Mr.&Mrs. スパイ』)TM and [c] Copyright Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. /Courtesy Everett Collection

スタイル、センス、コミュ力抜群という完璧なスパイ夫婦を演じるのが、ドラマシリーズ「マッド・メン」などのジョン・ハムと「ワンダーウーマン」シリーズで知られるガル・ガドットという、ハリウッド屈指の美男美女。笑顔を浮かべて近所を欺く爽やかな一面の一方、騒動になれば冷たい顔つきで銃を構え只者ならぬ雰囲気を放つなど、ギャップある演技で裏表の激しいスパイ像を体現した。

キャメロン・ディアス&ジェイミー・フォックス死を偽装した元CIA諜報員夫婦の活躍を描く『バック・イン・アクション』死を偽装した元CIA諜報員夫婦の活躍を描く『バック・イン・アクション』[c] Netflix / Courtesy Everett Collection

キャメロン・ディアスが劇的な映画界復帰を果たしたことで話題を集めた『バック・イン・アクション』(25)。本作は死を偽装して引退し、平穏な日々を送っていた元CIA諜報員の夫婦が、過去の任務の因縁により命をねらわれるというアクションコメディで、ディアスとジェイミー・フォックスが夫婦に扮した。

漫才のようにテンポのいい会話をはじめとするコミカルなやりとりで、年頃の子どもたちに手を焼く子煩悩な夫婦像を作り上げる2人。また大勢の敵に阿吽の呼吸で立ち向かう格闘シーンでは、相棒を見ずに武器を投げ渡したりと、長年連れ添った元スパイ夫婦の関係性を息ぴったりのアクションでも表現した。

子煩悩な親をコミカルに表現するなど相性抜群のディアスとフォックス(『バック・イン・アクション』)子煩悩な親をコミカルに表現するなど相性抜群のディアスとフォックス(『バック・イン・アクション』)[c] Netflix / Courtesy Everett Collection

ディアスのカムバックはフォックスの説得によって実現したそうで、古くからの友人である2人の信頼関係や仲のよさが画面越しにも伝わってくるナイスカップルだった。

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