SKE48が、2025年9月24日に35thシングル『Karma』をリリースした。大親友の恋人を好きになってしまうという“禁断の恋愛感情”を歌った曲で、約10年ぶりとなるWセンターでの表題曲となったことも話題に。選ばれたのは、3作連続センターとなった熊崎晴香と、今作が初センターとなった佐藤佳穂だ。
SKE48 「Karma」 Music Video / 2025.9.24 on sale
そこで、本作について選抜メンバーの熊崎晴香、井上瑠夏、青木莉樺、浅井裕華、大村杏にインタビュー。今回は、個人にもスポットを当てて話を聞いてみた。(松本まゆげ)
「葛藤から確信に変わる歌詞が印象的です」(青木)
井上瑠夏・浅井裕華・熊崎晴香・大村杏・青木莉樺
ーー「Karma」の歌詞は、かなりインパクトがありますね。
浅井裕華(以下、浅井):衝撃的ですよね(笑)。1番では「自分の感情はしまっておこう」という主人公の理性が見て取れるんですけど、2番になると「やっぱりしまっておけない!」と我慢できなくなっているんです。
青木莉樺(以下、青木):そう、1番のBメロでは〈カップの中に隠してしまおうか?〉と自問自答していて、主人公自身も葛藤しているのがわかるんです。だけど、2番になると〈愛の始まりだっていいじゃないか!〉と、葛藤の「?」から確信の「!」に変わっているんですよね。
浅井:そんなふうにストーリーのある歌詞になっているところが、秋元(康)先生の歌詞だなぁと感じましたし、〈地獄の底に堕ちたっていいさ〉と思いが爆発しているところもすさまじい。1番も好きですけど、2番もしっかり聴いていただきたい曲だなと思いました。
青木:それに、2番に入ってからの気持ちの変化は個人的にすごく響きましたね。
井上瑠夏(以下、井上):振付では、だんだんと高まっていく主人公の気持ちを表現するべく、力強さを意識しています。止めるところはしっかり止めてメリハリを付けたり、目力を出したりしましたね。
大村杏(以下、大村):あとは、歌詞をちゃんと読み解いてダンスに反映できるようにしました。主人公のような感情になったことはさすがにないですけど、歌詞を読むと「こんなにつらいんだ」「こんなに複雑で切ない感情になるんだな」と学べたので、今までにない気持ちでパフォーマンスできるのが楽しいですね。とくに、切なさを楽曲で表現するのは個人的には初めて。まだ出会ったことのない自分に出会えているような気がします。
ーー振付師の松岡篤志さんからは、どんなアドバイスがありましたか?
熊崎晴香(以下、熊崎):やっぱり、「2サビは力強さを表してほしい」という話はありました。2番のAメロとBメロはしなやかに踊って、2サビに入ったら全員で一体感を出すようなイメージですね。「地獄に堕ちてでも!」というサビの歌詞の感情に合わせて、「みんなで心を一つにして、力強く」と念を押すように言っていただいたので、全員の動きが揃うようにたくさん練習しました。
ーー2サビの振りというと、センターの熊崎さんたちをぐるりと囲んだフォーメーションになったときですね。大村さんが前方に来て。
熊崎:そうです、そうです! さっき言っていた目力も、「ここでグッと入れて。恋人を奪いに行くくらいの気迫で」と言われましたね。
ーーそれに、シンクロもとてもきれいでした。
井上:ありがとうございます。2サビになると16人が一気に集まって同じ動きをするので、みんなでひたすら練習しました。こういう振りは、今までのSKE48の楽曲の中ではあまりなかったので。とくに、ウェーブ(上半身を波打つように動かすダンスの技の一種)の練習はたくさんしましたよね?
4人:うんうん!
井上:実はこの振り、全員で揃えようとすると結構難しいんです。前方にいる杏はしゃがんでいて、真ん中にいるくまさんはーー。
熊崎:中腰だからね。
井上:そうそう。そんな感じで全員の高さが違うので、単にウェーブしようとすると揃っているように見えないんです。だから何度も全員で合わせてからMV撮影に挑みました。映像で見たら格好良く仕上がっていて、感動しました!
ーー熊崎さんは、3作連続でセンター。しかも今回は佐藤佳穂さんと初めてのWセンターを務めます。
熊崎:私は、Wセンター曲だった「コケティッシュ渋滞中」も「12月のカンガルー」(16thシングル。センターは北川綾巴と宮前杏実/2014年)も、選抜に入れなかったので、Wセンターのフォーメーションを経験すること自体、今回初めてだったんですよ。
ーーたしかに! そうなりますね。
熊崎:だから今回、自分がWセンターの一人になれているのはすごくうれしいですし、佳穂と一緒だと知ってもっとうれしくなりました! 佳穂とは以前センターの話をしたこともあったので、そんな佳穂と一緒に真ん中に立てるのはすごく嬉しいことですし、同い年の佳穂が隣にいてくれることによって心強さが増すので、より一層自分を出してパフォーマンスできている気がします。あと、佳穂とは年齢だけじゃなくて身長も一緒なんです。だから、イントロのお互いの肩にもたれる振りがよりキレイに見せられているんじゃないかなと思っています。
ーーちなみに、お二人でしていたという「センターの話」とは?
熊崎:「愛のホログラム」(32ndシングル/2024年)のとき、初めて2人でフロントに立たせていただけたので、当時はご飯を食べに行ったときとかに「このままセンターを目指したいよね」「どうすれば目指せるのかな?」とずっと話していたんです。そういう経緯もあるから、佳穂がセンターに選ばれたときは余計にうれしかったんですよね! 旧Team Eの頃からずっと見ていた佳穂の頑張りが報われたなと思いましたし、佳穂のファンのみなさんが喜んでいるのを見て、私もうれしくなりました。
ーー今作で佐藤さんと一緒に踊ってみて、シンパシーを感じるところはありましたか?
熊崎:すごく感じているのが、「対象的な踊り方をする2人だな」ということですね。私はどちらかというと情熱的で力強く踊るタイプなんですけど、佳穂はキレイでしなやかに踊るのが上手なので、それがいい対比になっている気がします。それに、踊っていると視線を感じるんですよ。「あ、私に合わせてくれているんだろうな」っていう視線を(笑)。なので、私も負けじと佳穂を見て、腕の高さを合わせたりしています。そうやってお互いに意識し合うことで、よりきれいなダンスになっていると思います。
「10年前は一番メラメラしていた時期」(熊崎)
ーー普段のインタビューでは、みなさんにチームやグループのお話を伺うことが多いですが、今回は個について聞いてみたいと思います。SKE48の表題曲でWセンターが採用されるのは、17thシングル『コケティッシュ渋滞中』以来10年ぶりとのことですが、当時、みなさんはそれぞれ何をしていましたか?
熊崎:10年前かぁ……!
ーー熊崎さんは、『不器用太陽』(15thシングル/2014年)で、すでに選抜を経験していましたよね。
井上:そっか!
熊崎:そうですね。ただ一度選抜に入っただけで、「12月のカンガルー」「コケティッシュ渋滞中」「前のめり」(18thシングル/2015年)と、連続で選抜に入れなかったので、すごく悔しくて。「絶対に復帰してやるんだ!!」とめっちゃ燃えたぎっていた時期です。『前のめり』のカップリングだった「制服を着た名探偵」で初めてセンターをもらえたことも、メラメラしていた一因ですね(笑)。ファンの方と一緒に「頑張ろう!」と話をしていたのを覚えています。
ーー一度入っているからこそ、「なんで今、そこにいられないんだろう?」ともどかしく感じますよね。
熊崎:すごく悔しかったです。けど、そのときは自分の実力不足をすごく実感していたんです。骨折していて公演に出る回数も減っていましたし、ファンのみなさんの前に出られる機会も少なかったし、SNSも不得意だったから「納得の選抜落ちだな」って。ただ、「12月のカンガルー」で、同期の綾巴がセンターに立っている姿を見て、すごく刺激をもらえて。「私も選抜に戻れるように頑張るから!」と言っていました。
ーーそれも、メラメラできた理由でしょうね。
熊崎:しかも、「告白心拍数」で初めてセンターに選んでもらえたとき、綾巴からおめでとうメールが届いたんですよ! 本当にうれしかったです。
ーー6期生の絆の強さを感じます。ところで、SNSがそんなに得意ではなかったんですね?
熊崎:はい。当時はぐぐたす(Googleが運営していたSNS「Google+」の愛称。AKB48グループのメンバーは個人アカウントを持っていた)の時期で、骨折が治るまでの日記を更新したりして。SNSが苦手ながらもファンのみなさんと楽しく交流していました。そうしたら、それを見たマネージャーさんが「ハルカ未来」というページを作ってくれて。骨折の経過を毎回ネットで書いてくださったんですよ。
青木:すごい……!
熊崎:みなさんのサポートのおかげで、ちょっとずつファンのみなさんの前に出ることが出来て。ネット上でも徐々に私らしさを出せるようになっていったんじゃないかなと思います。
浅井:私、覚えてますよそれ。ぐぐたす見てましたもん。主に須田(亜香里)さんの投稿を遡りつつじっくり見ていた感じですけど、くまさんのもよく見ていました。
熊崎:やばい(笑)! (坂本)真凛は、6期生のぐぐたすにコメントしてたって言ってたよ。
井上:えー(笑)!
浅井:(青木と大村は)知らないよね、ぐぐたす。
青木:はい。はっきりとは……。
大村:何の略なのかもわからないです。
井上:「Google+」っていうSNSがあったんだよ。
熊崎:写真を載せて投稿できるSNSで、今で言うとインスタみたいな感覚かな?
大村:へえ……!