2025年9月27日

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NHKのテレビシリーズは、ギャグやミュージカルやシュールな展開を盛り込みながらも、それなりに犯罪ミステリーとして成立していて、そうした「おふざけ」と真面目さのバランス感覚が好きだった。
翻って、この劇場版は、そんなバランス感覚をかなぐり捨て、完全に不条理劇に振り切っていて、頭で考えるより、心で感じる映画になっている。
序盤こそ、失踪したスーパーボランティアの行方を捜すミステリーになっているのだが、池松壮亮とオリバー(オダギリ・ジョー)の活躍はここまでで、後は、麻生久美子の父親(鹿賀丈史)のカミングアウトの話やら、「小さいおじさん」やタコ焼きにまつわる永瀬正敏の異世界巡りの話やらが延々と続いて、「一体、何を観せられているのだろう?」という気分になる。
ラストが冒頭のシーンに繋がるというオチはあるものの、ストーリーなど無いも同然で、そもそも、意味するものや作者の意図などを考察するような映画ではないのだろう。
趣向を凝らした分割画面や、破裂音で人が倒れる場面の繰り返しなどには、オダギリ・ジョーの好みが感じ取れるし、物語には直接関係のない、巨大な月を背景とした海辺の岩場の上のベンチとか、廃墟の中で襲いかかってくる白い仮面の人々とかは、オダギリ・ジョーが、ただ撮ってみたかっただけのシーンであるに違いない。
吉岡里帆の台詞にNHKが出てくるだけでなく、「カムカムエヴリバディ」や「ドキュメント72時間」を連想させるような場面もあって、ドラマの企画を通してくれたNHKに、ちゃんと目配せしているところも嬉しくなる。
「ズバリ!」、これは、オダギリ・ジョーの、個人的な趣味嗜好を堪能する映画なのだろう。
劇場で上映される映画の多様性ということを考えれば、たまには、こういう企画があっても良いと思うし、そのような映画をシネコンで観られることは、ある意味、幸せなことなのだと思えてならない。

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