実際、プライベートのジェナのビューティールーティーンも至ってシンプルなものだ。2022年にニュートロジーナ(NEUTROGENA)のアンバサダーに抜擢されたほどの美肌の持ち主である彼女にとって、毎日使うアイテムの絶対条件はリーズナブルで使い心地が良く、きちんと効果があること。そのため、一度気にいったアイテムにこだわり続け、あまり変えることはない。中でも、本人が特に気を使っているヘアケアで愛用中のメイソンピアソンのヘアブラシは、なんと10年以上前にプレゼントされたもので、これがないと不安になることすらあるという。
強迫性障害と向き合う毎日
「毎日毎日同じことを繰り返し考えたり、同じ動作を何度も何度も繰り返したり。時には、泥棒が家に侵入しないかと心配になって戸締り確認で階段を6往復したこともあります。こんな状態ですから、疲れ果ててしまうこともしょっちゅう。私は、重度のOCD(強迫性障害)に悩まされているのです」
2025年、アメリカのメディア「Heart Evening Show」で自身が抱えている精神疾患についてこう語ったジェナ。そんな彼女は、自身のビューティールーティーンへの強いこだわりの裏にはこの疾患が関係していると続けるが、その様子はいたってあっけらかんとしたものだ。
「ちゃんと戸締りはした?」「電気は消した?」「ヒーターのスイッチは切った?」等々、日常生活でふと小さな不安がよぎることは誰にでもある。だが、それを確認するために何度も帰宅して待ち合わせ時間を大幅に過ぎたり、ものにこだわりすぎて日常生活に大きな支障をきたす場合は、彼女のような強迫性障害の可能性が高い。
強迫性障害(OCD:Obsessive compulsive disorder)とは、たとえそれが理に叶っていないとわかっていても、”こうなったらどうしよう”という恐怖が勝ってしまうため、反復的な行動や恐怖に人生を支配されてしまう状態を指す。一方で、”右足から靴を履けば悪いことは起きない” ”電気のスイッチを入れたら安心だ”などと決めつけるジンクスや「マジカルシンキング(魔法思考)」もまた強迫性障害の一種とも言われているが、いずれにしても不安や恐怖を払拭するためにこうした決め事に過度に囚われてしまうと日常生活に支障をきたしたり、疲れ果てて人生を楽しめなくなってしまうなどの弊害が出る場合が多い。
誰かの助けになれたなら──病を公表した理由
「新しい環境に馴染むのに時間がかかるので、仕事で家を離れる時は本当に大変。たとえ6週間しかそこに滞在しなくても、私は(心を落ち着かせるために)”これを持っていったら大丈夫”といった新しいジンクスを作らなければ安心できないのです。1日の中で朝は目前に新たなタスクが差し迫っているから特に焦ってしまうけれど、夜は唯一ホッとできる時間。こんなこと、多分わかってもらえないでしょうけれど」