ダウンタウンDALLーEで作成

1993年に始まり、32年間続いたバラエティ番組『ダウンタウンDX』(読売テレビ制作)が2024年6月26日、ついに終了した。日本のテレビ史を彩った看板番組の幕引きは、視聴者に大きな衝撃を与えた。とりわけ最終回にダウンタウンの2人が出演しなかった異例の展開は、多くの憶測を呼んでいる。社長会見で語られた「公式の理由」と、ネットで広がる疑念。その舞台裏を追った。

 

 

ゴールデンに映らなかった2人の姿

6月26日夜。いつもと変わらぬスタジオの景色が画面に広がった。だがそこに、番組の顔である松本人志と浜田雅功の姿はなかった。派手な総集編もなく、過去の名場面映像も流れない。淡々と進む番組を前に、SNSには「これは本当に最終回?」「ダウンタウンが出ないなんて信じられない」と困惑の声があふれた。

通常、長寿番組の最終回は“感謝と振り返り”で飾られるものだ。だからこそ、32年続いた『ダウンタウンDX』の終幕が静かすぎたことに、多くの視聴者が違和感を覚えたのだ。

 

社長会見が語った「終了の理由」

9月24日、大阪・中央区の読売テレビ本社。報道陣の前に姿を見せた松田陽三社長は、開口一番「感謝の言葉しかありません」と深々と頭を下げた。

「32年間、読売テレビの看板番組を続けていただいた。ダウンタウンのお二人には感謝しかございません」

社長は続けて、番組終了の背景についてこう説明した。

「『ダウンタウンDX』はお二人の掛け合いが最大の見どころ。松本さんが活動を休止され、浜田さんが1人で進行された時期もありましたが、その後浜田さんも休養されました。代役を立てて放送を続けましたが、『ダウンタウンDXは2人でなければ成立しない』という声が多く寄せられた。残念ながら幕を引くことになったのです」

つまり、ダウンタウンの不在こそが番組終了の決定打になったというわけだ。

 

吉本興業との「あうんの呼吸」

では、その決断はどのように下されたのか。松田社長は「吉本興業さんとの長期間の話し合いがあった」と明かした。

「『終了とするなら後継番組をどうするか』という相談を、4月以前から続けてきました。浜田さんの休養発表より前の段階で、6月での終了を視野に入れていたのです」

ダウンタウンの所属事務所・吉本興業とテレビ局の「あうんの呼吸」によって、終了のシナリオは水面下で描かれていた。表向きは円満に聞こえるが、実際の現場ではどんな空気が流れていたのか。

 

異例の最終回に広がる憶測

最終回に本人が出演せず、過去映像すら流れなかったことから、ネット上では「円満終了ではない」との見方が広がった。Yahoo!ニュースのコメント欄には、次のような声が並ぶ。

「32年支えた番組の最終回に本人不在は異常」

「読売テレビと吉本で何か揉めたのでは」

「芸能界のコンプライアンス問題と関係あるのでは」

実際、松本人志は2024年1月から活動を休止中で、法的トラブルの渦中にある。浜田雅功も3月に体調不良で休養を発表していた。視聴者から見れば、こうした状況と番組終了が無関係とは考えにくい。

 

余波… 浜田の冠番組『浜ちゃんが!』も終了

波紋はさらに広がった。『ダウンタウンDX』終了からわずか3か月後、9月24日には浜田雅功の冠番組『浜ちゃんが!』も22年の歴史に幕を下ろしたのだ。しかも、終了発表は最終回当日の放送直前という異例のタイミングだった。

読売テレビの田中雅博コンテンツセンター長は「総合的な判断」と説明したが、詳細は語られなかった。後枠にはブラックマヨネーズ・吉田と霜降り明星・粗品の新番組『吉田と粗品と』が始まり、世代交代を印象づけた。

 

ネット移行への布石?

松田社長は会見で、松本が過去に語った「ダウンタウンチャンネル(仮称)」についても触れた。

「ネットで再スタートを切るのかなと感じました。吉本興業さんからもそのような説明があったと記憶しています」

テレビからネット配信へ。すでに多くの芸人がYouTubeや配信サービスで新たな活躍の場を見つけている。ダウンタウンが今後どのような形で再始動するのか、注目は高まるばかりだ。

 

一つの時代の幕引き

『ダウンタウンDX』の終了は、単なる番組の打ち切りではない。平成初期から令和まで、日本の笑いを牽引してきた2人の番組が消えたことは、テレビ業界全体の変化を象徴している。

コンプライアンス強化、視聴者層の分散、そしてネットへの移行。こうした時代の流れが重なり、32年の歴史に幕を下ろす結果となったのだ。

最終回に本人が出演しなかったという異例の幕切れは、今なお多くの疑問を残す。しかし一方で、新たなフィールドでの活躍を予感させる出来事でもある。ダウンタウンの次なる一歩は、テレビの枠を超えた場所で始まるのかもしれない。

 

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