韓国KBSが放送する『ウンスのいい日』(U-NEXTで配信中)は、現代社会に静かに浸透する麻薬問題を真正面から取り上げるヒューマンクライムサスペンスである。

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物語の中心にいるのは、平凡な主婦カン・ウンス。家庭の困窮や夫の余命宣告という重荷を背負う彼女は、ある日偶然にも麻薬の入ったカバンを手にしてしまい、運命は一変する。表向きにはごく普通の生活を営んでいた彼女の毎日は、裏社会の不条理と権力の論理に呑み込まれていく。

この作品は、麻薬というテーマを通して「社会の寛容さ」と「人間の脆さ」を同時に描き出す。お金さえあれば何でも可能になる現代において、人々は道徳や法を超えてでも生き残らなければならない状況に置かれることがある。

視聴者は、登場人物たちが自分を守るために何を捨て、何を選び取るのか、その姿を通じて「本当に守るべきものとは何か」を問い直されることになるだろう。

そんな危うい世界の鍵を握る人物が、キム・ヨングァン演じるイ・ギョンである。彼は名門大学に籍を置き、明るい性格と端正な容姿で周囲の信頼を集める若者だ。

キム・ヨングァンキム・ヨングァン緊迫した世界にリアリティを与える俳優

昼間は中学校の放課後美術講師として生徒たちに慕われる存在だが、その裏にはもう一つの顔が潜む。夜になると江南の有名クラブ“メデューサ”でMDとして暗躍し、特権階級の子弟に麻薬を斡旋しているのだ。健全さと闇を同時に抱え込んだこの二面性が、物語に緊張感を与えている。

キム・ヨングァンは19歳でモデルとして活動を始め、2008年に俳優デビュー。以降、作品ごとに異なる姿を見せてきた。『ピノキオ』でMSC報道局社会部記者ソ・ボムジョを演じて注目を浴び、『こんにちは?私だよ!』ではチョア製菓会長の息子ハン・ユヒョンに扮していた。

また、『トリガー』ではキム・ナムギル扮するイ・ドの協力者で、武器ブローカーのムン・ベクを演じた。

彼の強みは、甘いビジュアルと親しみやすい人柄に加え、作品によって全く異なる色を纏える柔軟性にある。視聴者は“見た目通りの顔だけ俳優”と思い込むかもしれないが、彼の演技が進むにつれ、その内面の深みと役への没入度に驚かされる。

模範的な青年から犯罪に手を染める影の存在へと移り変わるイ・ギョンの姿は、まさにキム・ヨングァンだからこそ説得力を持って描かれるのである。

『ウンスのいい日』は、平凡な人々が想像もしなかった世界に足を踏み入れたとき、何を選び、何を失うのかを描き出す物語だ。そしてキム・ヨングァンは、その緊迫した世界にリアリティを与える俳優である。彼の挑戦は、視聴者に深い余韻と問いを残すに違いない。

♢キム・ヨングァン プロフィール
生年月日: 1987年1月11日生まれ
身長:189cm
星座:やぎ座
学歴:漢陽大学演劇映画学科
デビュー:2006年シングルス・ソウルコレクションLone Costume06.07 F/Wモデル

☆主な出演作
『彼らが生きる世界』(2008年、ドラマ)
『お嬢さまをお願い!』(2009年、ドラマ)
『ラブレイン』(2012年、ドラマ)
『私たち結婚できるかな?』(2012年~2013年、ドラマ)
『グッド・ドクター』(2013年、ドラマ)
『ピノキオ』(2014年~2015年、ドラマ)
『ウチに住むオトコ』(2016年、ドラマ)
『ナインルーム』(2018年、ドラマ)
『初対面だけど愛しています』(2019年、ドラマ)
『こんにちは?私だよ!』(2019年、ドラマ)
『愛だと言って』(2023年、ドラマ)
『トリガー』(2024年、ドラマ)
『ウンスのいい日』(2025年、ドラマ)

文=大地 康

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