Hey! Say! JUMPを即日卒業、俳優業の専念を目指す中島裕翔さんのこれからとは
2005年、キムタク主演ドラマでデビュー
俳優の中島裕翔さんが、所属していたHey! Say! JUMPから電撃的に卒業を発表しました。しかも、発表から同日に脱退したことで、卒業コンサートもなく異例といえる“即日卒業”となり大騒動を巻き起こしています。
脱退理由について中島さんは「自分にはお芝居に対する強い思いがありました。その思いがさらに確固たるものとなり、今後は自分の足で立って俳優を主軸に活動したいと決断いたしました」としており、個人で俳優活動に専念するそうです。驚きの多い脱退となった中島さんですが、俳優としての実力はどの程度のものなのでしょうか?
中島さんの俳優デビューは2005(平成17)年、ジャニーズJr.時代に出演した木村拓哉さん主演のドラマ「エンジン」(フジテレビ系)です。その後、「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)や、「半沢直樹」(TBS系)などヒット作に参加。「半沢直樹」では、入社して間もない新人行員を熱演して話題を集めました。
そんな中島さんが、俳優として演技が注目されたのが、ゴールデンの連ドラで初単独主演を務めたドラマ「HOPE〜期待ゼロの新入社員〜」(フジ系)です。
原作は韓国で大ヒットしたウェブコミックをドラマ化した「ミセン−未生−」で、中島さんは囲碁のプロ棋士への道を諦め、総合商社で働くことになった一ノ瀬歩を担当。正直なところドラマはヒットしませんでしたが、初の大役を中島さんはしっかりと演じることに成功しました。
その後、ドラマ「SUITS/スーツ」(フジ系)や舞台作品などに出演しますが、筆者の率直な感想としては俳優としてパッとしない印象でした。演技力は高いのですが、中島さんでなければ演じられなかった! という役はなかったと考えます。
しかし、一気に俳優として覚醒したのが2022年放送の主演ドラマ「純愛ディソナンス」(フジ系)です。
同作で、中島さんは新境地となるダークな雰囲気をまとった闇を抱える音楽教師・新田正樹を担当。正樹は葛藤や苦悩を繰り返し、本性をむき出しにするキャラで、中島さんは表情の作り込みや繊細な目の動きなどで丁寧に心の動きを表現。不気味ながらミステリアスな魅力を持つ主人公に仕上げました。
ここからの勢いがすさまじく、2023年公開の主演映画「#マンホール」でも俳優としての成長を見せます。
マンホールに落ちることでストーリーが進行するシチュエーションスリラー作品で、中島さんはハイスペックサラリーマン・川村俊介を熱演。仕事ができてイケメンな上に、社長令嬢との結婚が決まるなど順風満帆な川村は、結婚式の前夜にマンホールに落ちてしまいます。
マンホールの中で多くの演技を中島さんがするわけですが、徐々に追い込まれ絶望を感じる川村を、目の演技を中心に表情やセリフの強弱で繊細に披露。中島さんの一人舞台と言える映画なのですが、最後まで緊張感を保ちながら、スリリングな作品の世界観を見せることに成功しました。結果、「#マンホール」は、「第73回ベルリン国際映画祭」に正式招待され、世界でも注目されます。
また「秘密〜THE TOP SECRET〜」(関西テレビ・フジ系)で、一人二役を演じることに挑戦。映画「366日」では、脇役ながらヒロインを献身的に支える嘉陽田琉晴を演じ、切な過ぎる健気なキャラを作り上げて観客の心をつかみました。
琉晴は、幼なじみのヒロイン・玉城美海(上白石萌歌)を一途に思いながら、他の男性との恋を影ながら応援するキャラ。また、父親として娘と過ごすシーンもあり、嫌味なく“良い人”の琉晴を描き出しました。
ここまで、中島さんの俳優としての実績を紹介しましたが、魅力はどんな役でも演じられる器用さにあります。
正直、初期の頃はさわやかなイメージの役ばかりの印象でしたが、挑戦的な作品に巡り合ったことで、演技の幅を驚くほどに広げました。
結果「366日」で演じた琉晴のように、さわやかなだけでなく奥行きのある好青年を演じることにも成功。ここ3年ほどで急激に進化を遂げ、今後が楽しみな俳優の一人になりました。また、端正なルックスを持ちながら、どこか影のあるビジュアルも高ポイントの一つです。
突然の卒業発表でファンを驚かせましたが、俳優としては舞台作品でも評価が上がり伸びしろしかない中島さん。今後は俳優業に専念するわけで、さらに違った顔を見せ、さまざまな作品に出演してくれることでしょう。
(ゆるま小林)