山下敦弘監督の名を一気に世に知らしめた作品が公開から20年を経て4Kでリバイバル上映です。
高校生女子のロックバンド物語と言えば熱とエネルギーが溢れる青春ストーリーを想像してしまいますが、さすが山下監督はそうした予想を入念に覆して、どこかオフビート感を漂わせながらワチャワチャした十代の日常を丹念に記録して行きます。
ああ、それなのに、それなのに。最後のリンダ リンダ リンダ の熱唱にはスクリーンが燃え上がり胸が一杯になって何だか泣きそうになってしまうのです。これぞ映画の魔法、ブルーハーツの力です。
それにしても、今や韓国映画界の実力者となったぺ・ドゥナはこの頃から抜群の目力で物語を牽引していました。彼女のたった一人でのメンバー紹介シーンはよかったなぁ。このキャスティング思いついた監督の創造力は凄い。また、独特の間(ま)で、「こんな風に人物が場面に入って来るのか」と驚かされる数々のシーンにも唸らされました。
これは未来に残る青春映画です。