デザイナーの上村英太郎が手掛ける「エイタロー(EITARO)」が、ブランド初となるランウェイショーを開催し、2026春夏コレクションを発表した。会場は、東京・渋谷の「TRUNK HOTEL ONDEN」。
上村英太郎は、2001年生まれ山口県出身。福岡の香蘭ファッションデザイン専門学校 ファッションデザイン専攻科卒。中高時代は医学部進学を志していたが、受験失敗を機に、自身にとって全く新しい分野であるファッションの道を選んだという異色の過去を持つ。2023年に「第97回 装苑賞」と「NEW ENERGY 特別賞」をW受賞し、同年10月に自身のブランドである「エイタロー」を立ち上げ。同ブランドは「叙情服」をコンセプトに、人の気持ちや感情といった叙情的(主観的)なものを表現しながらも、人間が根幹に持ち合わせる叙事的(客観的)な側面を捉えたものづくりを行うことを目指している。
ランウェイショーデビューとなった今季のテーマは「SANAGI」。現在24歳でまだ社会に出たばかりの自身の状況を「さなぎ」に重ね合わせ、「一般的に美しいとされる蝶だけではなく、その手前のさなぎの状態であってもそこに固有の美しさが存在するのではないか」との思いをコレクションに反映した。
コレクションでは、「さなぎ」というテーマを人間の「学ラン」に当てはめ、学ランを多様な形でファッションに落とし込んだルックの数々を披露。「詰襟」のディテールを用いて新たなラペルの形を模索したテーラードジャケットをはじめ、ビスチェやドレスといったフェミニンなアイテムや、オリジナルのラメツイード素材やベルベット、ニットなど多様な素材に落とし込んだ。また、校章のようなマークをあしらったブルーの学校ジャージや、脱皮しているかのようにウエスト部分が4つ連なったスラックス、さなぎから羽化したばかりの蝶を思わせるオールホワイトのセーラー服なども登場。学ランのボタンはカンコー学生服との協業でオリジナル製作するなど、細部へのこだわりも見られた。
初のランウェイショーを終えた上村は、多くのスタッフに支えられて作り上げられたことへの感動と、予想以上に多くの観客が集まったことへの喜びについて言及。今後は、展示会を開催して卸先を増やしていくとともに、将来的にはJFW取材のアワード受賞や東京ファッションウィーク公式スケジュールへの参加などを目標に、「社会に直接影響を与えるようなデザイン」を目指して活動を続けていくという。