映画「TSUSHIMA」に出演する浜浦彩乃(撮影・望月 清香)
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 【インタビュー】元こぶしファクトリーで女優の浜浦彩乃(25)が公開中の映画「TSUSHIMA」(監督山根高文)に出演している。2020年のこぶしファクトリー解散以来、女優として新たなステップを踏み出している浜浦。ソロ活動後初の映画出演となった今作への思いや女優としての目標を聞いた。(望月 清香)

 今作は長崎県にある離島・対馬を舞台にAIの脅威を描いた作品。主演は山田純大が務めている。SF色の濃い作品ながら、高度に発達したAIが人類を翻弄(ほんろう)する姿はそう遠くない未来を感じさせる。浜浦は「AIがどんどん身近なものになってきていて、私自身も最近は分からないことはAIに聞くことが多いです。映画で描かれていることは自分の生活に起こりうることだと身近に感じました。AIの進化によって自分で考える力を失っていくのは怖いことだなと思いました」と話した。

 浜浦は中西悠綺演じるヒロイン・佐藤由里子を支える女性・小向絵里を演じた。舞台を中心に活動をしている浜浦にとって、映画出演はこぶしファクトリー時代の「映画版 JKニンジャガールズ」(17年)以来、8年ぶり。「舞台だと遠くのお客さんにも伝わるように大きく表現することが多いのですが、映画だと細かな部分まで表現しないとお客さんに画面越しでバレてしまう。繊細に演じることを意識しました」。感情の揺れを丁寧に掬い取って表現した。

 中でも印象的なのは、ゾンビに変身するシーン。映画では、謎の「緑色の物質」が若さや美しさに導く麻薬のようなものとして登場。年を取らずにいつまでも美しくいられることと引き換えに、副作用として一時的にゾンビのような醜い姿となる。「早朝から2、3時間かけてゾンビメイクをしたのですごく大変でした」と笑顔で振り返りながら、「ゾンビのシーンでは人間ではあまりしない動きを意識して床に這いつくばったりしました」と明かした。

 浜浦が女優に憧れたのは、小学生の時に志田未来の主演ドラマ「14歳の母」(2006)を見たのがきっかけだった。「自分とあまり年の変わらない方があんなリアルな演技をできるということがすごく衝撃でした。自分もこういうお仕事をしてみたいと思いました」。母の勧めで11年にハロプロエッグ(現ハロプロ研修生)に加入し、15年にこぶしファクトリーとしてデビュー。力強い歌声と抜群のスタイルで多くのファンを魅了した。グループは20年に惜しまれつつも解散し、浜浦はその後、女優として歩み出した。

 現在は舞台を中心に活動している。「浜浦彩乃として生きていると感情に波がないので、お芝居でいろんな人の人生を生きて感情を乗せている時間が本当に楽しいです」と充実感いっぱい。「この5年間で色々な作品に出させていただいて演技の振り幅ができたと思っています。作品によっていろいろな声を出せるようになったのが成長だと思います」と手応えをつかんでいる。今後について「女優さんとして必要とされる存在になりたい。ちょっとのシーンでも印象に残るお芝居ができる女優さんになりたいです」と目を輝かせた。

 最後に、映画にちなんだ質問をした。映画に登場する「緑の物質」が実際に存在したら飲むかを聞くと、浜浦は真っすぐな瞳で「自分は飲みたくないです」と答えた。「自分だけ年を取れないのは寂しい。家族や友人や周りの人たちと一緒に年を取っていきたい。いろんな人と出会って、いろんなことを吸収して知識が豊富な女性になりたいです」。辿ってきた道のりや仲間を大切にしながら、新たなステージに挑み続ける浜浦らしい言葉だった。

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