先天性の病気の女性と母親の姿を描いた漫画。
病気への理解と子育ての参考に。電子書籍で発信する奇跡の物語です。
(沙里)
「わたし 死ぬと?」
(母 敦子)
「そりゃあ死ぬさ。ばってん、沙里は今、生きとっと」
今年7月から、国内のほとんどの電子書籍で配信がスタートした
『ばってん今!!生きとっと』。
主人公は、染色体の一部が欠損した先天性の病気「ヤコブセン症候群」の女性と、その母親です。
モデルになったのは、長崎市で暮らす福山沙里さんと母の敦子さん。
漫画はたくさんの人に読んでもらうため、紙の本ではなく電子書籍で配信しています。
(福山沙里さん)
「みんなにわかってほしい、私の病気のこととかいろんなこと。見守ってほしい」
沙里さんは身長135センチ。知能指数は小学1年生程度。
ヤコブセン症候群は、心と体の発育に障害がある一方で、
“老化の進行” が早いと言われています。
世界的にきわめて症例数が少なく、患者のほとんどが2歳までに命を落とすそうです。
(母 敦子さん)
「3歳までかな?、5歳までかな?って言われていたのが、奇跡の成人式を迎えたことで(20年前に)本が1冊出た。
そして20歳から、もう21年間、生き延びてきている。
私たち家族の生き様は、きっと何かのお役に立てると思う」
沙里さんが成人を迎えるまでの20年間は、2005年に手記や漫画になっています。
今回の電子書籍では、その後の約20年間の出来事も加えて描かれています。
今年41歳になった沙里さん。
その日常は、人気アニメ「名探偵コナン」の小説を音読して、声優になりきったり。
色鮮やかなビーズのアクセサリーや、織物の掛け軸やタペストリーを手作りしたり。
(福山沙里さん)
「ネックレスを皆さんがつけてくれるのが、一番うれしい」
(母 敦子さん)
「楽しそうにしてる子どもを見るのが、親はうれしい。本当に好きなことは長続きするし、それに気づけた本人はうれしい。でも、それを見ている親はもっとうれしい」
10年前の2015年、敦子さんに大腸がんが見つかりました。
現在も闘病しながらの生活が続く日々。その様子は、漫画でも描かれています。
(母 敦子)
「病気になっているヒマなんてなかとよ。私は生き抜くとよ」
病床の母を見守る沙里さん。
(沙里)
「うち、ずっとおるけん。お母さんのそばにおる」