『リロ&スティッチ』(25)のヒットも記憶に新しいディズニーの最新作『シャッフル・フライデー』(公開中)。互いを想いながらもすれ違う母と娘、さらに祖母と母の再婚相手の娘の4人の中身が入れ替わってしまう!?コメディらしいハートフルなドタバタ劇が繰り広げられる本作だが、「あれ?こんな映画が前にもあったような」と思った人も多いはず。それもそのはず、同じくリンジー・ローハン&ジェイミー・リー・カーティスが出演し、中身が入れ替わってしまう母娘を演じた『フォーチュン・クッキー』(03)の約20年越しの続編なのだ。
【写真を見る】リンジー・ローハンとジェイミー・リー・カーティスが中身が入れ替わってしまった母娘を全力で演じた『フォーチュン・クッキー』[c]Everett Collection/AFLO
すれ違う母と娘の中身が入れ替わってしまう!
『フォーチュン・クッキー』は、1976年にジョディ・フォスター主演で製作された『フリーキー・フライデー』のリメイク。バンド活動に夢中で自宅のガレージを拠点に仲間との練習に明け暮れる15歳のアンナ(ローハン)にとって、精神科医で完璧主義者の母テス(カーティス)はなにかにつけて小言をぶつけてくる煙たい存在だ。しかも、3年前に最愛の夫を亡くしたテスには現在、側で支えてくれる婚約者のライアン(マーク・ハーモン)がおり、結婚式が間近に迫っていた。
想いがすれ違い、テスとアンナが大ゲンカに!(『フォーチュン・クッキー』)[c]Everett Collection/AFLO
結婚式のリハーサルを翌日に控えたある日、ライブのオーディションがブッキングし、バンドを優先したいアンナは母と大ゲンカに。その様子を見かねたなじみの中華料理店の店主の母親から“フォーチュンクッキー(おみくじクッキー)”を手渡され、中を開封すると2人だけに地震が起こる不可思議な現象が。翌日の金曜日の朝、なんとアンナとテスの中身が入れ替わっていた!!
フォーチュンクッキーを開封するテスとアンナ(『フォーチュン・クッキー』)[c]Everett Collection/AFLOリンジー・ローハン&ジェイミー・リー・カーティスが母娘役を全力で体現
思春期真っ只中のアンナを演じたのは、子役から活動を開始して本作で一気にブレイクしたリンジー・ローハン。特に2000年代中頃の活躍は目覚ましく、『ミーン・ガールズ』(04)、『ハービー/機械じかけのキューピッド』(05)、巨匠ロバート・アルトマン監督の遺作『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(06)などに出演したほか、歌手としても2004年発売のデビューアルバム「Speak」が100万枚超えのセールスを記録している。
バンド活動に夢中の15歳のアンナ(『フォーチュン・クッキー』)[c]Everett Collection/AFLO
その一方で、ヒラリー・ダフ、パリス・ヒルトン、ニコール・リッチーらとの対立が取り沙汰されるなどお騒がせセレブとしての側面もあり、しだいに映画への出演も減少。それでも俳優業は続けており、近年はNetflixの『フォーリング・フォー・クリスマス』(22)、『アイリッシュ・ウィッシュ』(24)で主演を務めている。ちなみに、子役時代に出演した『ファミリー・ゲーム/双子の天使』(98)では両親の離婚によって生き別れになった双子を一人二役で演じており、劇中でお互いになりすます展開があるなど、“入れ替わり”になにかと縁があるのも興味深い。
中華料理店でフォーチュンクッキーを手渡される(『フォーチュン・クッキー』)[c]Everett Collection/AFLO
シングルマザーとして2人の子どもを育てながら、反抗期のアンナとの関係に頭を悩ませる母テス役にはジェイミー・リー・カーティス。「ハロウィン」シリーズ、『ザ・フォッグ』(80)、『プロムナイト』(80)などホラー映画で人気を博し、ジェームズ・キャメロン監督&脚本の『トゥルーライズ』(94)ではゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)でアカデミー賞助演女優賞に輝いたことも記憶に新しい。
周囲にバレないようになんとかやり過ごそうとするが(『フォーチュン・クッキー』)[c]Everett Collection/AFLOテスの姿をしたまま想い人といい感じになってしまうアンナ
一番の見どころは、中身が入れ替わってしまったアンナとテスのリアクションと、周囲にバレないようにそのまま日常をやり過ごそうとするドタバタ劇。朝起きた瞬間の体の異変、鏡に映った自身の姿にショックを受け、「衝撃を与えれば元に戻るはず」ということで思いきり体をぶつけ合ってみる、「どうせ自分の体じゃないし」と言いながら控えていたジャンクフードを堂々と食べるなど、入れ替わりの“お約束”が目まぐるしく展開される。かつて“絶叫クイーン”と呼ばれたカーティスが、自身の姿をホラー映画のクリーチャーに例えて泣き叫ぶメタ的なギャグシーンも盛り込まれている。
翌朝の金曜日、なんと2人の中身が入れ替わってしまう!!(『フォーチュン・クッキー』)[c]Everett Collection/AFLO
アンナの姿をしたテスは、高校生活なんて余裕とばかりに登校するが、いじわるな同級生や嫌味な先生の嫌がらせを受けるなど予想外の苦戦を強いられる。対して、アンナは母のきっちりした身なりに我慢できず、勝手に髪を切ったり、ピアスを開けたり、パンクスタイルに大変身。テレビのトーク番組に出演した際にもロックスターのような振る舞いをしてしまうが、意外にもこれが世間にウケてしまう。さらに、学校の上級生で想い人でもあるロック好きのジェイク(チャド・マイケル・マーレイ)とテスの姿のまま音楽トークで意気投合。このテスはジェイクにとってまさに理想の女性であり、猛アプローチを仕掛けるなど結婚式の開催が危ぶまれる事態にも陥っていく。
母娘の前にアンナの想い人ジェイクが現れる(『フォーチュン・クッキー』)[c]Everett Collection/AFLO