2025.09.15

「美術展ナビ」への寄稿でもおなじみ、直木賞作家・永井紗耶子さんの 『木挽町のあだ討ち』が映画化されます。劇場公開は2026年2月27日(金)。あの複雑な語りの物語をどう映画化するの?と興味津々の方も多いかと存じます。公開情報から詳しくご案内します。(美術展ナビ編集班・岡部匡志)

江戸の人情話、かつ第一級ミステリーの「木挽町」

原作『木挽町のあだ討ち』は、23年に第169回直木賞と第36回山本周五郎賞をダブル受賞した傑作時代小説。江戸の芝居町で語り草となった大事件をめぐるその物語は、「時代考証の確かさ」と「登場人物たちのリアルな感情描写」が各方面から高く評価され、江戸の世界へと導かれるような見事なストーリー展開に多くの読者の心を震わせました。さらに、芝居小屋を舞台にした人情作品でありながら、その巧妙な展開構成が称賛され、『このミステリーがすごい! 2024年版』国内編や「ミステリが読みたい! 2024年版」国内篇など、数多くのミステリー賞にランクインしました。

「セット、すごい臨場感」と永井さんも興奮

この春には歌舞伎の舞台になり、主演を務めた市川染五郎さんの爽やかな若侍ぶりが絶賛されました。そして満を持しての映画化となる今回、永井さんは「この作品は、読者の皆様を江戸の芝居小屋にご案内するような気持ちで書いていました。それが、オーディブル、歌舞伎に続き、映画に。実際に撮影現場で芝居小屋のセットに入った時、まるでタイムスリップしたような臨場感がありました。」と本作への期待と興奮を語っています。

現在、時代・歴史小説のジャンルを力強く牽引する直木賞作家、永井紗耶子さん
「さすが源監督、ぜひお楽しみに」 柄本さん

今回の注目は何と言ってもその重厚なキャスト。主演は務めるのは数々の映画賞を受賞し、その表現力で観るものを魅了する実力派俳優・柄本佑さんです。2024年に放送されたNHK大河ドラマ「光る君へ」での記憶も新しいです。その柄本さんが演じるのは、仇討ちに隠された真実に迫る田舎侍・加瀬総一郎。鋭い観察眼を持ち合わせ、探偵のように事件を暴いていきます。柄本さんは出演にあたって「原作を読んだことのある方は『あれ、どうやって映画にするのん??』と思われるかもですがご安心を。流石源監督。ホンを読んで『そうきたかぁ』と唸りました。是非お楽しみにしていただけたら、これ幸い。」とコメントしています。

「この作品を映画でやりたいと思っていた」 渡辺さん

共演には、日本映画界屈指の名優・渡辺謙さん。海外でも高く評価されるその演技力は今年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の田沼意次役でも遺憾なく発揮されました。今作では総一郎が訪れる芝居小屋「森田座」の中心人物で、仇討ちを成し遂げたその裏で密かに謀略を巡らせていた黒幕の立作者・篠田金治を重厚かつミステリアスに演じています。映画化が決まる前から原作ファンであった渡辺さんは「原作を読んだ時、この作品映画でやりたいなと思っていました。源さんから出演をオファーされた時、2つ返事でした。脚本はミステリーと群像劇の要素が入り、東映らしい痛快なチャンバラ時代劇になりました」と出演への喜びを語りました。2人は今作が初共演です。映画界を牽引するこの2人の演技がどのような相乗効果を生み出すのでしょうか。

「脚本は一気呵成に書き終えた」 源監督

そして監督・脚本は、「グレースの履歴」で第42回向田邦子賞をはじめ数々のドラマ賞を受賞し、「スローな武士にしてくれ〜京都撮影所ラプソディー〜」(19年/NHK BS)、「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」(21年/NHK BS)など画期的な時代劇ドラマで高い評価を得ている源孝志さんが務めます。卓越した映像美と心の機微を丁寧に描いた人間ドラマに定評のある源さんは、この作品のメガホンをとるにあたり「役者の顔が見えてきたら、脚本は一気呵成に書き終えた。まだ完成前だが、原作を読んだ読まないにかかわらず、最後まで疾走感を感じるエンターテイメントになっていると思う」と意気込みました。ヒューマンストーリーの巨匠が描く新境地、江戸の極上エンタメミステリーに期待が高まります。

木挽町のあだ討ち

原作:永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社刊)

監督・脚本:源孝志

出演:柄本佑 渡辺謙

公開表記:2026年2月27日(金)全国公開

企画協力:新潮社

配給:東映

コピーライト: Ⓒ2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会

映画公式ホームページ:https://kobikicho-movie.jp

映画公式X:https://x.com/kobikicho_movie

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