『ライト/オフ』(16)や『アンティル・ドーン』(25)を手掛けたホラー映画界の俊英デヴィッド・F・サンドバーグ監督が、現在Amazon MGMが企画開発を進めている『悪魔の棲む家』(79)の新作映画の監督に就任したことがわかった。「Deadline」が報じている。
実在の事件と、その後起きた出来事を描いたジェイ・アンソンの小説を原作にした『悪魔の棲む家』[c]Everett Collection/AFLO
スチュアート・ローゼンバーグ監督がメガホンをとったオリジナルの『悪魔の棲む家』は、超常現象ホラーの代名詞的作品。ニューヨーク州アミティヴィルのオーシャンアヴェニュー112番地にあるデフェオ家で1974年に実際に起きた、長男ロナルドによる一家6人射殺事件を原点にし、現場となった家に越してきたラッツ家の家族が超常現象に見舞われたというエピソードを描いたジェイ・アンソンの小説「The Amityville Horror」が原作となっている。
公開当時には記録的な大ヒットとなりシリーズ化がされるのだが、名プロデューサーとして知られるディノ・デ・ラウレンティウスが製作総指揮を務めた『悪魔の棲む家 PART2』(82)は別の原作をもとに、デフェオ家の事件が描かれた第1作の前日譚。翌年公開された『悪魔の棲む家 PART3』(83)はオリジナルストーリーで第1作の続きの物語が展開。他にも1990年代後半までに計7本の続編が制作されているが、ストーリーもキャストも制作会社もバラバラだ。
オリジナルストーリーで描かれる第3作など、“続編”が多数作られてきた[c]Everett Collection/AFLO
その後2005年にマイケル・ベイのプロデュースで、アンソンの小説を再映画化する第1作のリメイク版が製作され、全世界興収1億ドルを突破するまずまずのヒットを記録。また、B級映画スタジオとして知られるアサイラムがアンソンの小説をベースにした『パラノーマル・エンティティ4』(11)を手掛けて以降は、アンソンの小説への“インスパイア系”や、「Amityville」という名を借りただけのビデオ映画などが大量発生する事態に。
さらに2017年にはブラムハウス・プロダクションズと破産直前だったディメンション・フィルムズのタッグで『Amityville: The Awakening』が製作。先日も『デッドストリーム』(22)のジョゼフ&ヴァネッサ・ウィンター監督のメガホンのもと、デフェオ一家事件を題材にした新たな「Amityville」作品の製作が発表されるなど、いまも世界中の多くのホラー・クリエイターたちを刺激しつづけている。
【写真を見る】『悪魔の棲む家』の元の事件と『死霊館』につながりが!?サンドバーグ監督も過去に『アナベル』を監督[c]Everett Collection/AFLO
今回サンドバーグ監督が手掛ける新作映画は、ストーリーについては明らかになっていないものの、アンソンの小説ならびにそれを原作とした第1作を“再構築”するものといわれている。脚本を手掛けるのは『死霊館 最後の儀式』(10月17日公開)のイアン・ゴールドバーグとリチャード・ナイン。ちなみにサンドバーグ監督は以前、「死霊館」ユニバースのひとつである『アナベル 死霊人形の誕生』(17)の監督を務めている。
しかも『悪魔の棲む家』で描かれたラッツ家での超常現象騒動が実際に起きた際に、ラッツ夫妻の言葉を信じて調査を行ったのは「死霊館」ユニバースのモデルとして知られるエド&ロレイン・ウォーレン夫妻なのだから、運命的なめぐり合わせを感じずにはいられない。このプロジェクトの続報に乞うご期待!
文/久保田 和馬