映画『国宝』が第50回トロント国際映画祭Special Presentation部門に出品され、現地時間9月11日(木)に公式上映。李相日監督が登壇した中、上映後はスタンディングオベーションに包まれた。
5月にはカンヌ国際映画祭「監督週間」部門、6月には上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門 カンヌ エクスプレスに出品し、ついに先日、数多くの作品がアカデミー賞にノミネートされてきた映画配給会社「GKIDS」によって、2026年に北米公開が決定したことが発表された本作。
トロント国際映画祭は、1976年より開催され、例年300本以上の作品が上映され、来場者数70万人を集める、北米最大の映画祭。また米アカデミー賞の前哨戦として広く知られ、第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)が2021年に同じSpecial Presentation部門に出品されている。
2023年には『怪物』(監督:是枝裕和)、『悪は存在しない』(監督:濱口竜介)が出品された。
この度、北米プレミアとなる公式上映が現地時間9月11日(木)20時からRoyal Alexandra Theatreで開催。
日本での特大ヒットを受け、海外でも大きな期待が高まっており、会場には入場を待つ長蛇の列ができるなど、上映前から場内の熱量は最高潮に達し、1,244席が満員に。
上映前に観客の前に登壇した李相日監督は、「トロントは、Apple TV+の『パチンコ-Pachinko-』の撮影で長期滞在しており、スーパーマーケットに買物に行って、お米を炊いてサーモンを焼いていた」とトロントでの思い出を振り返り、「So Beautiful Town」とトロントを評して会場は大盛り上がり。
上映終了後には観客からのスタンディングオベーションが巻き起こり、拍手喝采の中、李監督が再び登壇し、MCのジョバンナ・フルディ(トロント国際映画祭インターナショナルプログラマー)と舞台挨拶を実施。
ジョバンナ・フルディ氏は何度も『国宝』を傑作と話し、「歌舞伎を題材とした映画は『残菊物語』(1939年/溝口健二監督)が基準となっていますが、歌舞伎関連に限らずこの映画に最も影響を与えた映画や映画監督は誰ですか?」という質問に李監督は、「学生時代に見たチェン・カイコー監督の『さらば、わが愛/覇王別姫』の影響は大きいです」と回答。トロントの映画ファンを沸かせた。
また、「『国宝』は日本で社会現象となり、2025年8月時点で邦画実写史上2位の興行収入を記録しました。この成功を想像できていましたか?またどう感じていますか?」との質問も。
「想像できるわけないじゃないですか(笑)」と会場を笑いに包み、「この映画を制作する当時は、日本映画にとってのチャレンジになると思っていました。歌舞伎の映画で大ヒットすることはないと、どこかで感じていたかもしれないし、どこか様子を見ていたと思います。様々な難しい条件が揃っていると、関係者全員が思っていました」と改めて制作当時の想いを明かした。
李監督は、舞台挨拶終了後も興奮冷めやらぬ観客からの握手やサインに答えながら会場を後にした。
日本特有の“歌舞伎”という文化をテーマにした映画は、カンヌ国際映画祭に続いてトロント国際映画祭でも熱狂を巻き起こし、来たる第98回米国アカデミー賞にも国際長編映画賞日本代表作品に選ばれている。
『国宝』は全国にて公開中。