左から、ZOZO ブランド営業本部の本間聡 生産企画部ディレクター、同じく高田慎平生産企画部 ブロック長、サンリオの志賀優子 キャラクタープロデュース部ゼネラルマネージャー、パルコの手塚千尋 文化創造事業本部ゲーム事業開発部、ライセンス事業開発部、オンラインビジネス部 フェロー
「WWDJAPAN」では、多様化するファッション&ビューティ企業の課題解決やビジネススケールのためのヒントを、セミナーでも発信している。マーケターの第一人者であり、「WWDJAPAN EDUCATIONS」BXパートナーを務める藤原義昭300Bridge 代表が、8月26日に開催された「WWDJAPAN」のセミナー「既存顧客も新客も魅了する、コラボレーションを超えたIP(知的財産)活用術」のセッションから得た示唆を共有する。
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顧客も新客も魅了する
IP(知的財産)活用術
ファッションの世界で「IPビジネス」という言葉を耳にする機会が一気に増えました。昔はキャラクターをプリントしたコラボTシャツ程度だったものが、いまやブランド戦略を左右する存在になっています。「IPビジネスとコラボレーション戦略」に登場したサンリオ、パルコ、ZOZOの話からは、実務に役立つヒントがいくつも見えてきました。
まずはIPホルダー側であるサンリオ。ハローキティのリボンや“優しい性格”といった変わらない部分を大事にしつつ、デザインや表現は時代や国ごとに柔軟に変えているのだそうです。だからこそ50年たってもファンが増え続ける。「絶対に守るもの」と「状況で変えていいもの」を分けることが、長く愛される秘訣だと感じます。
次にパルコ。商業施設という“場”を強みに、IPを軸にしたフロアや展覧会を次々と仕掛けています。そこで生まれるのは“語りたくなる体験”。友人やSNSでシェアしたくなるような体験を中心にフロアを「文化」と捉える。特に物理店舗はすぐには変えられないのでリスクも大きくなります。そこをIP利用のポートフォリオ管理で分散していると感じました。
最後はZOZO。年間40件以上ものコラボを展開し、受注生産でリスクを抑えつつファン心理を読んだ商品を作っています。大事なのは、売り上げや流入、SNSフォロワー数といったKPIにつなげる仕掛けをきちんと持っていること。熱狂を成果に変える力です。特に新規客を増やしにくくなっている時代において、コンテンツでレバレッジをかけているお手本です。
3社に共通していたのは、IPを「借り物」としてではなく「共創の核」として扱っていること。ファンと一緒に体験をつくり、文化を育てる。その循環が、これからのファッションビジネスを強くするのだと思います。
藤原 義昭/WWDJAPAN Educations BXパートナー
PROFILE:(ふじはら・よしあき)1999年コメ兵ホールディングス入社。ECの立ち上げ、販売や物流などマーケティングの変革を牽引。2010年からIT事業部の部長に就任し、ウェブ事業やデジタルマーケティング、社内システムを統括する。21年4月にユナイテッドアローズに転職、その後プライベベートエクイティファンドであるアドバンテッジパートナーズを経て、BX(Business transformation)カンパニーである300Bridgeを創業して代表に就任