とどまることを知らない韓国ドラマブーム。
当記事は、ライター・小澤サチエが、韓国俳優やドラマの魅力を語ります。
今回紹介するのは、法曹ヒューマンドラマ『瑞草洞<ソチョドン>』。人気俳優イ・ジョンソクが『ビッグマウス』以来となる待望のドラマ復帰作ということもあり、放送前から大きな注目を集めていました。
8月10日に最終回を迎えた本作は、韓国内外で高い評価を獲得。従来の法曹ドラマとは一味も二味も異なる魅力で、視聴者を惹きつけています。この記事では、そのヒットの理由を紐解いていきます!

『瑞草洞<ソチョドン>』のあらすじは……
舞台はソウル・瑞草洞(ソチョドン)の法曹タウン。
同じビルで働く5人のアソシエイト弁護士たちが、日々の訴訟に立ち向かいながら奮闘し、成長していく姿を描いた法廷ヒューマンドラマです。
冷酷な訴訟が繰り広げられる街でストレスを抱えながらも、彼らはやがて食事を共にしながら、仕事仲間以上の絆を築いていくように……。
※アソシエイト弁護士とは、法律事務所に雇用されて働く弁護士のこと。

社会人なら誰もが共感! 理想と現実の間でもがく、サラリーマンならではの悩み
『瑞草洞<ソチョドン>』の大きなポイントは、現役弁護士が脚本を担当しているということ。
一般的な弁護士ドラマといえば、派手な裁判シーンや劇的などんでん返しが定番ではないでしょうか? しかし『瑞草洞<ソチョドン>』は、ドラマティックさを強調するのではなく、徹底してリアリティを重視しています。
裁判のシーンは驚くほど事務的で、淡々と進んでいきますが、それが逆にリアル。「これは遠い世界の出来事じゃなくて、私たちが生きている現実のお話なんだ」と感じさせてくれて、強い没入感を生み出しています。
それでも決して退屈ではなく、それぞれの案件の背景には依頼人の人生があります。詐欺やいじめ、離婚調停といった身近なテーマも多く、おそらく脚本家自身のキャリアを通じて見てきた、「瑞草洞で日々弁護士たちが直面しているリアル」が描かれているのだと思います。
一つ一つの訴訟にはドラマがあり、登場する弁護士たちの個性は違うけれど、みんな真剣に依頼人に向き合っている。その姿に心を動かされて、気づけば観る側もどんどん引き込まれてしまうのです。
さらに、勤務弁護士ならではのリアルな悩みが、深く丁寧に描かれている点も見どころ。等身大の姿に、社会で働く大人なら誰もが自分を重ねられるはずです。

正義感や理想よりも、仕事と割り切り淡々と職務をこなす、9年目の最年長アソシエイト弁護士アン・ジュヒョン(イ・ジョンソク)。

家族の訴訟をきっかけに法曹界を志し、依頼者の心にも寄り添いたいと願う熱血派の1年目弁護士カン・ヒジ(ムン・ガヨン)。

場を明るくしながらも「自分はなぜ弁護士なのか」という問いに向き合い、劣等感と戦うチョ・チャンウォン(カン・ユソク)。

5人の中では唯一の既婚者で、家庭とキャリアの間で揺れながら働き方の最適解を探すペ・ムンジョン(リュ・ヘヨン)。

そして、「何よりもお金が一番」という価値観を持ちながら、秘密を抱え、不安を隠して生きるハ・サンギ(イム・ソンジェ)。
それぞれの選択や葛藤がていねいに描かれることで、弁護士ドラマという枠を超え、彼らの姿は私たち自身の生き方をも照らしてくれます。
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『瑞草洞<ソチョドン>』の魅力は、仕事(事件)、友情、家族、ロマンスのバランスが絶妙なところにもあります。前半は主演二人のロマンスにスポットライトが当たりますが、決してドロドロせず、美しい二人の姿やノスタルジックな回想シーンにうっとりさせられます。
(余談ですが、イ・ジョンソクのお肌が見惚れるほど白くて美しいです……)
そして中盤以降は、5人の絆がいっそう強まり、物語の中心はロマンスからヒューマンドラマへ。最初はイ・ジョンソクとムン・ガヨンという主演級俳優二人のドラマかと思っていたのに、むしろ残りの3人の存在が、作品にリアリティと共感を与えてくれているのだと気づかされます。
彼らが悩み、もがき、日々を生き抜く姿があるからこそ、その人間らしさに視聴者は胸を打たれるのです。
瑞草洞<ソチョドン>ヒットの理由は、会社員たちが共感せずにいられない「食事シーン」!?





