
アルタビューティの店舗 George Chinsee/WWD ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
米アルタビューティ(ULTA BEAUTY)の2025年4〜6月期(第2四半期)決算は、売上高が前年同期比9.2%増の27億8846万ドル(約4099億円)、営業利益は同4.7%増の3億4485万ドル(約506億円)、純利益が同3.2%増の2億6087万ドル(約38億円)と、売上高と利益のいずれも市場予想を上回った。既存店の売り上げ増加や新規出店、英美容小売りスペースNK(SPACE NK)の買収効果、グローバル展開の進展が寄与し、ターゲット(TARGET)との提携終了の影響を吸収した。これを受けて、通期業績予想を上方修正した。修正後の予想値として、売上高を従来の115億〜117億ドル(約1兆6905億〜1兆7199億円)から120億〜121億ドル(約1兆7640億〜1兆7787億円)に引き上げた。
カテゴリー別では、フレグランスが引き続き最も強い成長を見せ、母の日や父の日の販促施策、新商品の投入、ギフトセットやメンズフレグランスの好調により2ケタ成長を記録した。スキンケアとウェルネスは1ケタ台後半の成長を遂げ、特にボディーケアとウェルネス商材がけん引した。メイクアップは1ケタ台半ばの伸長を示し、ヘアケアもプロフェッショナル向け製品やアクセサリー、ツールの需要が堅調で1ケタ台半ばの伸びを記録した。ケシア・スティールマン(Kecia Steelman)社長兼最高経営責任者(CEO)は「“アルタビューティ・アンリーシュド(Ulta Beauty Unleashed)”戦略の実行と事業モデルの強化に引き続き注力する。年初来の堅調な実績を踏まえる一方で、下半期の消費需要の推移には慎重な姿勢を維持する」とコメントし、足元の不透明感を認めながらも事業成長に自信を示した。
同社は7月、投資会社マンザニータ・キャピタル(MANZANITA CAPITAL)からスペースNKを買収した。買収金額は非公表だが、報道では3億〜4億ポンド(約596億〜792億円)規模とされる。資金は手元資金に加えて融資枠の活用でまかなった。スペースNKはイギリスとアイルランドで83店舗を展開し、24年の売上高は1億9650万ポンド(約391億円)に達する。今後もアンディ・ライトフット(Andy Lightfoot )CEOが率いる現経営陣が継続して運営を担い、アルタビューティ傘下の独立子会社として事業を進める方針だ。スティールマンCEOは「スペースNKは、ビューティラバーの有力な目的地であり、成長する英国市場に既に確立されたプレーヤーとして参入できる戦略的な好機だった」と強調し、今後は品ぞろえや顧客体験、成長拡大に向けた知見共有など、両社の強みを生かしたシナジーを追求する考えを示した。
アルタビューティは、グローバル展開も加速させている。同社はこのほど、メキシコで初となる店舗をソフトローンチし、数週間以内にグランドオープンを予定するほか、年内には中東初の店舗を開業する見通しだ。一方、ターゲットとの提携終了については、スティールマンCEOが「24年度のターゲットとの提携によるロイヤルティー収入は売上高の1%未満」と説明し、業績への影響は軽微だと強調した。同社は既存事業の底堅い成長に加え、スペースNKの買収や海外市場への進出を追い風に、通期を通じて強気の姿勢を示している。消費者需要の先行きには慎重さを残すものの、今後も事業基盤の強化とグローバル展開を軸に成長戦略を進めていく方針だ。
