彼女の音楽はほとんどがモジュラーシンセサイザーでできているんだけど、非常にオーガニックで純度が高い。でも、時に氷やナイフのように鋭利な瞬間もある。それで、ちょうどそのアルバムを聴いた頃にベネチアで友達に紹介されたんです。
会ってみたら非常に素敵な人ですぐに仲良くなりました。ちょうど彼女のライブのヴィジュアルをやっているルーベン・スピーニというアーティストが昔からの友達だったり、共通の友達も多くて、今年の3月に僕がパリのグラン・パレでやったコンサートにも来てくれたり。最近だと大阪万博のイタリア館の音楽もやっていました。
3. 自身の音楽制作において「推し」のミュージシャンのどんな部分にインスパイアされますか?
アンドロイド・オペラ『MIRROR』は、渋谷慶一郎がコンセプトと作曲を務めアンドロイドの歌手が中心となるオペラ作品だ。
インスパイアというよりも具体的な影響があって。去年の年末にアンドロイド・オペラのアルバムをリリースしたんですけど、その最終的な仕上げをしてもらうマスタリングのエンジニアを誰にしようか迷ってたときに、よく聴いていたのがカテリーナと、やはり女性の電子音楽家のローレル・ヘイローの『Atlas』というアルバムでした。
彼女たちの作品は電子音楽なんだけど、有機的で新しい暖かさみたいな感覚が共通してあったんです。で、アルバムのクレジットを調べてみたら両方ともにラシャド・ベッカーという、ちょっとした天才的なマスタリングエンジニアだったから彼に頼みました。
4. 音楽が持つ力とはどのようなものだと思いますか?
音楽の持つ力を感じるのは音楽を聴くときよりも作っているときです。1人の孤独な作業だけどライブで演奏しているときよりもテンションが高かったりします。この「音楽に没入する力」は年を取るほど高くなっているから、これは音楽の力なんでしょう。
5. 今後ミュージシャンとして挑戦、継続していきたいこと、そして自身にとっての理想的なミュージシャン像とは?
2027年にロンドンでロイヤル・バレエの常任振付師のウェイン・マクレガーと大きな作品を初演することになっていて、これはオペラともダンスともバレエとも言えないような劇場作品になりそうなんです。前はこうした境界を壊すことに興味があったんだけど、今は侵食し合って誰も観たことも聴いたこともないような新しいものができたらいいなと思っています。