何にもとらわれない自由な発想で芸術をうみだす子どもたちと、さまざまな思惑を抱えた本物なのか詐欺師なのかわからない大人たちを、ユーモアたっぷりに描き出した映画『海辺に行く道』。本作に出演して以来、プライベートでも仲良しだという唐田えりかさんと菅原小春さん、それから、たまたま通りがかった共演者で菅原さんの夫・黒田大輔さんもまじえながら、お話を伺いました。普段はダンサーとして活躍する菅原さんに、ご自身の演技について・役柄について詳しくうかがいます。
インタビュー前編【「すごく情けない気持ちになった」女優・唐田えりかが菅原小春との共演で感じたこと】はこちらから
――菅原さんが演じたのは、東京からやってきたメグという女性。アーティストに融資したお金を回収するのが仕事ですが、芸術というものをあまり信用していないようにも見える女性です。
菅原:(監督の)横浜(聡子)さんにずっと「自分っぽくない役をやってみたい」という話をしていたんです。これまでは、自分と重ねやすい役が多かったので、踊りも身体性も封じられた、まったく動かないような人を演じてみたいって。それで、メグという役をいただいたんだけど、演じてみたら意外と「動く」人だということに気がつきました。物理的に移動が多いというだけでなく、内面がいつもざわざわと波立っていて、動き続けている人なんですよね。
唐田:こは姉(唐田さんから菅原さんへの愛称)は、本能のまままっすぐ生きる自由な人というイメージで、メグは感性で動くことに抵抗がある、理知的な雰囲気の人。一見、真逆のようだけど、二人にはどこか通じるものがあるなあと私は思います。
黒田大輔:人の本質っていうのは、本人が気づかないところにありますからね。
菅原:通りすがりに、急に入ってきた!(笑)
黒田:どうも。『海辺へ行く道』で名もなき弁護士を演じました、黒田大輔です。
――(笑)。菅原さんのパートナーでもある黒田さんから見ても、メグと通じるものを感じましたか?
黒田:めちゃくちゃ似てるなって思いました。誰しも、心のなかのいちばん大事なところには、鍵をかけて誰かに触れられたり、明け渡したりしないように守っているものでしょう。でも、どんなに隠しているつもりでも、どうしたって滲み出てしまうものがある。人の本質であり、個性とも呼ばれるその部分が、メグと小春は近しいと思った。
菅原:……と言われるんですけれど、自分ではわからないんですよね。わからないまま、ナチュラルに演じるのがいちばんいいんだろうなと思っていたんだけれど。
黒田:本人が意識してどうにかなるものでもないですしね。ただ、その隠された共通項を、横浜さんは感じとったからこそオファーしたんだと思いますよ。それが、横浜さんの本当にすごいところだと思います。……突然の乱入、失礼しました(笑)。
唐田:行っちゃった(笑)。
菅原:(笑)。でも確かに、これだと思えるものを何かひとつつかまえなくちゃ、と思い詰めているようなところや、自分のやるべきことを整理整頓して、ストイックに前に進もうとするところは、私と似ているかもしれないなと演じながら感じていました。芸術に対しても、メグは理解できないような顔をしながら、無関心ではいられない。それはつまり、コンプレックスを抱えているということだとも思うんですよね。そういう自分の内心に、もがきながら向き合おうとする彼女のことが、私は好きです。