2025年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
面白いかと言われれば、エンタメ的にはそれほど、である。凝った演出もないし、ドラマティックな展開もない。ストーリーの面白さで観客を楽しませるのではなく、メッセージを伝えるのが目的の映画と感じた。描かれているのは、無謀な戦争を始めて、どんどん追い詰められていく日本の姿である。そして毎回負け戦に出かけて果敢に戦い、最後は沈没した艦の乗組員を助ける「雪風」の姿である。戦争がいかに愚かなことか、人間の命と平和な生活がいかに大切かがじわじわと伝わってくる。エンディングでこの映画はメッセージですよと正直に明かしている(と思う)。確かにメッセージを受け取ったような気がする。
していい戦争はないが、最もいけないのが負けると分かっている戦争である。先日のNHKスペシャル「シミュレーション」の通り、国力の差から英米に勝てないと頭では分かっていても止められないのが戦争である。艦長の寺澤と現場を束ねる伍長の早瀬の二人の視点で戦争が描かれる。
開戦に反対であった寺澤が誰よりも果敢に戦った。戦争を遂行するのが不本意であっても、海軍軍人である自分の本分を忘れない。それは海軍学校の同期生と同じ思いであったと思う。彼の姿勢は人道主義、または愛読書「武士道」の精神に基づいているようだ。海に投げ出された他の艦の乗組員を救うのや、漂流している敵国の戦士に敬意を表するのもそれが背景にある。そして命を粗末にする「特攻」を憎むのも同じ精神である。寺澤は日本の現状を憂いながら、命を救うことで将来に希望をつなげようとしていると感じた。
早瀬が大切にするのは、仲間との信頼関係と家族への愛である。なぜ戦争をするのかと言ったら、平和な生活を取り戻すためであり、家族に幸せになってもらいたいからである。
指揮官と現場監督、少し理想主義的に描かれ過ぎているようにも感じるが、二人の存在があったからこそ雪風の伝説が現在までつながったのだろう。
無謀な戦争を始めて、最後は特攻に行き着いた現実を忘れてはいけない。映画のメッセージはかなり伝わったと思う。俳優陣の熱演がとても印象に残る。艦長の竹野内豊、先任伍長の玉木宏は役にはまっていてとてもよかった。大和で特攻に赴く司令長官の中井貴一は、普段の三枚目キャラを全く感じさせない堂々たる演技であった。
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
雪風 YUKIKAZE