現在放送中の『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)で、Snow Manのラウールがホスト役に挑んでいる。190cmを超える長身と抜群のスタイルが、ホストとしての存在感を際立たせていた。だが、見た目の軽やかさとは裏腹に常に危ういオーラを纏っており、その不安定な魅力に取り憑かれてしまう。
振り返れば、近年のドラマや配信作でもホスト役は強烈な存在感を放ち続けてきた。『TOKYO VICE』(WOWOW)の山下智久は危うさをまとったカリスマを、『ホスト相続しちゃいました』(フジテレビ系)の八木勇征は揺るぎない自信を、『地面師たち』(Netflix)の吉村界人は弱さと不安定さをにじませた人物像を演じている。アプローチはそれぞれ異なるが、共通しているのは、華やかさの奥に野心や危うさを孕んだ“ギラギラ感”をまとっている点だ。

初めてのホスト役に挑んだラウールは、190cmを超える長身と端正なルックスで、ホストの概念をぶち壊した。アイドルとしてステージで鍛えられた所作や立ち居振る舞いは、まさにキラキラ感が漂っているが、そこで終わらなかったのが彼の強みだ。2024年の映画『赤羽骨子のボディガード』出演で評価を高めたように、演技経験の浅さを補おうと努力を重ねてきた姿勢が今回の役にも反映されている。

彼自身がホスト役とステージに立っている時の共通点を語るように、完璧に見せるパフォーマンスの裏にある葛藤や弱さも役に投影されている(※)。思えばラウールは、映画『ハニーレモンソーダ』で主演を務めて以降、ひたむきな努力を重ねてきた。昨年の映画出演で演技力を評価されたことも記憶に新しい。そうした歩みが、今回のホスト役に説得力を与えているのだ。スクリーンやステージでは“偶像”としてまばゆい輝きを放つ存在だが、その裏で成長への渇望を隠さない。そんな二面性が、彼のホストを単なる虚像ではなく生きた若者の姿として見せてくれている。
また、山下が『TOKYO VICE』で演じたホスト・アキラは、カリスマホストであり、常に危険な色気を放っているキャラクターだ。女性を酔わせ、惹きつけ、同時に破滅へと導いていく。そうした“危うさを纏うカリスマ”は、アイドル時代から続くキラキラしたイメージを徹底的に裏切り、野心むき出しの存在として観客に刻まれたのも未だに記憶に新しい。日米共同制作という国際的な現場に挑んだ姿勢も、「世界で勝負する」という彼自身の野心と重なり合うものだった。
		
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山下は、グループを離れて以降、俳優としてもアーティストとしても独自の道を切り拓いてきた。その歩みは常に次のステージを見据えた挑戦の連続であり、今回の役にもそれが色濃く反映されている。アキラという人物が放つ危うさや挑戦的な空気感は、長年のキャリアの中で培われた表現力やストイックな姿勢によって、結果として説得力を備えたキャラクターに仕上がっている。
八木が主演を務めた『ホスト相続しちゃいました』では、強気なオラオラ営業で女性客を惹きつけるNo.1ホスト・Masatoを演じた。役作りにあたっては実際にホストクラブに足を運び、人気ホストが放つ“圧”を体感。その経験を演技に落とし込むことで、画面からは揺るぎない自信と存在感がにじみ出ていた。
		
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これまで『美しい彼』(MBS)などで繊細な人物像を表現してきた八木にとって、このオラオラ系キャラクターは新境地と言える。従来の透明感あるイメージを脱ぎ捨て、芯の強さと堂々たる佇まいを前面に押し出すことで、俳優としての幅を大きく広げた。賛否を呼んだこと自体が、彼が過去の成功にとどまらず新たな領域を切り拓こうとした証であり、その挑戦心こそが彼の“ギラギラ感”を際立たせている。
									 
					