2025年8月22日から、ついに公開となった映画『大長編 タローマン 万博大爆発』。私は公開に先んじ、試写会にて視聴させていただいていた。

端的に感想を述べると、心底大喝采な劇場版だ! 映画を見たら、次は予告編を見直してニヤニヤすると良い。本記事では、ある程度はネタバレに配慮しつついくが、多少は内容に言及する点に注意していただきたい。

・昭和100年

万博で賑わう1970年の日本。そこに、万博を消滅させんと2025年から恐るべき奇獣が襲来……! 

作中の2025年は令和ではなく昭和100年。科学技術は現実よりもはるかに進歩しているっぽいが、どういうわけか秩序と常識が過剰に重視された社会になっており、でたらめなものは絶滅寸前。

万博を守るため、地球防衛軍(CBG)はタローマンと共に2025年へタイムスリップし……というのが導入だ。

元は5分しか尺がない短編シリーズ。それを映画に……!?!? あー、よくある、短いのを全部繋げて、ちょっとだけ新規カットを入れてボリュームを盛った感じの劇場版かな?

否!!

恐るべきことに、『大長編 タローマン 万博大爆発』は、完全新規ストーリーが105分続く、本物の大長編!! 

1話5分のTV版と同様の濃度な でたらめな仕様!!! 視聴後の疲労感は、近年まれに見るものだった。

・王道

本作で でたらめなのは、放映時間とタローマンと奇獣たちと……いや、だいたい全部が でたらめなのだが、ストーリー展開は意外にも王道!

真っ当でわかりやすく、子供の教育にもよろしい常識的な筋道にそって物語は進む。そして困惑の果てに迎えるちょっとイイ感じのフィナーレ。あれ、これ、本当に特撮ヒーローものだぞ……!?

いや、タローマンはどう見てもヒーローではない。常識的には、いささか迷惑な謎の巨人である。タローマンは危機など特に気にせず、自由にでたらめであり続ける。

しかし悪い敵は登場する。本作を構成する要素は、迷惑な巨人、悪寄りな敵、そしてCBGを含むその他。正義の存在が希薄だが、しかしこれは、愛と勇気のヒーロー物語!

なんということだろう。特徴を挙げれば挙げるほど、これがどんな作品なのか意味不明になっていく……! いやしかし、芸術というのはそういうものなのかもしれない。

本作で真に受けていいのは、「そう、岡本太郎も言っていた」の部分のみなのかもしれない。他はおおむね でたらめで満たされた、べらぼうな105分だった……!

つまり、TV版のファンが望むものを素晴らしい精度で実現しているということだ。全てのタローマンファンは、大いに満足することだろう。

唯一の欠点は、上映劇場が微妙に少ない点か……。近所の映画館には来ないでくれ、タローマン!!

参考リンク:大長編 タローマン 万博大爆発
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

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