2025年8月21日

PCから投稿

鑑賞方法:試写会

「ノック・ノック」(2015)、「ブレードランナー 2049」(2017)にも出演していたアナ・デ・アルマスの名前をしっかり覚えたのは、ようやく「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」(2019)でのこと。「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2020)のレビューでは「在キューバのCIAエージェント役を演じるアナ・デ・アルマスが、短い出番ながらもボンドとのユーモラスなやり取りや派手なアクションで活躍し、鮮烈な印象を残す。(中略)次回作は全キャストが刷新され完全リブートとなる可能性もあるが、MI6メンバーなど一部が続投になるなら、ぜひアナ・デ・アルマスも出番を増やして再登場してほしい」と書いたが、「ジョン・ウィック」(JW)シリーズのスピンオフという予想外の形で願いがかなった気分だ。

JWシリーズの監督を務めたチャド・スタエルスキがプロデューサーに回り、シリーズ3、4作目で脚本に参加したシェイ・ハッテンがもともと独立した企画として書いた脚本が大幅に改稿され、スピンオフ「バレリーナ The World of John Wick」のシナリオになった(改稿にはアナの希望で女性脚本家も参加したが、クレジットされたのはハッテンのみ)。レン・ワイズマン監督作「ダイ・ハード4.0」にスタエルスキがスタントマンとして参加した縁でワイズマンにメガホンが託されたものの、ワイズマンのオリジナル編集版は試写段階で不評だった。そのためスタエルスキが実質的な監督として再撮影・再編集に臨み、JWの世界観とアクションのクオリティが保たれたようだ。「バレリーナ」続編が早くも検討されているが、実現してもワイズマンの再登板はないだろう。

本作における格闘アクションのユニークなポイントのひとつは、体格とパワーで劣る女性が男性との殺し合いでどうしたら勝てるか、という難問に大真面目に取り組んでいること。殺し屋同士でフェアさなど関係ない。養成所の段階で股間蹴りも容認されている。アナ・デ・アルマスが演じるイヴは、バレエダンサー出身ゆえ美しく切れのある身体さばきで魅了するかと思いきや、けっこう泥臭く周囲の道具を何でも使って敵を殺戮し、悪党相手だから身体損壊もへっちゃら(R15+なので、残酷な描写が苦手な方は要注意)。特に手榴弾を大量に入手してからのシークエンスでは、近接戦での手榴弾殺法の多様なバリエーション(相手をどう爆破するか、何を盾にしてわが身を守るか)で観客を驚喜させる。

東欧のどこかにある設定の暗殺教団の拠点が、“殺し屋村”みたいでちょっと笑ってしまう。大人たちはもちろん、幼い子供たちまで全員が訳知り顔だ。スピンオフゆえJW役のキアヌ・リーブスは少し顔を見せる程度だろうと予想していたら、意外にも終盤でしっかりアクションの見せ場がある。この殺し屋村でのイヴとJWの関係性の変化も見所なので、ぜひ楽しんでいただきたい。

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バレリーナ The World of John Wick

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