※上記写真は2商品の組み合わせです。
1985年に公開されたSF映画の金字塔『バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)』シリーズが今年2025年に公開40周年を迎えた。
本シリーズは「タイムスリップ」を題材とし、主人公のマーティ・マクフライと親友でありタイムマシンの開発者である“ドク”ことエメット・ブラウン博士を中心に過去や未来へタイムトラベルし、様々な騒動を巻き起こし、PART1~PART3の3作品が公開された。様々な時代、「タイムパラドックス」や練り込まれた伏線、過去と未来のギャップをついたジョークなど痛快なストーリーが展開され、愛されている作品となっている。
さらに、ミュージカルや映像と音楽が融合するシネマ・オーケストラコンサートと新たな手法で本作が40年の時を経て展開される。
そして、40周年記念したホビーも展開される。コレクターズトイとして初めての公式立体化やこれまでにないアプローチの商品化など「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ファンはもちろん、ホビーファンも注目の商品が発売を予定している。
その中からBANDAI SPIRITSの「超合金 TIME TRAIN」とタカラトミーの「Q VILLAGE(キュービレッジ)」の「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」と「QV-04 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)DXセット」をピックアップ。各商品の企画担当者へのスペシャルインタビューを実施した。
BANDAI SPIRITS「超合金 TIME TRAIN」 2025年12月発売予定 価格:59,400円(税10%込)
タカラトミー「QV-04 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1) DXセット」 2026年2月下旬発売予定 価格:10,780円
「超合金 TIME TRAIN」は映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 3』のラストに登場した蒸気機関車型タイムマシンで、超合金のダイキャストを使用したヘヴィな重量感と緻密な造形、そして光る、鳴る、動くギミックを搭載してコレクターズトイとして初めての公式立体化されたものとなっている。そして、「おもちゃ大賞2025」キダルト部門で優秀賞を受賞し、注目のグッズとなっている。
>>> 発表! <<<
40周年を迎える『BACK TO THE FUTURE』シリーズより12月発売予定の「超合金 TIME TRAIN」が、このたび『日本おもちゃ大賞2025』キダルト部門<優秀賞>を受賞いたしました!
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「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」は、キュートでクールな世界を提案するデフォルメフォーマットシリーズ「Q VILLAGE」から映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』第1作目のクルマ型タイムマシンをデフォルメ立体化。そして、主人公のマーティとドクもフィギュアで再現され、乗車させて遊ぶことができる新ブランドとなっている。
Q VILLAGE
New products coming soon!
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◢◤予約開始間近!◢◤
キュートでクール!デフォルメディスプレイモデル「Q VILLAGE」シリーズ始動!…pic.twitter.com/VYaxeii9Jl— T-SPARK 公式 (@tspark_official)June 30, 2025
最新試作の写真とともに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズへの想いと各商品の魅力を「超合金 TIME TRAIN」の企画担当者、寺野彰氏と「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」の企画担当者、宮内貴之氏が語る。
BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部 ロボット企画1チーム マネージャー 寺野彰氏(左)とタカラトミー キャラクタービジネス部ホビーキャラクター事業室コレクター事業部企画マーケティング課上級主任 宮内貴之氏(右)This is heavy! 『BTTF』シリーズ40周年とともにホビーアイテムの魅力に迫る
――今回『BTTF』シリーズ40周年を迎えて、「超合金 TIME TRAIN」と「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」が商品化されましたが、改めて各商品の開発経緯を教えてください。まずは「超合金 TIME TRAIN」からお願いいたします。
寺野氏:開発コンセプトは2023年の初頭に、2024年の「超合金50周年を盛り上げる企画がほしい」と部長から言われまして、そこから「超合金」ブランド50周年商品の一つして「超合金 TIME TRAIN」の商品化に向けた検討が始まりました。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 3』に登場した蒸気機関車型タイムマシンが「超合金」シリーズで初の公式立体化
寺野氏:発売できるのが「超合金50周年」を過ぎたタイミングになるのですが、発表を「超合金」50周年にし、『BTTF』シリーズが40周年を迎える今年(2025年)に合わせて発売する形にしました。
「超合金50周年」企画を進めていく中で、ちょうどユニバーサル様からご案内を複数いただいた中で「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズが『超合金』ブランドと合うのではないか」となりつつも、「なんで蒸気機関車型タイムマシンなのか!?」という商品化の驚きを入れました。
――なるほど。続いて「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」の開発経緯はどういった流れでしょうか?
宮内氏:まだ新規のブランドではありますが、タカラトミーのハイターゲット向けホビーレーベル「T-SPARK(ティースパーク)」が2025年5月に発表から1周年を迎えました。その中で今年5月に発表した「Q VILLAGE(キュービレッジ)」というシリーズで映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』第1作目のタイムマシンを商品化することになりました。
デフォルメディスプレイモデル「Q VILLAGE」シリーズで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンがデフォルメデザインで立体化。「QV-04 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1) DXセット」ではバリューバンが立体化
宮内氏:まず、「Q VILLAGE」が立ち上がった経緯についてお話させていただくと、タカラトミーのプルバックミニカー「チョロQ」の“Q”を冠にしており、「チョロQ」から派生してタカラトミーが培ってきたデフォルメの技術や考え方に通じるデザインと「デフォルメのクルマとフィギュアの遊びがあったら面白いのではないか?」という着想から「Q VILLAGE」が立ち上がりました。
また、“VILLAGE (ビレッジ)”というワードに決まったのも、これまで「ワールド」や「タウン」といったワードが弊社「トミカ」で訴求、浸透しておりますので、そこと被らず“小さなデフォルメ世界”のコンセプトを表現する点でビレッジで整合となりました。
「色々なデフォルメされたキャラクターたちが集う村」というのを目指して作り上げました。
【「Q VILLAGE(キュービレッジ)」シリーズ!『バック・トゥ・ザ・フューチャー』&『ワイルド・スピード』新登場!】
宮内氏:その第1弾として「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」が商品化されたのは、「クルマで商品化するならグローバルで一番人気のキャラクターやIPは何だろう?」となり、最初に挙がったのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンでした。
チーム満場一致で、「『BTTF』でデフォルメの世界観を作りたい!」という想いが膨らみ、シリーズ40周年のタイミングやホビーレーベルの拡大としてフィギュア商品の展開も考えていましたので、そこがうまく形になったかと思います。
デフォルメにあたり、元が車高の低いデザインだったので、フィギュアを乗せるためのデザインアレンジが課題となりました。フィギュア遊びとクルマのリアリティを両立する上で、フィギュアを乗せるサイズ感はかなり検討しました。
開発段階では「チョロQ」サイズや大きめのサイズなどの試作をして、今回商品化したサイズとなりました。
「Q VILLAGE」ではフィギュアを乗せて遊ぶことができる時を超えて映画の名シーンがおもちゃでよみがえる
――続いて、映画『BTTF』シリーズの想い出を教えてください。また、好きなシーン商品化に繋がった部分をお伺いできればと思います。寺野様から教えてください。
寺野氏:私の世代的には映画公開当時(1985年)とは離れていましたが、テレビで放映された録画VHSを擦り切れるほど見ていました。
宮内氏:それは、私も一緒かもしれないです(笑)
寺野氏:なので、実施に映画で公開された時の衝撃を知らない世代ですが、本作はPART 1、PART 2、PART 3が揃ってある作品として見ていました。
しかし、子どものころは「なんで写真の人物が消えるのか?」などわからないことだらけだったのですが、「カッコイイクルマが出る」、「カッコイイSLが出る」など子ども心にワクワクする演出が多くて、繰り返し見ているうちにストーリーの巧みな構成に惹かれて、最初は父の横で見ていたのが結果自分で見るようになっていた魅力がありましたね。
【『バック・トゥ・ザ・フューチャー』40周年記念 スぺシャル動画】
寺野氏:商品ではクルマ型タイムマシンは、これまでにたくさん商品化されていて、発光ギミックを搭載したものや様々なスケール、ダイキャスト製、最近だと浮遊ディスプレイできるものなど色々なパターンがあり、形状も研究されているので「おもちゃにしずらい」、「色々な商品が出ているので、遊びの幅を広げづらい」と感じました。
そのため、「Q VILLAGE」のデフォルメデザインにする表現はいいなと思いました。
BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部の「TAMASHII NATIONS」ブランドで“大人向け”として打ち出しをさせていただいていますが、軸足は「おもちゃ」だと思っています。なので、「精巧なフィギュア」にすることもできるのですが、そうなると「手に取って遊べるおもちゃ化」が難しいと思っておりました。
企画を始めた当時、僕は「超合金」シリーズ担当だったので「超合金としておもちゃにする」発想として、クルマ型タイムマシンは光る、鳴るのギミックの面白さはあるのですが、動かす面白さがあまりない外観になってしまうと考えました。
一方で蒸気機関車型タイムマシンは、スチームパンクの「未知のパーツがくるくる動いているような動き」があり、そこに玩具的な面白さがあると思います。僕自身、そもそも蒸気機関車が好きなのもあり、蒸気機関車としてはいらない要素がいっぱい入っているのですけど、そこがワクワクする要素になっていると感じていました。
その意味でも、「これはおもちゃ映えする」と思いました。しかし、劇中でもほとんど映っていない、クルマ型タイムマシンほど資料もないので立体化には相当苦労しました。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 3』に登場した蒸気機関車型タイムマシンが「超合金」シリーズに登場
迫力ある外観と全長約480㎜(本体)となっている
上部の細かなメカディテールも再現
正面も迫力ある造形
――続いて宮内様の思い出をお願いいたします。
宮内氏:『BTTF』シリーズの思い出は、自分も映画公開当時はまだ生まれていないのですが、寺野様同様に録画VHSが家にあったのを覚えています。その時は8mmビデオで何回も見ておりまして、「映画といえば『BTTF』」くらいの映画好きの家族で、当たり前のように見ていました。
その当時も写真の人物が消える理由がわからなかったりしましたが、マーティが過去の父親と母親をくっつけることができるのかというドキドキ感はありました。
今大人になって思うのは普遍的なタイムスリップのテーマがあり、それが1985年にすごいリアリティある設定と描写に加え、ストーリーも面白い。そして、山場のマーティを未来に帰す場面では雷で電力を補給してタイムトラベルさせるという想いもよらないアイディアと脚本だと思いましたね。
そして何よりもクルマ型タイムマシンがカッコイイという印象的が強かったです。子どものころから自動車が好きでトミカなどを集めていましたが、その中でガルウィングドアは衝撃的で多くの人がこれでガルウイングを知ったのではないかと思います。
そういった意味でも老若男女問わず愛されるのはタイムマシンのカッコよさ、ストーリーの面白さ、魅力的なキャラクターたちとすべての要素が集まり、監督のロバート・ゼメキス氏の凄さを感じました(笑)
――次に本商品の特に見てほしい注目ポイントを教えてください。では、寺野様からお願いいたします。
寺野氏:「超合金 TIME TRAIN」の注目ポイントは光る、鳴る、動くというおもちゃの定番の要素を全部入れました。仕様も僕が納得いくまで突き詰めた商品となっています。
先ほども少し触れましたが、蒸気機関車型タイムマシンの設定資料が少なく、劇中で動いている部分はなるべく動力で再現しようとなりましたが、形状がわからない部分が多く、そもそもの基礎の形状をつかむために元となったSLの書籍を取り寄せて、その図面から逆算して作りました。
また、クルマ型タイムマシンからフィードバックされている機構が結構あり、前照灯部分には次元転移装置が入っていたり、後部車両のブースターもクルマ型タイムマシンと同じ形状をしています。
前照灯部分には次元転移装置があり、発光ギミックを搭載
後部にはクルマ型タイムマシンと同じデザインが再現されている
寺野氏:そういう部分を踏まえつつ、スチームパンクなので「これはどうして回っているのか?」といった部分、例えば機関部下部にある回っている部分は左右に赤いCみたいな形状があり、真ん中のパーツが回っているのでおそらくコイルだろうと想定していきました。
細かいメカが動く箇所の原理や設定を想定してデザイン
寺野氏:これは公式設定ではありませんが、劇中でドクが「未来にはもう行ってきた」と言っているので、おそらく『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 3』の西部の時代でまず未来に行くために蒸気機関車型タイムマシンを作り、未来へタイムスリップした際に改造したのだろうと思いました。
西部の時代に『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 2』で登場したクルマ型タイムマシンの飛行機構を開発することはできないので、タイムスリップができるスチームパンクのタイムトレインに未来の世界の技術を入れて、劇中最後の1985年にマーティと再会したのだろうと思うと考え、あちこちに蒸気機関車にはミスマッチな要素を一杯入れたことが注目ポイントになっています。
そのあたりは設定として公開されていないので、不明な造形を補うために半分僕の想像を含みつつ商品化しなければならない部分もありましたので大変でした。
――続いて「Q VILLAGE」の注目ポイントはどこでしょうか?
宮内氏:先ほど「超合金 TIME TRAIN」の光る、鳴る、動く!のお話を伺い、おもちゃならではの出力がされているなと感じました。
「Q VILLAGE」はコレクションしやすい大人向けホビーとしてデフォルメビークルとフィギュア遊びがシリーズの魅力となっています。
今回タイムマシンとフィギュアが付いた「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」と、それにバリューバンとアインシュタイン(犬)のフィギュアが追加された「QV-04 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン(Part1)DXセット」が展開されます。
「QV-04 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン(Part1)DXセット」ではタイムマシンとバリューバン、マーティとドク、アインシュタインのフィギュアが付いた豪華な仕様
宮内氏:「QV-04 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン(Part1)DXセット」は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にてショッピングモールの駐車場で初めてタイムスリップするシーンを再現できるセットとなっており、なかなか商品として見たことがないものとなっています。
特にクルマ型タイムマシンを運搬したバリューバンは、蒸気機関車型タイムマシン同様に資料がほとんどありませんでした。しかし、世界観再現を重要視して、バリューバンを含めて商品化したいとなりました。他にも小物を作ってより劇中に近いシチュエーションにすることも企画段階ではありました。
寺野氏:バリューバンのルーフ部分は映画の映像だけだとわからない部分ですよね。
宮内氏:そこは資料が少ないので元となったクルマを参考に、一部想像によるところもあるかもしれません(笑)
劇中にてタイムマシンを運搬したバリューバン
宮内氏:また、車体側面のドクのデカールを入れた専用車になっていたり、後部ハッチは2つ折りで開く部分も劇中再現となっています。タイムマシンが初めて登場するシーンを再現して遊んで欲しいです。
車体側面のロゴデザインも再現
後部のスロープも2つ折り方式で展開されるようになっている
タイムマシンの運搬や初登場シーンも再現できる
宮内氏:フィギュアとデフォルメ、世界観の再現を重要だと思い、デフォルメながら精密な要素を入れてバランスを図り、商品化しております。
デフォルメの世界観をお客様が好きな形でデイスプレイし、楽しんでください。
コンパクトなスケール感の中に重厚で濃密なディテールが宿る「Q VILLAGE」
特に後部はメカ密度が非常に高い
宮内氏:同梱のフィギュアもそのシーンで着用していた防護服姿のマーティとドクになっており、ドクの愛犬であるアインシュタインもついています。「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」では1955年の未来に帰るシーンの衣装が再現されています。
「QV-04 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン(Part1)DXセット」では防護服姿のマーティとドク、アインシュタインが付属
防護服のマーティ
ドクの愛犬アインシュタイン
「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」では劇中の1955年での衣装のマーティとドクが付属
――並べて見ると、ドクのフィギュアは1985年と1955年の年齢の差がわかるシワのデザインが入っていますね。
宮内氏:そうなんです。
フィギュアに関してもこのサイズ感で、クルマに座って乗ることができる「乗せる遊び」を重視して、色々なサイズやデザインを検討しました。リアルになり過ぎず、デフォルメの世界観を出すために顔も思い切ってデフォルメ化しております。その中でもドクは衣装以外でも違いが出るようにしました。
可愛らしさ遊びやすさを目指した結果、このデザインに落ち着きました。
「QV-04 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1) DXセット」(左)と「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」(右)のドクはそれぞれの時代の年齢に合わせてシワのデザインなどで表現されている
寺野氏:フィギュアのフォーマット的には御社のプラキッズを彷彿とさせるものになっていますね。
宮内氏:そうですね。プラキッズなど弊社デフォルメフィギュア商品も参考にしつつ、「Q VILLAGE」ならではのデフォルメデザインになっています。
『BTTF』シリーズ40周年だからこその挑んだ立体化
――次に各商品で「本商品が初!」といった挑戦したポイントを教えてください。
寺野氏:「超合金 TIME TRAIN」は正直、この商品自体が「初!」の塊のようなものになっています。その中で特に挑戦したポイントとしてはUSB給電を採用したところです。
おもちゃとしては電池給電が普通なのですが、動く箇所や光る箇所が多いので電池の場合、台座に「単3電池が何本必要なのか?」となってしまいます。
ただ「超合金」ブランドも現在は大人向けの商品なので、自宅にUSB電源は豊富だろうと考えて、社内で検討をしていきました。
USB給電の仕組みはこれまでほとんどやったことがなかったので、社内の安全基準が設定されておらず開発チームには色々と苦労をかけました。
USB給電によりLED発光ギミック、音声ギミック、電動ギミックを実現
宮内氏:確かにリチウム電池だと取り扱いが難しいですからね。
寺野氏:本商品は充電式ではないのでリチウム電池を使っていない完全な給電式になっています。なので、たまごっち等でリチウム電池による充電には安全基準が設定されているのですが、給電式は初ともあって安全基準を調べることから入りました。
もう一つ大変だったのが、劇中にもあった飛行モードでのディスプレイをする際の給電方法ですね。蒸気機関車型タイムマシンでは通常のレールに動輪が乗った状態と各部が変形して飛行した状態があるので、それぞれの状態を再現しつつ給電する必要がありました。
「どうやって給電するか?」という部分は台座のプラグと本体を繋げる方式で、通常では直接接続して給電し、飛行形態ではプラグの延長兼支柱パーツを使用して浮いている状態を表現できるようにしました。
飛行モードでは専用パーツで空を飛ぶようなディルプレイを表現しつつ、電力供給を行なっている
寺野氏:また、前部にある動輪のロッドに繋がるシリンダーが、劇中では変形機構が省略されていたので「飛行モードに変形するとロッドとシリンダーの接合位置はおかしい」となっていました。
「超合金 TIME TRAIN」では最初その部分を差し替えにする案もありましたが、飛行モードへの物理的な変形はロマンがありますから。
なので、完全変形できるように接合部の機構を工夫しています。これによって飛行モードで電源を入れると動輪が動くようになりました。第2動輪を本体裏側にあるギアに嚙合わせることで、動力を伝えてロッドで他の動輪が回るようになっています。飛行モードで初めて動くようになっています。
そのため、SLなのにレール上では動輪が回らない、浮いた時にはじめて動き出すようになっています(笑)
シリンダーの変形機構によりロッドを繋いだまま動輪を変形させることが可能に
寺野氏:企画の初期から飛行モードに変形することありきで開発を進めていたので、逆に側面や細かいパーツを動かす都合上中にぎっしりギアが入っているので、薄さやスペースの都合から羽を取り出す機構は再現できませんでした。
なので、本体の一部パーツを展開してウイングパーツを取り付けて外観を再現できるようになっています。
印象的なウイングは取り付け方式によって造形を再現
寺野氏:また、音声についても台座のスイッチ操作で蒸気機関のドラフト音が鳴り、また音だけを消すこともできます。ギアレーションの音が大きいので、それをかき消すためにもドラフト音を入れる形にしました。
ドラフト音もSLの音源を鉄道模型業界の知り合いの方に「劇中に近いドラフト音をください」と依頼して、劇中に一番近しい音を選んで搭載しました。さらに停車している際の蒸気音も入れていまして、飛行モードではまた違ったドラフト音が鳴るようになっています。
こだわりのポイントとして、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 3』で蒸気機関車をジャックした時にドクが上機嫌に汽笛を鳴らすシーンがあるのですが、今回台座にある真ん中のスイッチが汽笛を鳴らすロマン専用スイッチとなっています。
LEDの発光パターンも通常モードと飛行モードで劇中のパターンが違うので、それも再現できるようになっています。
【「超合金 TIME TRAIN」の最新試作品を公開。スイッチ操作で光る、鳴る、動くを実現】
――続いて「Q VILLAGE」での初となるポイントはどこでしょうか?
宮内氏:まず、元となったクルマが車高の低いデザインだったので、そこにフィギュアを乗せて遊ぶ意外とあるようでなかったポイントかと思います。また、内部の次元転移装置などのディテールも入れておりまして、フィギュアのサイズ感や遊びやすさを追求していきました。
ボディを外すことで車内にフィギュアを乗せることができる
内部ディテールも作り込まれ、劇中の「次元転移装置」も造形されている
また、ダッシュボードには3段の「タイムサーキット」造形も確認できる
宮内氏:そして、本商品が初といえるポイントとしては、白のバリューバンを立体化したところが「Q VILLAGE」の功績になるのではないかと思っています。
40周年を迎える『BTTF』シリーズのタイムマシンは、それだけ多くの人に残るインパクトと思い入れがあると思います。これまで多くの商品化がされていますが、その中でデフォルメと精密な印象が一緒になって立体化されたことはありませんでした。
「Q VILLAGE」では、フィギュアと並べて最初のタイムトラベルをする場面や象徴的なシーンを再現して楽しめるようになっています。
今後のラインナップでも作品の世界観の再現に必要なものを立体化していくことが「Q VILLAGE」ブランドのチャレンジになっています。
そのチャレンジの第一歩として『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の商品化、そしてバリューバンを立体化することができました。「T-SPARK」としても初の大きな試みを形にできたかと思います。
【「Q VILLAGE」より「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ最新試作品を一足先にチェック!】
――『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズでは数々の名シーンがございますが、各商品で「映画のワンシーンを再現できる」ポイントを教えてください。では、寺野様からお願いいたします。
寺野氏:一番再現したかったポイントとしては、蒸気機関車型タイムマシンが最後に飛び立ってラストを飾るシーンがあります。なので、飛行モードで浮いた状態で一番ギミックが映える状態にしたかった。
なので、浮いている時に動輪が回るようになっているなどといった部分にこだわりました。
映画のラストシーンを飾る飛行モードを再現できる
寺野氏:あとはガルウィングのように運転席の扉が開いてドクのファミリーが並ぶシーンが印象的だったので、運転席の内装を作るうえでやはりフィギュアは必要になると思いました。そして、それを見送るマーティとジェニファーも必要でした。
実は各フィギュアは同一シーンでのポーズではないんです。ドクが家族を紹介しているシーンでは、マーティとジェニファーはドクから記念写真を受け取っていません。ですが、フィギュアのマーティは記念写真を受け取ってジェニファーとともにドクたちを見送るラストシーンを再現したものにして、印象深いカットを再現して最後の流れを凝縮した見せ方にしたいと思い、それぞれ別のシーンをイメージしたものになっています。
「超合金TIME TRAIN」と同スケールで造形されたマーティたち
ドクと妻のクララ、子どもたちが再現されている
マーティと恋人のジェニファーは肩を組んだ姿
運転席の扉はガルウィングのように開閉
内部にはパイプ造形やタイムサーキットを彷彿とさせるパーツも
後部にはシートも造形されている
宮内氏:「Q VILLAGE」では、今回「QV-01 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1)」と「QV-04 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン (Part1) DXセット」の2商品が出ますが、それぞれ再現できるシーンは異なるものになっています。
そのため、イベントの展示用に作ったジオラマもそれぞれ最初のタイムトラベルのシーンと未来へ帰すシーンを再現したものとなっておりまして、その時もショッピングモールと時計台を合わせたジオラマを作っていました。
なので、それぞれ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を象徴するシーンであり、タイムマシンが活躍する場面でもあります。
タイムマシン初登場時のドクとマーティのやりとりシーンを再現したり、時計台に雷が落ちてドクが配線を繋ぎ直しマーティが未来に帰るシーンなどを思い浮かべながら遊んで欲しいですね。
なので、劇中の過去の時代(1955年)に修理したタイムマシンについている電力供給用のポールはそれぞれの商品についています。そして、フィギュアもその場面が再現できるようにそれぞれ異なるデザインとなっています。
タイムマシンの良さが詰まった2つのシーンをふんだんに再現して遊べるホビーになっているかと思います。
付属のポールパーツで未来へ帰るタイムマシンを再現できる
フィギュアと並べることで様々なシーンを再現できる
――最後にユーザー様へのメッセージをお願いいたします。
寺野氏:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ40周年だからこそ、本商品を作ることができました。
2025年『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ40周年を記念して、いいものに仕上げてまいりますので、ぜひこの記念すべき時に、お手に取っていただけますと幸いです。
また、8月30日より開催されます「東京おもちゃショー2025」での展示もあります。今回「おもちゃ大賞2025」キダルト部門で優秀賞を受賞でき、会場では動く展示をしますのでぜひ見ていただければと思います。
宮内氏:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ40周年の盛り上がり中で、劇中の初登場シーンとクライマックスシーンを再現できるホビーとなっています。
「超合金 TIME TRAIN」と合わせてなかなか立体化されていない商品がほぼ同時期に出るのは40周年ならではのお祭り感を楽しめたらと思います。
「T-SPARK」としては、タイムマシンの精巧な立体物を集めるのはハードルが高いので、普段ホビーを購入しない方にも入りやすいデザインと価格を目指しました。
老若男女問わず愛される不朽の名作なので、たくさんの人に手を取っていただいて、シーンを再現した写真を共有して楽しんでいただければ幸いです。予約受付は9月10日までなのでお見逃しなく。
また、「東京おもちゃショー2025」でもジオラマと一緒に展示を予定しておりますので、会場にお越しの際はぜひ写真を撮って楽しんでいってください。
――ありがとうございました。
※上記写真は2商品の組み合わせです。
(C) Universal City Studios LLC and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
(C) TOMY
※画像は試作品を使用しています。実際の製品とは異なる場合がございます。ご了承ください。
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